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ミッレ・ミリア 2017

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ミッレ・ミリア 2017

100枚超えの写真でレポート ミッレ・ミリア 2017

ミッレ・ミリアの歴史は1927年に始まる。ブレシア・オートモビル・クラブの中枢メンバーによって企てられたが、黎明期の自動車レースが都市間を結ぶ公道レースであったものを復活させるアイデアだったことがユニークで、行政や警察の協力も取り付けて実現した。今日でも行政や警察の積極的な協力がなければ、実施は不可能だろう。上下2車線しかない狭い県道の真ん中を、出場車たちは左側の対向車とすれ違いながら右側の一般車を抜いて走っていく。しかも先導を務めるのは白バイで、速度は120km/hを超えている。赤信号の交差点であっても、警察は左右の青信号のクルマを制止してミッレ・ミリアの出場車たちを優先して走らせる。たまにお巡りさんがいない交差点で出場車が赤信号で止まると、観客が「何を止まってるんだ、行け行け」と煽るほどで、観客もミッレ・ミリアに対しては一般の交通を超越したものとして応援してくれている。

イタリアだからできたイベント

もちろん時代錯誤な公道イベントでもあり、ミッレ・ミリアに反対する人たちもいる。それでも開催されるのは、ここがイタリアだから、とでも言うしかないだろう。当時は国営ラジオ放送で実況中継が行われ、その地域に出場車が近づいてくると沿道には観衆が押し寄せて、出場車は人垣のなかを全速力で駆け抜けるのだから、とても危険なレースだった。時には人身事故も起こるべくして起こり、そのために1938年をもって政府から中止命令が出て、1939年は開催されなかった。


1940年になるとブレシア~マントバ~クレモナの3都市を結ぶ170kmの閉鎖されたコースを設定し、そこを9周するという変則的な方法で開催され、参加車も過激なレーシングカーは締め出されることになった。そこで有利になり、優勝を遂げたのが、当時2000ccクラスではもっとも優れたスポーツカーと評価を受けたBMW328で、その歴史的実績ゆえに現代のミッレ・ミリアでもBMW328の参加は多い。



第2次大戦後に復活したミッレ・ミリア

戦火によってイタリアの国土も荒廃したが、また戦前のファシスト政権の時代にミッレ・ミリアは中止命令を受けていたにもかかわらず、1947年にミッレ・ミリアは復活したのだから、イタリア人のレースに対する情熱は素晴らしい。この年は、イタリアで戦後一番早くにスポーツカーの生産を始めた新興のチシタリの大活躍が記憶に残る。優勝候補のピエロ・タルフィの乗る本命チシタリア202CMMアエロディナミカは早々にリタイアしてしまったが、病に臥せっていたタッツィオ・ヌヴォラーリがチシタリアの創業者であるピエロ・ドゥジオに口説かれて202SMMで出場したが、ゴール直前のトラブルでリタイアしなければ、トップを走っていたヌヴォラーリが優勝するはずだった。

戦前のミッレ・ミリアではアルファ・ロメオが主役で13回のうち10勝を挙げ、戦後はフェラーリが主役で1957年までの11回のうち8勝を挙げている。また、排気量や車種によりいくつものクラスに分けられて、それぞれのクラス優勝を狙う参加車たちも多かった。だから、750ccクラスや1100ccクラスの優勝者(車)もいて、英雄になることができた。当時からミッレ・ミリアの参加車両は多種多様だったが、現在のミッレ・ミリアでは1927年から1957年までの時代の幅もあるがゆえに、さらに様々なレーシングカーやスポーツカーやツーリングカーが一堂に会し、極彩色の絵巻物が繰り広げられるかのようだ。

ヒストリック・イベント王者の座は健在

今年、ミッレ・ミリアは、1927年から数えて90周年を迎えた。スピードレースであった1957年までのミッレ・ミリアのスピリットは、’80年代にヒストリックカー・ラリーとして復活した今のミッレ・ミリアに、ルールこそ違えど引き継がれていると思われる。今もなお、数あるヒストリックカーモータースポーツのなかでも最も過酷で、ドライバーとメカニックとクルマが三位一体となって調和しなければ、完走もおぼつかない。かつて様々なドラマがあったが、今もなお出場車と同じ数のドラマがあることだろう。そして、何よりもイタリアという風土を走ることで、成り立っている。

私も1996年から2000年までは、かつてピエロ・タルフィの愛車だったチシタリア202CMMで参加し、その後もスタンゲリーニなどで走った。今もなお5月になるとブレシアの街を訪れるが、最初に参加してから20年経た現在でも、ミッレ・ミリアの本質はゆるぎなく継続していると思われる。永遠に続く5月のミッレ・ミリア。永劫回帰のミッレ・ミリアに、いつだって私は時空を超えるような不思議な気分に陥ってしまうのだ。



126枚の写真で「ミッレ・ミリア」詳細レポ

ミッレ・ミリアの車検はかってはこのヴィットリア広場ですべてが行われ、とても混雑していた。今では郊外のフィエラ(見本市会場)で済まして、ここでは最後の封印の儀式のみ。封印とはハンドルシャフトに付けられる鉛の小さなコインで、当時のミッレ・ミリアで行われてきた伝統の継承だ。サポートする参加者を待つ間、私は美女たちから介護を受けておりました。

ミッレ・ミリアは初年度の1927年から数えて90周年を迎えた。フィアット1100 MMの原初の姿は、1938年の508Cベルリネッタ。

ランチアは2代目となるジャンニ・ランチアの時代に総合優勝を狙い、1954年にD24で栄冠を獲得した。これは1953年のB20GT。

1952年シアタ・ダイナGS。

1957年ランチア・アッピア・ザガート

1953年フェラーリ250MM。

1935年ライレー・スプライト。

黎明期のミッレ・ミリアで活躍したのは地元に工場があるOMだった。1927年は優勝、1928年は2位だった。これは1930年のOM 665 SS MM。

今回の話題はアルトゥーロ・メルツァリオとJ.P.ジャリエが組んだ1938年アルファ・ロメオ6C2300MM(左)だった。隣は1930年6C1750GS。

1933年アルファ・ロメオ6C1500ザガート。

1940年ランチア・アプリリア・カブリオレ。

1955年フィアット1100マリーノ。

1950年ジャウル・タラスキ750S。

1948年フィアット1100Sベルリネッタ・モット。

1955年フィアット8V ザガート。

1954年クレパルディ・パナール750コッリ。

1955年ポルシェ550RS

1955年ポルシェ550RS。

1953年ナッシュ・ヒーレー。

1949年ヒーレー・シルバーストン2400D。

1951年HWアルタ・ジャガー。

1952年ジャガーCタイプ。

初日のゴールはパドヴァのプラート・デッラ・ヴァッレ広場。池の周りに止める。

ブガッティT43GSは8気筒のエンジンでロケットのように走る。

意気軒昂たるエンツォが1950年に送り出したフェラーリ340アメリカ。

中野選手の1951年ジャウル・タラスキ750S。

木村選手の1953年オスカMT4 2AD。

オーバーヒート見舞われてしまったオスカMT4。

1936年アストン マーティン2Lスピード・モデル。

1937年アストン マーティン2L 15/98

1937年BMW328。

1947年タルボ・ラーゴT26レコード

1939年BMW 328 SMM トゥーリング。

競技区間のスタート地点には誘導するスタッフが立つ。

1948年フィアット1100SMMゴッボーネ。

1931年アルファ・ロメオ6C1750GS。

1946年HRG LM 。

最終日にブレシアを目指す1954年アルファ・ロメオ1900Cカブリオレ。

毎年登場する応援隊クロカンティーノのフィアット600ムルティプラ。

1953年フェラーリ375MMスパイダー。

1930年OM665スーペルバ。

1952年シアタ・ダイナGS。

1955年ランチア・アウレリアB24ピニンファリーナ。

シエナのチェントロを行く508Sコッパドーロ。

カンポ広場を目指す1927年ランチア・ラムダSr7。

1929年アストン マーティンLM3。

1937年フィアット1500ヴィオッティ。

1952年フィアット・ローレアッティ1100S。

1950年フィアット・ジャンニーニ750S。

1947年フィアット508Cアラドーロ。

1947年フィアット1100Sアラドーロ。

1927年ランチア・ラムダの2座席コルサ仕様。

1949年フィアット・トポリーノMor&Sca。

竹元選手の1928年ブガッティT40GS

1925年ブガッティT23。

増田選手の1948年チシタリア1100S

1929年ランチア・ラムダ。

何度もミッレ・ミリアで優勝をしているジョルダーノとステファニア!

そして感激のゴールは、スタート地点に帰ってヴィアーレ・ベネチアへ。今年もOMは栄えあるゼッケンNo1および4から16番まで13台が出場。

爽やかな笑顔でゴールするマセラティA6GCSモノファーロの堺選手。堺正章さんはミッレミリア・マイスターと呼ばれるべき実績を積んできた。

トラクターのような1947年ヒーレー・ダンカン・ドローネ。

近年連続して出場の1945年DBシトロエンはオランダからの参加者。

徹夜の修理も経験したスタンゲリーニ750Sの三田選手の会心の笑み。

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