現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜタクシーは新型でも「フェンダーミラー」? ドアミラーに変えない理由

ここから本文です

なぜタクシーは新型でも「フェンダーミラー」? ドアミラーに変えない理由

掲載 更新
なぜタクシーは新型でも「フェンダーミラー」? ドアミラーに変えない理由

■タクシーだけがなぜ? 次世代車でも「フェンダーミラー」

「新型車なのになんで『ドアミラー』でなく『フェンダーミラー』なんだろう?」と、最近よく見かけるようになった次世代タクシーといわれる「JPNタクシー」を見て、思う人が少なくないようです。

トヨタ、モビリティの管理・利用・分析 タクシー業界活性化・効率化を図る研究

 都内のタクシー乗り場でタクシーを待っている人に聞いてみても、「タクシーのデザインだから?」「ドアミラーより後方確認がしやすいから?」と、今でもタクシーだけがフェンダーミラーを採用していることに疑問を持っているそうです。

 今や乗用車は”ほぼ”ドアミラー。なのにタクシーだけは新型車であってもフェンダーミラーを採用している。自動車業界7不思議の一つといえるかもしれません。

 トヨタの「JPNタクシー」開発担当者に「フェンダーミラーをなぜ採用したのか」伺ってみたところ、「そうなんです。JPNタクシーの企画段階でドアミラーの採用を考えましたが、タクシードライバーの皆さんからのご要望を聞いた結果、基本形をフェンダーミラーとしました」

 運転のプロ(タクシードライバー)が、ドアミラーではなく車両前方にあるフェンダーミラーを支持するということは、安全面で有利なのか? それならと、筆者(国沢光宏)が所有するフェンダーミラー車(スバル360)に乗り込み、改めて後方視界を確認してみると、ミラーに写る情報量は圧倒的にドアミラーが有利でした。

 そこで考えてみてください。目の前に鏡を置いて後方を確認するのと、手の届かない位置に置いたミラーで後方を確認するのでは全く印象が違うと思います。

 そもそもヨーロッパやアメリカといった自動車先進国だって、新車として販売されているクルマはすべてドアミラー車です。

 世界一安全を考えたクルマ作りを徹底しているスウェーデンの自動車会社「ボルボ」もドアミラーを採用しています。フェンダーミラーの方が安全性で有利という状況は皆無に近いといえます。

 さらに言えば、日本で現在販売されている新車乗用車をみても、日本のタクシー専用車以外はドアミラー車なのです。

■タクシー運転手が好む「フェンダーミラー」メリットとは

 一般的に言われるフェンダーミラーのメリットは、1)視線の移動が少ない。 2)狭い道を曲がるときの目安になる。 3)助手席に人を乗せた際、人や荷物でミラーが見えなくなったりしない。等といわれています。

 果たして、これらは本当なのでしょうか?

 1)について言えば、逆にドアミラーの普及理由になりました。ドアミラーでは左右確認のため、ドアミラーの方向に顔を向けます。この行為で死角が少なくなり、安全確認に役立つことになります。

 2)の理由は、クルマをあまり運転しない人か、免許取り立てのドライバーしか理由にしないと思います。タクシー専用車はコンパクトカーと同じ車幅しかなく、運転も容易です。

 3)の理由のみ、「そういうこともあるかもしれませんね」と納得できます。もう少し踏み込むと、助手席に海外旅行用トランクや大きな荷物を載せたような場合、ドアミラーだと見えにくくなるようなケースが出てくる可能性もあります。

 ただ、3)について、ドアミラー車のタクシードライバーの方に聞いみると「特に問題ありませんよ」という回答でした。

 そこでより多くのフェンダーミラー車タクシーに乗られている運転手の皆さんに意見を聞いてみよう、とさらに取材してみました。

 結果は意外なことに、フェンダーミラーでなければならない大きな理由はなかったのです。

「ドアミラーだと車幅が広くなってしまうため狭い道に入れない」という運転手さんも居ましたが、「どうしてもという時だけはドアミラーを折り畳んでみれば?」と言うと納得した様子で「そうですよね」

 半年前から運転手さんになった方は、「最初はフェンダーミラーに慣れなくて怖かったです」との意見も。務めているタクシー会社にドアミラー車とフェンダーミラー車、両方のタクシーがあるという運転手さんは、「どちらでも同じですよ。私らは運転のプロですから」。確かにその通りだと思います。

 以上、取材をしても決定的なフェンダーミラーのメリットは見つけられませんでした。
 
 話を文頭に戻します。「なぜタクシーはフェンダーミラーなのか」と言えば、もはやタクシーの「アイコン」のようなものなのかもしれません。筆者の知り合いの親方(大工)も、弟子に裾絞りでない普通のズボンを支給したら「イヤだ」と言われるそうです。

 大きなメリットはないけれど、あえて選ぶ理由、それは今でもフェンダーミラーがプロドライバーとしての”粋”なんだと思います。

こんな記事も読まれています

ホンダ、6月発売の新型フリードを先行公開 エアーとクロスターを設定
ホンダ、6月発売の新型フリードを先行公開 エアーとクロスターを設定
日刊自動車新聞
“GTの原点”に立ち返る新たな挑戦。市販車モノコック製Z GT300をデビューさせたゲイナーが奮闘の先に見据えるものとは
“GTの原点”に立ち返る新たな挑戦。市販車モノコック製Z GT300をデビューさせたゲイナーが奮闘の先に見据えるものとは
motorsport.com 日本版
クルマ好きカスタムの定番「シャコタン」! じつは車高を下げるには4つの手段があった!!
クルマ好きカスタムの定番「シャコタン」! じつは車高を下げるには4つの手段があった!!
WEB CARTOP
伝説の「和製スーパーSUV」まさかの市販化!? 斬新“未来すぎ”「2ドアモデル」! まさかのいすゞ“オシャマシン”「ビークロス」とは
伝説の「和製スーパーSUV」まさかの市販化!? 斬新“未来すぎ”「2ドアモデル」! まさかのいすゞ“オシャマシン”「ビークロス」とは
くるまのニュース
【YM未来予想】ヤマハ新ニヒャクの大本命?! 水冷&最新装備で“セロー200”復活熱望ッ!!
【YM未来予想】ヤマハ新ニヒャクの大本命?! 水冷&最新装備で“セロー200”復活熱望ッ!!
WEBヤングマシン
日産のホットハッチが100万円切り!? ニスモが作った116馬力の[マーチNISMO S]が最高だった!!!
日産のホットハッチが100万円切り!? ニスモが作った116馬力の[マーチNISMO S]が最高だった!!!
ベストカーWeb
東京都心の高速道路が「歩行者天国」に!? 激レア体験のぶっ飛びイベント「銀座スカイウォーク」がすごかった! 高架道路が「緑道化」数年後に実現するかも!?
東京都心の高速道路が「歩行者天国」に!? 激レア体験のぶっ飛びイベント「銀座スカイウォーク」がすごかった! 高架道路が「緑道化」数年後に実現するかも!?
くるまのニュース
バレンティーノ・ロッシ、来季もWEC&GTワールドチャレンジを主軸に4輪レース参戦へ。しかし“働きすぎない”スケジュールに?
バレンティーノ・ロッシ、来季もWEC&GTワールドチャレンジを主軸に4輪レース参戦へ。しかし“働きすぎない”スケジュールに?
motorsport.com 日本版
勝利掴んだマクラーレン、新パッケージ投入の目的は“ピュアな”ダウンフォース量向上にアリ。次戦イモラで真価が問われる?
勝利掴んだマクラーレン、新パッケージ投入の目的は“ピュアな”ダウンフォース量向上にアリ。次戦イモラで真価が問われる?
motorsport.com 日本版
トヨタ新型「コンパクトSUV」発表! 斬新「レクサス顔!?」が超カッコイイ! “小さな高級車”な555万円仕様もある「カローラクロス」越で登場
トヨタ新型「コンパクトSUV」発表! 斬新「レクサス顔!?」が超カッコイイ! “小さな高級車”な555万円仕様もある「カローラクロス」越で登場
くるまのニュース
新型フリードの純正アクセサリーがホンダアクセスから登場!テールゲートタープ、ルーフラックなどをラインナップ
新型フリードの純正アクセサリーがホンダアクセスから登場!テールゲートタープ、ルーフラックなどをラインナップ
月刊自家用車WEB
いよいよ「関越道に直結」間近! 群馬の新・東西軸「上信道」次なる開通へ工事進む
いよいよ「関越道に直結」間近! 群馬の新・東西軸「上信道」次なる開通へ工事進む
乗りものニュース
ネクサスから V-Strom 800/DE(23-)用「タンクトラクショングリップ/ブーツガード/チェーンガード」が発売!
ネクサスから V-Strom 800/DE(23-)用「タンクトラクショングリップ/ブーツガード/チェーンガード」が発売!
バイクブロス
乗って分かった素性の良さ!ハーレーダビッドソン「X500」に試乗!~高梨はづきのきおくきろく。~
乗って分かった素性の良さ!ハーレーダビッドソン「X500」に試乗!~高梨はづきのきおくきろく。~
バイクのニュース
マツダが新型「最上級セダン」初公開! 全長5m級&4連テール採用!? ちら見せスポイラーも! 「EZ-6」24年発売、中国での反響は
マツダが新型「最上級セダン」初公開! 全長5m級&4連テール採用!? ちら見せスポイラーも! 「EZ-6」24年発売、中国での反響は
くるまのニュース
アウトドアに強いトヨタ「クラウン」実車展示! 車高アップ&オーバーフェンダーが迫力満点!! 新型「RSランドスケープ」ってどんなクルマ?
アウトドアに強いトヨタ「クラウン」実車展示! 車高アップ&オーバーフェンダーが迫力満点!! 新型「RSランドスケープ」ってどんなクルマ?
VAGUE
マグヌッセンへのペナルティの累積方法にマクラーレンF1代表が不満「スポーツマンシップの観点から意味をなしていない」
マグヌッセンへのペナルティの累積方法にマクラーレンF1代表が不満「スポーツマンシップの観点から意味をなしていない」
AUTOSPORT web
アルファロメオ『ジュニア』、ハイブリッドとEVの受注を開始…イタリアで
アルファロメオ『ジュニア』、ハイブリッドとEVの受注を開始…イタリアで
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

80.0263.0万円

中古車を検索
スバル360の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

80.0263.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村