台風の発生は例年6月頃から増え始め、8月頃にピークを迎えると言われている。台風上陸に備えて愛車を守る策は必要なのか、モータージャーナリストの近藤暁史氏に聞いた。
台風が運んでくる、“あの成分”がクルマの塗装を傷めつける
はりきって洗車したときに限って雨が降る、なんていうジンクスは昔からよく聞く。ただ昨今では“雨が降ったら洗車したほうがいい”というのが通説だ。とくに、例年6月から10月にかけて発生することの多い台風が通過した後は、可能な限り洗車したほうがいいだろう。
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理由は塩害が心配だから。2018年は農作物や植物への塩害が話題になったのも記憶に新しい。しかし、もともと台風自体に塩分は含まれていない。ここで問題なのは風で巻き上げられた海水が飛んでくるという直接的なものだ。もうひとつが、塩の微粒が風と一緒になって遠くまで飛ぶというもので、とくに後者はかなりの距離を飛散するという。「ウチは海から離れているから大丈夫」などと安心してはダメなのだ。
ご存じのように塩分は猛烈な浸食性を持ち、クルマの場合、付着した状態で放置しておくと塗装を侵して鉄板はサビで真っ赤になってボロボロになってしまう。雪国の融雪剤も同じ塩分で、被害も同じだ。
台風のあとも雨が降り続けば付着した塩分は洗い流されるが、一般的には台風一過で晴れることが多い。そのため、乾かされて頑固に付着してしまうのがほとんどで、放置するとポツポツとしたシミができてしまうこともある。
こうした塩害のほかにも、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などを含む酸性雨や、有害物質を付着させて飛来する黄砂もクルマの塗装にはよろしくない。だから、黄砂や台風の去ったあとは、早めに洗車するのが効果的というわけだ。
その方法は普段と大きく違いない。洗車用洗剤で泡をたっぷり立てた柔らかいスポンジで、優しく洗い流そう。泡には、汚れを包み込んで浮かす作用だけでなく、クッションにもなってキズになるのを防止してくれる効果もあるからだ。
あらかじめコーティングをかけて保護しておくのも有効だが、液剤によって防護できるものが異なるので、事前に調べてから施工するといいだろう。
もうまもなく台風の季節が始まるだけに、今からしっかりと対策をしておきたい。
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