SUVがよく売れるなか、けっこう人気が出そうだなぁと思わせるのが「BMWアルピナ XD3」だ。3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボ・エンジン搭載のBMW「X3」をベースに、スポーティに仕上げたモデルである。
アルピナを知らない人に説明すると、1965年にドイツで創業した自動車メーカーだ。コアビジネスは、BMW車をベースにしたエンジニアリングとハイエンド・モデルの製造である。ハンドクラフトを旨としていて、仕上げが丁寧なのもアルピナの魅力だ。ベースになったBMW車両と比較すると、より洗練されている印象が強い。
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BMWからも公認を受けていて、BMWネットワークを通じて販売される国(日本も含む)も多いようだ。ただし、車名こそ“BMWアルピナ”というが、車体番号はベース車両とは別に新しく登録されており、あくまでも“別メーカーの車両”という扱いである。
BMW アルピナ XD3は、245kW(333ps)の最高出力と700Nmの最大トルクを発生する3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載する。ベース車両は不明だ。ただし、基本をおなじくするディーゼルエンジンを搭載するBMW X3 M40dが240kW(326ps)と680Nmだから、XD3のほうがパワフルであるのは間違いない。
で、実際に走らせると、たしかにパワフルだ。とくにいいのは、アクセルペダルを強く踏み込んだときの爆発的な中間加速である。市街地の低速だろうとハイウェイでの高速だろうと、瞬時にスピードを上げる。そのときの感覚は、しかし、暴力的ではない。アスリートが地面を蹴り出す感覚といえばいいのか。ようするに、気持いいのだ。
XD3のツインターボチャージャーは、シークエンシャルタイプである。低回転域を受け持つ、レスポンスにすぐれた小径ターボチャージャーと、圧が高まってから作動する大径ターボチャージャーの組み合わせだ。その効果がしっかり出ている加速感である。
ディーゼルターボ・エンジンゆえ、700Nmもの最大トルクが1750rpmという低回転域から発生する特性をもつ。そして、加速性能からみるかぎり、ディーゼルのネガはほぼ感じられない。エンジンをレッドゾーンまでぐいぐいまわしたい! というひと以外は、まったく不満を感じないだろう。
アルピナは、高性能であるいっぽう、“控えめ”というのも特徴だ。大きなスポイラーやエアダムを装着したモデルもあったが、いまは、独自のアルピナストライプも派手さはあまり感じない。控えめに目立ちたいオーナーが多いそうだ。
適度に目立つという点において、XD3のフロントスポイラーには「ALPINA」の社名が大きく入っている。それだけなのだけれど、ただのX3ではないと知らしめるのに充分。けっこうオーナーの心をくすぐるはずだ。
しかも試乗車は、オプションの22インチホイール(「アルピナ・クラシック」と名づけられている)に、フロント35%、リア30%の扁平率を持つタイヤ(ピレリPゼロ)が組み合わせてある。ほとんどゴムがないぐらいに見える薄いタイヤで迫力満点だった。
とはいえ22インチものタイヤになれば、さすがに乗り心地への影響は避けられない。「スポーツショートスプリング」という走りを楽しむためのスプリングに、やはりスポーティな設定の電子制御ダンパーが組み合わされているせいもあるだろう。
はたして、「スポーツ」モードを選ぶと、リアシートの乗員は強めの突き上げを受ける。というわけで、乗り心地を考えると、かなり速く走ろうというときもドライブモードは「ノーマル」で充分だ。
見かけはSUVであるものの、車体のロールは極力抑えられていて、ステアリングホイールを切り込んだときのボディの反応は想像するより速い。右へ左へと、せわしなく操舵するような小さなカーブの連続でも、まるでスポーティなセダンのようにこなしてしまう。
ただし薄いタイヤなので、中央分離帯のキャッツアイを含め、路面の突起にはかなり気をつかう。このへんもスポーツカーのようだなぁと思った。ウルトラスポーティなハンドリングを重視するなら、どこかで我慢しなくてはならないのだ。
組み合わされる8段オートマチックギアボックスは、おそらくX3 M40dとおなじシフトタイミングながら、シフトに要する時間を、極力短くしたスポーツATのような気がした。そもそも最大トルクは700Nmもあるから、あまりせわしないギアチェンジは必要ないかもしれないが……。とはいえ巡航時、高いギアで低回転域をキープしている場合でも、ほんのわずかアクセルペダルを踏み込めば、即座にギアが落ちて加速態勢に入るのはさすがだ。
ちなみに、XD3のステアリングホイールにはパドルシフトは備わらない。かわりにあるのは、小さなスイッチだ。アルピナ独自の「スウィッチトロニック」用のスイッチが、ステアリングホイールの背後あたりに設けられている。
インテリアにはアルピナ独自の意匠が、ふんだんに反映されている。ひとつはステアリングホイールだ。ラバリナレザー(オプション)の手触りはしっとりしていて、握ったときの感触もソフト。BMWのものとは明らかに異なる。
シートのクッションもけっこうソフトで、目をつぶって座ってステアリングホイールを握ればBMWとは思わない。あくまでアルピナの世界観なのだ。
個人的には、タイヤの扁平率をもう少し上げたいなぁ……、と、思ったが、それを除けば、あらゆる面において素晴らしいディーゼル・スポーツ・SUVであると感じた。
BMWアルピナXD3(1094万円)は、ぜいたくでスポーティなSUVを楽しみたいというひとに向いている。イメージ的に競合しそうなのは、マセラティ「レヴァンテ」(1020万円~)やアルファロメオ「ステルヴィオ クアドリフォリオ」(1167万円)だろうか。
とはいえ、これら2台は時折街で見かけるが、XD3を見る機会はそう多くない。というわけで、個性を求める人は、間違いなくBMWアルピナXD3がオススメだ。
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