リアム・ローソンは角田裕毅との昇格レースを制して、2025年のレッドブル・レーシングのシートを掴んだ。対するは4度のF1世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンだ。
レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ローソンの強い精神力を認めつつも、フェルスタッペンを倒すという考えを持って新シーズンを迎えるべきではないと考えている。
■レッドブルのローソン起用人事に納得できる理由はあるのか? 希望的観測と角田裕毅への評価
「リアム・ローソンはまだグランプリの経験はほとんどないが、精神的にはジュニアドライバーの中で最も強いドライバーだ」
ドイツ紙Sport.deのインタビューでヘルムート・マルコはそう語った。
「しかし、マックスの隣にいる上で重要なのは、結局のところ誰も彼には勝てないのだから、それを受け入れることだ。ローソンは自分が勝てない相手であることを受け入れる必要がある」
「この精神的な強さを、リアムが持っていると我々は信じている。さらに、彼は経験が少ないので、さらに成長する余地は十分にある」
■ジュニア時代に見えたローソンの強さ
マルコはF1での活躍だけでなく、ローソンがレッドブル・ジュニア時代に参戦したドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)やFIA F2での活躍にも注目。諦めない姿勢を見せてきたと語った。
「リアム・ローソンはDTMでもドライブした。そして、南アフリカ人ドライバーのスポーツマンシップに反する行為によってチャンピオンを失った」
マルコは2021年のDTMでローソンとタイトルを争ったケルヴィン・ファン・デル・リンデ、そしてメルセデス陣営によるチームオーダーに言及し、そう語った。
「シーズン中は浮き沈みが激しかったが、彼は決して諦めなかった」
「もうひとつの例は、F2では全てのエンジンに比較的大きな差があることだ。アメリカ人のローガン・サージェントがチームメイトだったが、F1に乗ることが発表されると、突然新しいエンジンを手に入れた」
「多少コースにもよるが、その(サージェントの)エンジンはストレートで0.3~0.5秒も速かった。どうしようもないと思いながらも、彼は諦めずに戦い続けた」
「結局、彼はランキング3位にとどまったが、他の選手ならおそらく疑い始めて『このマシンではチャンスがない』と言ったはずだ」
そしてマルコは、ニュージーランド出身のローソンの“大先輩”たちとの比較を行なった。
「今の視聴者の大半には何も伝わらないかもしれないが、私はマクラーレン・チームを創設したブルース・マクラーレンと比較している。かつての世界チャンピオンであるデニス・ハルムもそうだが、ニュージーランド人はみな“バトルしよう”の哲学を持っている」
「ローソンのデュエルを見れば分かる。彼は非常に激しく戦い、簡単には諦めない。数少ないF1レースで、ルイス・ハミルトンやフェルナンド・アロンソ、セルジオ・ペレスと争い、それを既に証明した」とマルコはローソンのメキシコでの激闘を振り返った。
■目標はフェルスタッペンから0.3秒
マルコは、ローソンがフェルスタッペンを打ち負かすことを念頭に置いて2025年シーズンを迎えるべきではないと指摘する一方で、ローソンには明確な課題をひとつ与えた。
「予選でもレースでも、マックスから0.3秒以内に入らなければならない。コンストラクターズチャンピオンシップでポイントを獲得するには十分なはずだ」とマルコは言う。
「その上、可能であれば、彼はもっと上を目指すことができるかもしれない。ただ、現在のF1で最高のドライバーとコンビを組んでいるという免責事項がある」
フェルスタッペンを“免責事項”と語ったマルコ。ローソンが“ペレスシナリオ”を避けるために、状況を受け入れることは非常に重要だと言う。
「マックスの他のチームメイトの多くがしてきたことを、彼(ローソン)は試みるべきではない。テクノロジーや、時に不合理なセットアップや戦略に逃げてはいけないのだ」
「そうではなく、彼(フェルスタッペン)が最高であることを受け入れ、そこにどこまで近づけるかを見極める必要がある」
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みんなのコメント
レースに出る限り、相手がチャンピオンであろうが関係ない。
角田は挑むタイプだからレッドブルに昇格しなくて良かったよ。
ローソンはかわいそうに。
レースするなと言ってるようなものだよ。