冬の時期、クルマを降りようとしてドアハンドルに触れたときにバチッ!──嫌なものである。そんな静電気対策を備えるシートをアキレスが展示していた。
アキレスといえばスニーカーでよく知られた会社。訊けば同社は静電気対策について30年近く研究開発を進めていて、とはいえ自動車用アプリケーションとしては目立った提案はこれまでなかった。今回の高付加価値合成皮革「導電性カブロン」は、同社からの自動車用静電気対策のひとつである。
パタンと閉まらないための技術 [人とくるまのテクノロジー展2018名古屋]
仕組みとしては、合成皮革の表皮層を帯電しにくく、生地を導電性とした。静電気が生じる仕組みは身体とシート表面がこすれはがれたときにヒト側に帯電するからで、シート側に電気を流してしまえばバチッ!とはならない──という理屈である。いままで、生地に電気が流れやすくするという手段はなかった。
表皮層はポリウレタン製で、帯電防止材として界面活性剤を練り込む。生地には導電性のディッピング(どぶ浸け)を施し、アースを施すことで電気を逃す構造。練り込み/ディッピングということで耐久性にも優れている。素材の特性を生かしたまま導電性を付与しているので、風合いや手触りに違和感が出ないのも特長。
フロアカーペットに同じ処理を施しても効果は得られるのかと問うたところ、アースが取れればありかもしれないという回答をいただけた。しかし実際に始終触れてこすれ合っているのは座面であり背面。シート生地に用いるのがいちばん効果的なのは説明からもよく伝わった。
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