ついに反則行為(青切符)まで取り締まり始めた、新型可搬式移動オービス。これで「最高裁の判例」という足かせから解き放たれたわけだが、果たして今後、いよいよ全国各地で日常的な可搬式移動オービスによる取り締まりの嵐がやってくるのか、興味しんしんだ。
現時点で、可搬式移動オービスの導入が確認されている都道府県警は以下の17カ所。
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北海道/岩手/秋田/栃木/埼玉/東京/神奈川/山梨/長野/富山/愛知/岐阜/兵庫県/香川/島根/大分/宮崎
その導入について、各自、公式ホームページや各メディアへの情報提供などで独自のPRを展開しているが、この富山県警のPRは実にユニーク。その内容を要約すると、「早朝夜間を問わず、場所も選ばず、住民からの要望にも応えます」というもの。まるで「移動オービスを出前します」というくらいの勢いなのだ。
ただし、各都道府県が導入した可搬式移動オービスは、ほとんどが1~2台、多くて数台と推測される(神奈川県警の発表によれば、導入予算は4,320万円。東京航空計器製のLSM-300の価格が1,080万円/1台だから、単純に計算すると4台を導入したことになる)。つまり、いくら機動性が優れているとは言え、いきなり、住民の要望通りにあっちこっちに出前されるとは、到底思えない。
さらに、愛知県警がクリアした「反則行為の検挙」問題も、見た目では、青切符で後日、検挙されるドライバーが多発しそうだが、このやり方は、従来のネズミ捕りに比べて、警察の手間が格段に増えるというのも事実。機動性や手軽さを売りにしている可搬式移動オービスだが、実は、事後の手間を考えると、反則金制度のメリットを根底から覆す自体になりかねないのだ。
というのは、従来のネズミ捕りは、場所の確保や人員の動員等にかかる手間や費用に関しては移動オービスに10歩も100歩も譲るものの、始めてしまえばその場で切符を切るだけ。あとは、違反者が反則金を納めればそれで一件落着だった。が、後日呼び出しとなると話は違ってくる。
まず、ナンバーから所有者の住所を割り出し、通知をその住所地へ郵送。さらに出頭した違反者ひとりひとりにいちいち対応しなければならない。もし、1日に10人も20人も出頭してきたら、それこそ反則金制度のメリットが薄れるというものだ。なにしろ反則金制度というのは、司法当局の手間を省くという目的で構築されたものなのだから。
つまり、今回の反則行為(青切符)での後日呼び出しによる検挙や、各都道府県警のアピールは、ポーズ的な意味合いが大きいのではないか?と 当情報局は考える。噂されている「速度違反制裁金制度」は、確かに現在、起きている数々の矛盾を払拭する名案だが、「駐車違反」と「スピード違反」の社会的責任の度合いの違いを考えれば、いささか飛躍している感がある。だから、警察は、折衷案、あるいは何か違う秘策でもってつじつまを合わせようとしているのではないだろうか。
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