2017年11月16 日、トヨタはスペシャルオリンピックス国際本部との間で「グローバルパートナー」契約を締結したと発表しました。
締結式、さらに11月18日にアリーナ立川立飛(東京都立川市)で開催された「スペシャルオリンピックスデー」には、トヨタ自動車代表取締役社長である豊田章男社長も出席するほどの力の入れよう。
かくいう本企画担当編集も「スペシャルオリンピックス」なる取り組みを初めて知る機会となりました。大変意義深いイベントなので、ぜひ皆さまにもご紹介いたします。
※メイン写真最後列ど真ん中3名、一番左が元NBA選手のディケンベ・ムトンボ氏、その右隣がスペシャルオリンピックス国際本部のティモシー・シュライバー会長(創設者であるユニス・ケネディ・シュライバーの子息)、さらにその隣が豊田章男社長
文:ベストカーWeb編集部
■健常者でもなく、身体障害者でもない人たちへ
「オリンピック」が健常者によるスポーツの祭典であり、「パラリンピック」が身体障害者によるスポーツの祭典であるのに比して、「スペシャルオリンピックス」は知的障害のある方にもスポーツを楽しむことができるよう、「知的障がいの有無に関わらず人の差別をなくし、すべての人が参加できる社会(インクルージョン)を生み出すこと」を活動理念に掲げているところが特徴。
オリンピック/パラリンピックが4年に一度、大規模な競技大会を開くのと対照的に、年間をつうじたすべてのイベント、すべてのスポーツに携わっていきたいという理念から、スペシャルオリンピックスは「オリンピックス」と複数形になっている。
日本ではまだそれほど知名度は高くないが、欧米では広く認知されており、その人気はパラリンピックをしのぐほどだという。世界172カ国、570万人のアスリートとパートナーがスペシャルオリンピックスの活動をしている。トヨタはすでに、オリンピック/パラリンピックのグローバルパートナー契約を結んでおり、3つのオリンピックとパートナー契約を結んでいるのは世界でトヨタだけとのこと。
■プロトップリーグとともに開催は初めて
冒頭で紹介したように、2017年11月18日にアリーナ立川立飛にて開催された「スペシャルオリンピックスデー」では、プロバスケットボールBリーグ、アルバルク東京対レバンガ北海道戦を実施(ちなみにアルバルク東京の母体はトヨタ自動車男子バスケットボール部)。
その約2500人のバスケットボールファンの前で、プレイベントとして開催されたのが、スペシャルオリンピックスが近年力を入れている「ユニファイドバスケットボール」だった。
この「ユニファイドバスケットボール」、競技ルールはすべて公式バスケットボールと同じだが、チームメンバーだけが「アスリート」と呼ばれる知的障害者を持つ選手3名と、「パートナー」と呼ばれる健常者の選手2名で構成されるところが特徴(こうした、知的障害者と健常者が協力し合って行う競技を「ユニファイドスポーツ」という)。
わずか10分間ながら迫力満点で、なにより「Bリーグ」という国内トップカテゴリーのプレイベントとしてユニファイドスポーツが実施されることが画期的だった。(本企画担当、ちゃっかりBリーグの試合も初観戦しました。すごかったー)
イベントにはスペシャルゲストとして、元NBA選手でありスペシャルオリンピックスのグローバルアンバサダーを務めるディケンベ・ムトンボ氏も参加。現役時代から慈善活動に熱心だったムトンボ氏は、来日にともない「知的障害者とともに社会で共存してゆくことが大切だ」とコメントしている。
アリーナ立川立飛で実施されたユニファイドバスケットボール。ムトンボ氏も参加
■人とクルマのパートナー関係のために
今秋実施された第45回東京モーターショーのプレスカンファレンスで、トヨタは「Start Your Impossible」という新たなスローガンを掲げた。それとともに「あらゆる人に移動の自由を」という理念のもと、自動運転技術と人工知能技術を組み合わせて、すべての人にモビリティがもたらす自由と歓びを提供すべく、研究開発を進めていくと宣言している。
トヨタが目指す「人とクルマのパートナー関係」と、「あらゆる人に異動の自由を」という目標が、このスペシャルオリンピックスの理念と重なるところがあるわけだ。
生き馬の目を抜く自動車業界で、こうした社会貢献活動に力を入れ続けるトヨタと豊田章男社長。一見「回り道」に思えるかもしれないが、実はその理念を実現させるため、一番近い道を走っていると思いたい。
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