現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > チャイルドシートの選び方が体重から身長に変わる!? 新たな安全基準「R129」とは?

ここから本文です

チャイルドシートの選び方が体重から身長に変わる!? 新たな安全基準「R129」とは?

掲載 更新
チャイルドシートの選び方が体重から身長に変わる!? 新たな安全基準「R129」とは?

■チャイルドシートの国際的な新安全基準「R129」とは?

 最近、新しいチャイルドシートの説明において「R129」や「i-Size(アイサイズ)」という言葉を目にすることが増えてきました。まだあまり周知されていませんが、これらはチャイルドシートの新しい安全基準です。いったいどのような基準なのでしょうか。

購入援助はほぼ無し、でも着用義務の「チャイルドシート」何歳まで必要?

 R129の正しい呼び名は、「ECE UN R129(国際連合ヨーロッパ経済委員会協定規則第129号)」で、日本が2012年7月から採用している「R44」と同様に、国連・欧州の基準になります。

 現在は、R129とR44が並行して採用されている状態なので、いずれかの基準を満たしていれば新規製品として製造、出荷が可能です。

 R129の詳細を説明する前に、現在のR44に基づくチャイルドシートのタイプを簡単に紹介しておきましょう。

 チャイルドシート(正式名称:CRS=child restraint system、年少者用補助乗車装置)は、生まれてすぐの乳幼児から11歳・12歳頃(身長145cmから150cmで車両シートベルトが正しく使える身長)までを対象とした、子どもの安全を確保するためのシートです。成長に合わせて3タイプが設定されています。

 乳児用は、後ろ向きで使うベビーシートで、乳幼児兼用タイプは体重10kgくらいまで後ろ向きで使います。乳児専用タイプは13kgまで使用が可能です。(シートによって異なる場合があります)

 幼児用は、体重9kgから18kgを対象としたチャイルドシートです。乳幼児兼用タイプはできるだけ長い間後ろ向きで使うことが安全とされているので、頭が出たり脚がつかえたりしない限りは後ろ向きで使いましょう。

 学童用は、幼児用を卒業したあと、4・5歳から12歳頃までチャイルドシートです。座面だけのタイプや背もたれがついて頭部のサポートが付いたタイプなどがあります。体重は18kgから36kgが対象ですが、背もたれなしで座面だけのブースターシートは、安全のため身長125cm、体重22kgを超えてから使用します。

 R44基準のチャイルドシートでは、体重を目安に子どもの体に合わせたチャイルドシートを選んでいましたが、R129(i-Size)では体重ではなく身長に合わせるように変更されています。身長の方が体重よりも個人差が少ない、誤使用を減らすというのが、体重から身長に切り替わった主な理由です。

 R129(i-Size)の基準で、ユーザーの使用に関わる重要な部分は下記のようです。

●身長40cmから105cmまでの子どもが使うチャイルドシートに適用

 メーカーやシートによって適用身長を45cm以上や100cm以下にしている場合もあります。

●生後15か月までは後ろ向き使用を義務付けている

 生後15か月を超えても身長が76cm未満の場合は必ず後ろ向きで使用します。

●乳幼児兼用タイプの場合は、最低でも身長83cmまでは後ろ向きで使える設計となっている

 事故などによる強い衝撃は、背中側から受けて衝撃を分散させることが安全とされています。首が脆い乳幼児ならなおさらで、乳幼児兼用タイプのR129(i-Size)ではどのメーカーのシートも身長83cm(1歳10か月前後)まで後ろ向きで使用できる設計になっています。

●ISOFIXで取り付けられるシートが前提

 R129(i-Size)は、ISO-FIX取付のシートを前提とした安全基準です。i-SizeとISO FIXは似た言葉ですが、意味は全く異なります。

※ ※ ※

 あまり知られていませんが2017年半ば以降に発売された新型車を中心に、「i-Size対応」の車両シートが標準装備され始めています。

 ISO FIXの金具が車両側に装備されていればR129(i-Size)チャイルドシートも問題なく装着できますが、ISO-FIX金具がついていてもクルマによっては適合しない場合があります。必ず購入前にチャイルドシートメーカーの公式サイトなどで、車種適合の確認をおこなってください。

 このほか、側面衝突への安全性強化や、より人体に近い新生児ダミー人形を使った衝突試験がおこなわれるなどが、R129(i-Size)の特徴です。

■R129基準をクリアしたチャイルドシートにはどのようなものがある?

 最新の安全基準であるR129をクリアしたチャイルドシートには、欧州トップブランドのブリタックスレーマーやマキシコシ、日本ブランドのアップリカやコンビなどの製品があります。

 また国内自動車メーカー初の純正品としてR129(i-Size)チャイルドシートを導入したのはホンダで、2017年6月に「Honda ベビー&キッズ アイサイズ」を発売しています。

 以下、R129基準をクリアしたチャイルドシートの一例です。

●アップリカ:フラディアグロウ360℃セーフティ、クルリラプラス360℃セーフティほか
●コンビ:プロガード ISOFIX エッグショック RK
●マキシコシ:ペブルプラス、2ウェイパール、アクシスフィックスプラスほか
●レーマー:ベビーセーフ i-SIZE、デュアルフィックス i-SIZEほか
●ジョイ―:i-Level(アイレベル)
(2019年9月現在)

 これらのシートはすべて身長83cmまで後ろ向き使用ができる設計になっていますが、「レーマー デュアルフィックスi-Size」、「マキシコシ 2ウェイパール」、「コンビ プロガード」の3機種については、4歳頃(コンビは100cmまで、ほかは105cmまで)まで、より安全性の高い後ろ向きでの使用が可能です。

 現在、日本で国土交通省が審査をおこない、出荷を許可されたR129基準のチャイルドシートは『i-Size』(新生児から身長105cmまでの乳児・幼児用)ですが、次にR129の対象となるのはISO FIXで取り付けるジュニアシートです。

 国交省では2022年9月以降、新たに審査をおこなうジュニアシートに関してはR129基準で安全性を審査する予定としています。

 日本でジュニアシートといえば背もたれのないブースターシートを想像する人が多いかもしれませんが、欧州では座面だけのタイプは安全性が劣るという観点から少数派です。

 R44の規則では、背もたれなしは体重22kg身長125cm以上(7歳から8歳以上)での使用が推奨(一部義務付け)されています。

 日本では、3歳から4歳のまだ小さなうちから背もたれなしのジュニアシートを使っている例が見られますが、体重18kgまでは幼児用チャイルドシートを使用し、そのあと、身長125cmを超えるまでは頭や肩回りを保護する背もたれ付きのジュニアシートを使いましょう。

こんな記事も読まれています

盟主PWRが『クプラ・ボーン』披露と同時にEuroRX1王者起用を発表。エクシオンは異車種6台体制に/STCC
盟主PWRが『クプラ・ボーン』披露と同時にEuroRX1王者起用を発表。エクシオンは異車種6台体制に/STCC
AUTOSPORT web
ル・マンの戦いはすでに始まっている。LMDhの逆襲を象徴するポルシェの躍進と謎多き性能調整の裏側
ル・マンの戦いはすでに始まっている。LMDhの逆襲を象徴するポルシェの躍進と謎多き性能調整の裏側
AUTOSPORT web
ラッセル「毎週5位~8位を争うのが現状」短期的な解決策は役に立たず、今後数週間は“痛みを伴う”と覚悟
ラッセル「毎週5位~8位を争うのが現状」短期的な解決策は役に立たず、今後数週間は“痛みを伴う”と覚悟
AUTOSPORT web
免許取得したてで「高級ミニバン」購入!? 「初心者」マーク貼付けた“斬新な姿”に「なかなかいないですよ」 芸人、エハラマサヒロが実車を公開!
免許取得したてで「高級ミニバン」購入!? 「初心者」マーク貼付けた“斬新な姿”に「なかなかいないですよ」 芸人、エハラマサヒロが実車を公開!
くるまのニュース
ボッタスのレースエンジニア交代は、アウディのF1参戦に向けた取り組みの一環。本人とも計画を話し合ったと代表が明かす
ボッタスのレースエンジニア交代は、アウディのF1参戦に向けた取り組みの一環。本人とも計画を話し合ったと代表が明かす
AUTOSPORT web
PHEVには馴染めなかった? V8へ "リターン" の可能性 メルセデスAMG新型「CLE 63」に導入か
PHEVには馴染めなかった? V8へ "リターン" の可能性 メルセデスAMG新型「CLE 63」に導入か
AUTOCAR JAPAN
ロータスが持続可能なモビリティの未来を牽引する動画を公開。2038年までのカーボンニュートラル達成に向けた戦略とは
ロータスが持続可能なモビリティの未来を牽引する動画を公開。2038年までのカーボンニュートラル達成に向けた戦略とは
Auto Messe Web
【顧客の平均年齢43歳】 カリナンがシリーズIIへ進化 ロールス・ロイス製SUVが成し遂げた功績
【顧客の平均年齢43歳】 カリナンがシリーズIIへ進化 ロールス・ロイス製SUVが成し遂げた功績
AUTOCAR JAPAN
第9戦はキャシディが21番手から逆転優勝。第10戦はダ・コスタがポルシェに母国勝利をもたらす/フォーミュラE
第9戦はキャシディが21番手から逆転優勝。第10戦はダ・コスタがポルシェに母国勝利をもたらす/フォーミュラE
AUTOSPORT web
ポルシェ・ペンスキー、キャデラックの牙城を崩しIMSAラグナ・セカを制す。恐竜カラーの911がGTDプロ初優勝
ポルシェ・ペンスキー、キャデラックの牙城を崩しIMSAラグナ・セカを制す。恐竜カラーの911がGTDプロ初優勝
AUTOSPORT web
3500万円! 日産が新型「GT-R」実車展示! 存在感スゴい「最強仕様」がNYに登場! 進化した「新デザイン」採用に反響あり
3500万円! 日産が新型「GT-R」実車展示! 存在感スゴい「最強仕様」がNYに登場! 進化した「新デザイン」採用に反響あり
くるまのニュース
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズにカローラクロスなど5車種の適合が追加
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズにカローラクロスなど5車種の適合が追加
レスポンス
「デコトラ=ど派手な改造=違法」は偏見でしかない! いまほとんどのデコトラが「合法改造」に収めているワケ
「デコトラ=ど派手な改造=違法」は偏見でしかない! いまほとんどのデコトラが「合法改造」に収めているワケ
WEB CARTOP
【2024年】自動運転・運転支援機能の満足度調査。車線維持支援システムの意外な不満とは?
【2024年】自動運転・運転支援機能の満足度調査。車線維持支援システムの意外な不満とは?
グーネット
多彩なキャンピングカー&アウトドアビークルが大集結!モーターキャンプエキスポ2024
多彩なキャンピングカー&アウトドアビークルが大集結!モーターキャンプエキスポ2024
グーネット
アウディ「Q2」 街乗りのシーンにピッタリ、シックな限定モデル発表
アウディ「Q2」 街乗りのシーンにピッタリ、シックな限定モデル発表
グーネット
めちゃ流行ってる「謎のギラギラ」なんのため? 超高級車の証!? 知ってるようで知らない「キラキラパーツ」の正体とは
めちゃ流行ってる「謎のギラギラ」なんのため? 超高級車の証!? 知ってるようで知らない「キラキラパーツ」の正体とは
くるまのニュース
キャデラックの最高級SUV『エスカレード』、大胆フェイスで今夏デビューへ…デザイン大予想
キャデラックの最高級SUV『エスカレード』、大胆フェイスで今夏デビューへ…デザイン大予想
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村