自動運転車への対応で2020年に実用化を目指す
曙ブレーキが従来とはまったく異なる新技術のブレーキを開発していると発表した。「MR流体ブレーキ」と呼ばれるこちらは、摩擦に頼らないという点で、これまでのブレーキとは考え方が異なる。目的としては2020年に実用化を目指す自動運転車への対応、及び環境への配慮だという。
そもそもブレーキは、ディスクをパッドで挟むなど、摩擦力を発生させて運動エネルギーを熱に変換して減速していた。
今回開発しているブレーキに使われるMR流体は、磁気に反応して液体が半固体に変化する流体のこと。磁場を加えることで、液体中に分散している、わずか数ミクロンの径の強磁性体粒子(鉄粉)が整列し鎖状粒子クラスターを形成する。
このMR流体を、車体側に固定された円盤と、ハブベアリングと一緒に回転する円盤との間に充填し、減速時は磁場を発生させて円盤の垂直方向にクラスターを形成する。すると鎖状クラスターがせん断変形を受けて崩壊→隣のクラスターと繋がる→崩壊という現象が続く。この抵抗力が減速エネルギーになるという仕組みだ。
このブレーキのメリットとしては
(1)ブレーキダストといわれる摩擦粉が発生せず、ノイズも出ないため環境負荷が軽減できること。
(2)磁場に対してMR流体が反応する速度が1000分の数秒という速さのため、安定かつタイムラグのない減速が可能となること。
(3)電子制御で磁力をコントロールするために、ユーザーがあらかじめ設定された減速パターンから好みのブレーキフィーリングを選べる。
などが挙げられる。
すでに2015年3月には試作品を完成。2020年の製品化を目指すとのことだ。
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