■大型車の場合、橋桁自体が鳴ることも
橋の上をクルマで走っていると、「ゴツン、ゴツン」という音と振動を感じることがあります。道路にはクルマなどの減速を促すためのハンプ(こぶ)が設けられている場所もありますが、それとはまったく異なるものです。ドライバーや路面を注視している人なら、現物を見れば思い当たるであろう橋のあの部分、あれはいったい何なのでしょうか。大手建設会社で、橋梁の設計や技術開発などに長年従事してきた60代男性に聞きました。
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――「ゴツン、ゴツン」という音の正体は、なんなのでしょうか?
クルマのタイヤと「エキスパンションジョイント」が接触する音です。クルマは通常、アスファルトやコンクリート製の舗装の上を走行しているのですが、エキスパンションジョイントのような、ゴムや金属など材質が異なるものの上へタイヤが乗った時に音が変わるのです。大型車が通行した場合、その振動で鋼製の橋桁(はしげた)自体がゴーンと鳴ることもあります。
――エキスパンションジョイントとは何でしょうか?
橋桁(橋脚の上に架け渡された部分)と橋桁、あるいは橋桁と橋台(きょうだい、橋の両端で橋を支える部分)のあいだに設置されている伸縮装置です。自動車の荷重を支えながら、文字通り伸びたり縮んだりする装置です。
――なぜ使われているのでしょうか?
橋は鋼(はがね)や鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート(鋼とコンクリートを合成させてひび割れを生じさせないようにしたもの)といった材料で造られていますが、これらの材料は温度変化によって伸びたり縮んだりします。その伸縮によって、桁と桁、あるいは桁と橋台が衝突しないように隙間を空けておくのですが、タイヤや歩行者の足が落ちないよう、その隙間を塞ぐ必要があります。そこで、橋桁の伸縮に応じて伸びたり縮んだりできるエキスパンションジョイントで塞ぐわけです。
――メンテナンスはいつ、どのくらいの頻度で行われているのでしょうか?
エキスパンションジョイントの耐用年数は材料によってまちまちですが、設計上は20年で交換するのを、ひとつの目安にしています。ただし点検自体は5年ごとに行うことになっています。
■進化するエキスパンションジョイントの技術
――道路橋はどのくらいの温度で、どれだけ伸びるのでしょうか?
日本の場合、地方ごとに50度から60度の寒暖差に耐えられるよう設計するルールになっています。例えば鋼橋(こうきょう、鋼で造られた橋)の場合、北海道などの寒冷な地方ではマイナス20度からプラス40度の温度変化を考慮し、全体の長さが100mの橋で72mmの伸縮を考慮しなければなりません。実際にはこれに20%の余裕を見込むので87mmになります。
――音や振動のもととなるエキスパンションジョイントを減らしていくのは今後、可能でしょうか?
長い高架橋が必要な立地では、できるだけ一連の橋を長くしたほうが、走行音も振動も抑えることができます。短い橋を長い一連の橋にすれば、エキスパンションジョイントの数を減らすことも可能ですが、長くすればそれだけ構造設計、特に耐震設計が複雑になってしまいます。伸縮する量も大きくなり、エキスパンションジョイントや支承(桁と橋脚あるいは橋台のあいだに設置する装置)がより高価になるため、よいことばかりではありません。設計者は地形や地盤条件をつぶさに調べ、最適な構造計画を行わなくてはならないのです。
――エキスパンションジョイントの最新技術について教えてください。
エキスパンションジョイントは、伸縮量をより大きく、より低騒音で、より長持ちするように技術開発が続けられてきました。伸縮の機構を工夫して伸縮量をより大きくし、ゴム製やアルミ合金製にすることで、騒音をおさえ、より長持ちするように改善してきたのです。路面の除雪を行う地方では、除雪車のブレードで損傷しにくい構造が使われています。また、伸縮装置部分から雨水が漏れると、橋そのものを腐食させたり強度を弱めたりさせるおそれがあるので、止水性能を高める努力もなされてきました。少しマニアックな情報ですが、最近「延長床版構造」という、エキスパンションジョイントの設置位置を、橋台背面にずらす低騒音工法が開発されています。
※ ※ ※
話を聞いた男性によると、「仮に皆さんが継ぎ目のない200m以上の橋に出会ったら、『この橋の設計者は頑張ったのだな』と思ってください。橋梁の設計はこの規模からグンと難しくなります」とのことです。
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