アルミホイールはドレスアップにも性能にも重要なパーツ
クルマをカスタマイズするとき、かなり優先度が高いアルミホイール。そのアルミホイールの基礎知識をあれこれ紹介したい。アルミホイールの原料はアルミニウム合金。アルミは軽くて、見た目が美しくて、加工がしやすく、耐食性に優れ、リサイクルも容易と、クルマのホイールにはピッタリの素材だ。
ホイールの製法
ホイールの場合、このアルミ合金を使って、ざっと三種類の製法で作られている。主流は、アルミを高温(アルミの融点は約660℃)で溶かして、金型に流し込んで成形する「鋳造方法」。デザインの自由度が高く、大量生産に向いているので、コストが安いというのが最大のメリット。
もうひとつは、アルミのビレット(塊)を約450℃に熱し、そこに1平方センチメートルあたり4から8トンほどの圧力をかけ、アルミを潰すようにして成形する「鍛造方法」。加圧することで、金属の分子密度が高くなり、強度が高く変形しにくいのが特徴。同じ強度でも軽いホイールを作ることができる。
ただし、大きな設備が必要で、工程数も多いので、生産性が低く高コストになるのが弱点。デザイン性も制限されるが、軽さと強度を重視する、レース用のホイールとしては定番。
三つ目は、ディスク部とリム部は鋳造で作り、リム部をスピニングによって伸ばす「鋳造リムスピニング製法」。鋳造の低コスト・高デザイン性と、鍛造に近い強度をリムに与える、いいトコ取りを目指す製法だと思えばいい。
ホイールの構造
製造時に、リムとディスクを一体で成形したホイールは1ピースホイールという。1ピースホイールは、リムとディスクが一体構造で、真円度が高く、バランス面でも有利。
一方、リムとディスクを別々に作って、組み付けるのは、2ピースホイール。さらにリム部も2分割した状態で作るのを、3ピースホイールという。
2ピース、3ピースのメリットは、サイズの自由度が大きいこと。ディスクとリムを固定するピアスボルト(ダミーで溶接の場合も)が付き、ファッション性が高い。(ちなみに2ピースも3ピースも一度組み付けて出荷されたあとは、基本的に分解できない)
一見すると難しいが憶えればどうといいうことはないサイズ表記
サイズの読み方
社外品のホイールはデザインも豊富だが、サイズの種類も非常に多いので、自分の愛車にマッチするサイズかどうかを確認しておくことが非常に重要。そのためには、まず、カタログなどに表記されている、ホイールのサイズの読み方を知っておこう。
ホイールのサイズは、「19×8.0J 5-114.3 +48」とこのように表記されている。はじめの「19」は、ホイールのリム径。単位はインチなので、19インチのホイールなら、リム径は482.6ミリ(1インチ = 25.4ミリ)。「8.0」は、リムの幅。単位はインチなので、8.0=203.2ミリ。
つまり、リム幅が「0.5」インチ広がると、ホイールはイン側に6.35ミリ、アウト側にも6.35ミリ、合わせて12.7ミリ広がることになる。
これらのホイールのサイズは、インチ単位なのでイメージしにくいので、要注意。当然のことながら、ホイールの幅は、装着するタイヤの幅で決まる。例えば、245/40R19のタイヤなら、標準リム幅は、「8.5」。
ただし、タイヤのカタログにはサイズごとの標準リム幅の他に、「適用リム幅」も記載されているので、この幅に収まっていれば、標準リム幅と少々違ってもOK。上記の245/40R19のタイヤだと、「8.0~9.5」が「適用リム幅」だ。「J」とか「JJ」は、ホイールのフランジ=耳の部分の形状(ほとんど気にしなくてOK)。
「5」は、ホイールを車両に取り付けるボルトの入る穴の数。乗用車は4穴か5穴がほとんど。穴の数が合わないホイールは、当然装着できない……。「114.3」は、P.C.D.(ピッチサイクルダイアメーター)。ナットが配置されている円の直径。単位はミリ。P.C.D.も車種ごとに違うので必ず一致するモノからチョイスしよう。
最後の「+48」はインセット。リム幅の中心線とホイール取り付け面との距離で、単位はミリ。この数字が小さくなると、ホイールは車体の外側に近づいていく。反対にこの数字が大きくなると、ホイールは内側へ向かう。
ドレスアップで、「ツライチにしたい」ときは、このインセット値が重要。ノーマルがインセット48のクルマで、タイヤの位置を10ミリ外側に出したければ、インセット38のホイールを選ぶようにする。
ただし、上記とおりリム幅が0.5広がれば、6ミリほどタイヤは外側へ向かうので、リム幅を変更したときは、リム幅で広がった分+インセットを減らす分を合わせて計算しないと、フェンダー側面からのタイヤ・ホイール本体(CAPも含む)がはみ出して、保安基準違反となるので気をつけよう。
もうひとつ、一般的なホイールサイズの欄には書かれていないが、できればハブ径にもこだわりたい。ハブ径とは、ホイール(裏側)の中央の穴のサイズで、純正ホイールなら、車体側のハブと、ホイールのハブ径がピッタリ作られている。
ハブとハブ径がピッタリ一致していると、回転するタイヤ&ホイールの芯出がしやすく、真円度の高い回転が得られやすい。しかし、社外品のホイールは、装着できる車種を増やすために、ハブよりかなり大きなハブ径になっている製品がほとんど。
そうした社外のホイールには、可能であれば、別途ハブリングなど装着して、ハブとハブ径を合わせるようにすると、より良い「回転」が得られるはず。
性能を決める要素
ホイールの性能は、何で決まるかというと、基本的には軽さと強度。そして真円度とバランスの良さ。とくに、軽さは運動性能や乗り心地、燃費にも直結しているので、軽ければ軽いほど高性能。ただし、軽さと強度はトレードオフの関係なので、軽さを優先しすぎると、変形しやすいホイールに……。
一方、強度や耐久性を重視すると、重量は重くなる。理想は軽くて強いホイールだが、そういうホイールはコストが高い。もちろんデザインだって大事だし、流行り廃りも関係してくる。
だからホイール選びはいろいろ悩むことになるのだが、そうしたことをあれこれ悩むのもクルマ好きにとっては、楽しい時間といえるので、カタログや、インターネットのホイールマッチングシミュレーションなどを眺めながら、至福の時間を過ごしてみよう!?
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