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着実に進化、熟成しているXC90にディーゼルモデルが登場

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着実に進化、熟成しているXC90にディーゼルモデルが登場

ボルボのフラッグシップSUV、XC90のラインアップに待望のクリーンディーゼルエンジン搭載モデル「D5」が追加された。

XC90は、2016年に新たなプラットフォーム「SPA」を初採用し、新世代ボルボの第1弾として日本に導入されたモデルだ。シャープでクリーンなエクステリアデザイン、ウッドや革などの質感にこだわったスカンジナビアテイストあふれるインテリアデザインなどが話題をよび、世界的なヒット作となった。

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ボルボ・カーズの2018年度の世界販売台数は5年連続で過去最高記録を更新し、創業以来初めて60万台を突破、日本国内でも2018年は、1997年以来21年ぶりに1万7000台を超え、2014年から4年連続で販売台数を伸ばしている。その要因の1つが、XC90にはじまった新世代のボルボデザインであることは想像に難くない。

XC90はボルボにとっては挑戦的な価格帯(789万円~1084万円)の商品でありながら、現在の国内販売は年間約1000台で推移しており、2018年の実績ではBMW X5/X6やアウディQ7といったジャーマンブランドを上回っているというから人気は本物だ。

とはいうものの、競合他車に比べて足りないものもあった。それがディーゼルエンジン搭載車だった。このセグメントのSUVではメルセデスやBMWはもちろん、ジャガーやランドローバーだって積極的にディーゼルモデルを導入し、販売の主力を担っている。ブランドとして電動化を強く推し進めるボルボだけに、日本サイドもプラグインハイブリッド「T8」の導入を優先した事情もあると想像されるが、3年を経てようやくディーゼルモデルの準備が整ったというわけだ。

XC60などが搭載するディーゼルエンジン「D4」が、2リッター直4ターボで、190ps/400Nmを発揮するのに対して、「D5」では同形式のディーゼルエンジンを235ps/480Nmにまで増強。また1速または2速で、低回転域からの加速時に圧縮エアをターボチャージャーに送り込むことでターボラグを低減する「パワーパルス」という新機構によって、発進時などの瞬発力を高めている。

また「D5」が優れているのは、ディーゼルモデルの課題である重量増を最小限に抑えたことだ。ガソリンモデルの「T5」のカタログ値が2060kg、「T6」が2080kgなのに対して、「D5」は2090kgとほんど差がない。したがって燃費もいい。新燃費基準のWLTCモード(平均)で13.6km/L、高速道路では15km/Lを優に超える。

箱根の山道を走りだすと、このパワーパルスの恩恵もあって、アクセルペダルにそっと力を込めるだけでXC90の大きなボディをものともせず、力強く発進加速する。ディーゼルなのでお世辞にも、高回転までまわして楽しいというタイプのエンジンではない。最大トルク480Nmを発揮する1750~2250rpmあたりの回転域をうまく使って、穏やかにスムーズに走るのが似つかわしい。

試乗車には、4輪エアサスペンションとドライビングモード選択式アクティブパフォーマンスシャシーが装着されていたが、20インチの大径タイヤを履きながら、おおきく上下動するボディにシンクロしてうまくショックを収束させる、見事な足さばきをみせた。こういうクルマに乗ると、飛ばさくてもいいやという気持ちになる。

また先進運転支援機能もアップデイトされている。自動ブレーキにはシカなどの大型動物を検知する機能が加わった。実はあまり知られていないが、現在流通している自動ブレーキの多くは人間だけで、自転車を検知することができない。ボルボは他社に先がけてサイクリスト検知機能を搭載していたが、さらにそれを進化させ大型動物検知機能までを備えたというわけだ。ヘラジカがおおく生息する北欧らしい機能ともいえるが、近年は日本でも人間集落に野生動物が出没するケースが増えており、とくに山間部などで生活する人にとってはとても有用な機能だろう。

3年の歳月によって、XC90は着実に進化、熟成している。あまり声高に謳われていないが、3列シート7人乗り仕様も標準装備だ。そしてディーゼルエンジンのメリットはやはり長距離を走るときにあらわれる。家族や友人と、どこか遠くに行きたくなるSUVだ。

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