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三菱デリカ・ミニ なぜeKクロス・スペースから路線変更? デリカらしさを検証

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三菱デリカ・ミニ なぜeKクロス・スペースから路線変更? デリカらしさを検証

eKクロス・スペースではダメ?

華麗なるイメージチェンジはひとまず大成功となったようだ。三菱の新型車「デリカ・ミニ」である。

【画像】デリカ・ミニにデリカらしさはあるのか? 写真で比較【ディテール】 全76枚

同車の前身は「eKクロス・スペース」であり、デリカ・ミニは「新型車」という扱いではあるものの、実質的にはそのビッグマイナーチェンジ版に過ぎない。

プラットフォームやパワートレインをはじめとする基本メカニズムだけでなくアッパーボディもそのまま引き継ぎ、いっぽうでフロントをはじめとするデザインを変更するとともに新しい名前を付けて新型車としているのだ。

「マイナーチェンジ前」に相当するeKクロス・スペースの2022年1月から12月までの年間販売台数は、ボディを共用する「eKスペース」とあわせてもわずか1万3648台に過ぎなかった。それがデリカ・ミニとなったことをきっかけに、5月25日の発売前日までに約1万6000台の受注を獲得。この数字は、三菱の予想を超えたものだという。

ところで前身のeKクロス・スペースは、登場からたった3年ほどしか経過していない。にもかかわらず車名変更を伴う大幅な路線変更を敢行した背景には何はあるのだろうか。

端的にいえば、eKクロス・スペースではダメだったのだろうか?

開発者によると、最大の理由は若い層からの引き合いが少なかったことだという。eKクロス・スペースはある程度年配の層からは支持を得られたものの、コアターゲットの1つである若いファミリー層のユーザーが期待したほど多くなかった。

そのためデビュー後のかなりはやい段階において、大きな路線変更の検討が始まったのだそうだ。

「デリカ」の名前とイメージを活用

そこで出たアイデアの1つが、世の中に浸透している「デリカ」の名前とイメージを活用することだったという。

そういうと、「デリカのイメージとは言っても、顔つきはデリカに似ていない」と思う人もいるかもしれない。モチーフとなっているのは現行世代ではない。ビッグマイナーチェンジ前の、顔つきが大幅に変わる前のタイプなのだ。

むしろeKクロス・スペースは現行型のデリカD:5に似ていたのだから、デリカ・ミニになって現行型から大改良前へと「先祖帰り」が起きたといっていい。

eKクロス・スペースからデリカ・ミニになって人気が急上昇した何よりの理由は、そのデザインにあると考えられる。eKクロス・スペース時代のデザインは、大きなグリルやヘッドライト、そしてメッキの飾りなどで上級感はあるものの、無理して頑張っている感じが否めない。背伸びしているオーラが否めないのだ。

しかしデリカ・ミニになって、立派さや偉そうな感じよりも親しみやすさや遊び心が強く感じられるようになった。そんな雰囲気の変化が共感を得た理由だろう。

デリカ・ミニは4つのグレードを展開するが、現時点での売れ筋は最上級グレードの「Tプレミアム」でその比率は約65%と高い。すなわち財布に余裕のある人が多く購入していると考えられる。価格で選ばれるのではなく、懐に余裕のある人が指名買いする存在になった。その変化の意味は大きい。

さて、そんなデリカ・ミニに「デリカらしさ」はあるのだろうか。

デリカ・ミニに「デリカらしさ」は

デリカ・ミニに「デリカらしさ」はあるのだろうか。

結論から言えば、フロントデザインのほかにもしっかりと宿っていた。わかりやすいのは、4WDモデルが履くタイヤだ。

4WDモデルのタイヤはeKクロス・スペース時代やFFモデルに対して直径が20mm大きなサイズとなっている。そのタイヤのおかげで、サスペンションストローク自体は変わっていないが最低地上高は10mm高くなった。それが荒れた路面を走る際にメリットとなるのは言うまでもない。もちろんタイヤのエアボリュームの増大も悪路走行性能向上に寄与する。

加えて4WDモデルは、サスペンションも専用の味付け。バネやスタビは変更ないが、ショックアブソーバーの減衰がよりしなやかに足が動くようにチューニングされた。

つまり、4WDモデルはよりオフローダーに近いテイストでメカニズムにも手が入っていて、よりデリカらしさを継承しているのである。

昨今はデリカ・ミニのようにクロスオーバーSUVテイストの軽自動車スーパーハイトワゴンが増えている。具体的にいえばスズキ・スペーシア・ギアやダイハツ・タント・ファンクロスだが、それらのなかでサスペンションまで手を加えてオフローダー寄りにしているのはデリカ・ミニだけ。そんな差別化からも、三菱のこだわりがひしひしと伝わってくる。

また、デリカ・ミニはFFモデルも含めて全車に「グリップコントロール」という機能が組み込まれているが、それも進化した。

オフローダーっぽい乗り味が息づく

グリップコントロールは雪道やダートなど滑りやすい路面でタイヤの空転を抑える機構だが、これまでは空転を抑えるためにエンジン出力が絞られすぎて前へ進めなくなる状況もあった。深く積もった雪の路面などでだ。

しかしデリカ・ミニはそういった路面の場合、スロットルを絞りすぎずタイヤを空転させて前へ進む制御を追加。その制御切り替えはクルマが状況を検知して自動でおこなわれるので、ドライバーが操作する必要がないというのも、デリカ・ミニのような一般向けのモデルとしては正しい判断だろう。

そんなデリカ・ミニを運転して好印象だったのは、オフローダーっぽい乗り味が息づいていたことだ。試乗車は売れ筋の「Tプレミアム」だったが、もともと重心の高い車体に加え大径タイヤやサスペンション変更などによりロール感をそれなりに感じた。しかしデリカだと思えば納得できるし、むしろ自然なロール感が心地いい。

そもそも重心の高さや全高に対するトレッドの狭さなどから路面に吸い付くような安定性などを期待できない軽スーパーハイトワゴンの場合は、無理に姿勢移動を抑え込むよりもSUVのようなしなやかな味付けにしたほうが挙動に無理がないし、多くの人を幸せにするのではないかと改めて感じたのだ。

ターボエンジン搭載車であれば高速道路や峠道を走っても加速性能に不足はないし、なによりスーパーハイトワゴンは後席の広さ(本家デリカD:5より前後席間距離が広い)や乗り降りのしやすさといった実用性は見事なレベルにある。加えて親しみのある雰囲気となったことで、人気が急上昇したのも当然といえば当然の結果なのだろう。

自分たちの得意とする路線を守る。デリカ・ミニへの移行で実行したそんな三菱の判断は、正解だったと考えて間違いない。

三菱デリカ・ミニTプレミアム

価格:223万8500円
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1830mm
車両重量:1060kg
パワートレイン:659cc直列4気筒ターボ+モーター
ギアボックス:CVT
最高出力(エンジン):64ps/5600rpm
最大トルク(エンジン):10.2kg-m/2400-4000rpm
最高出力(モーター):2.0kW(2.7ps)/1200rpm
最大トルク(モーター):4.1kg-m/100rpm
動力用電池:リチウムイオンバッテリー
燃料:ガソリン
燃料タンク容量:27L
WLTCモード燃費:17.5km/L
乗車定員:4名

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みんなのコメント

7件
  • 近所のスーパーにデリカコーナーがある

    クルマじゃなく唐揚げとかサラダとか売ってる
  • と言う事は本家のデリカもマイナーチェンジで
    あの顔にしたのを失敗したと認める事になりますね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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