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最新モデルから実力派まで! 魅力的車ひしめく「いいとこ取りジャストサイズ」Cセグハッチバック11選

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最新モデルから実力派まで! 魅力的車ひしめく「いいとこ取りジャストサイズ」Cセグハッチバック11選

 コンパクトよりゆとりがあり、ミッドサイズよりちょっと小さいという、いいとこ取りのジャストサイズと呼べるのが「Cセグ」と呼ばれるカテゴリー。

 グローバルではいまだにVWゴルフがベンチマークとなっているこのカテゴリーだが、国産車も輸入車も実力派がひしめき合っている。ならば現在、どのモデルが王の座に就くのにふさわしいのか?

最新モデルから実力派まで! 魅力的車ひしめく「いいとこ取りジャストサイズ」Cセグハッチバック11選

 今回は、9月に発売されたばかりのシビックe:HEV(7月発表)などの最新モデルをはじめ、国内で購入できるCセグハッチバック11台の実力を、自動車評論家 桃田健史氏が評価していく!

※本稿は2022年8月のものです。
文/桃田健史、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月26日号

■1位 ホンダ シビックe:HEV(394万200円)

●「走りに振ったモデル」と開発者が明言

ホンダ シビックe:HEV(394万200円)…スポーツモードも設定し、HEVらしからぬ爽快な走りを実現している

 「爽快シビック」の上級バージョンである。新型シビックに対して「爽快」とは、なんとも絶妙なキャッチコピーだ。走り味がまさに爽快なのだ。

 新型シビックの日本仕様は1.5Lターボ車から先行発売され、CVTに加えて6MTを先代モデルから継承した。車体各所やサスペンションの大幅改良によって、走りの密度感がさらに高まった印象だ。ここに、フィットやヴェゼルで実績を積んだe:HEVが組み合わさった。

 そうは言っても、古くからシビックを知るユーザーにとっては、この価格帯になると「これがシビックなのか?」と疑問を持つ人が少なくないだろう。だが、シビック50年史のなかで、シビックは今大きく進化した。

 いや、シビック(市民)という名の、グローバルでのCセグメント代表作に進化しなければならなかったと言える。

 つまり、シビックe:HEVは次世代Cセグメントに向けたクルマ社会の進化の証明。ホンダとしては、近年中に直面するBEV化も念頭にシビックの未来を案じた形だ。

●採点
・ハンドリング:★★★★★
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★★
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:92/100点

■1位 VW ゴルフ(301万7000~466万円)

●いまだ世界のベンチマークとして健在

VW ゴルフ(301万7000~466万円)…GTIばかりに目が行きがちだが、ベンチマークとなっているのはベースモデルだ。明確な設計思想が感じられる

 難しいことを何も考えず、気軽に安心して乗れる。ゴルフが目指すクルマとしての方向性は8代目を数えてもまったく変わっていない。

 ゴルフがグローバルCセグメントHBにおけるベンチマークであることに、変わりはないということだ。

 実際、多くの自動車メーカーは今でも、Cセグメント車の開発を進めるうえでゴルフとの違いをどう打ち出すかを考えている。そうした場面にこれまで数多く居合わせているが、テスト車両との比較車としてゴルフに乗ると、ゴルフが持つ安心感の高さに改めて驚かされることがとても多いのが実情だ。

 ドライバーの操作に対してクルマが的確に動くというだけではなく、かといって“懐が深い”といった単純な表現も当てはまらない。そうしたゴルフらしさをなんとか表現しようとすると「誰でも安心して乗れる」ということになる。

 ただし、VWとしてはBEV化を早期に進めるなかで、I.D.シリーズがVWモデルの中核になることは明白であるため、ゴルフの今後が大いに気になるところだ。今こそゴルフを味わっておきたい。

●採点
・ハンドリング:★★★★★
・乗り心地:★★★★★
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:92/100点

■3位 プジョー 308(320万6000~515万1000円)

●尖っているけど独自の味わいあり

プジョー 308(320万6000~515万1000円)…プジョー初の超薄型マトリクスLEDヘッドライトを採用し、スリムなデザインは高い空力性能に寄与

 次世代を直感させる、デジタルアートのようなフロントマスク。9年ぶりのフルモデルチェンジは、単なる外観やプラットフォーム刷新という視点のみならず、308という商品のあり方が大きく変わったと言える。

 換言すると、これまで背負っていたプレッシャーから解き放たれたように思う。

 307後継車として生まれた308は、2000年代中盤から台頭した、いわゆるBRICsと呼ばれるような新興国と、欧州市場との橋渡し役という位置付けであった。

 多様な市場で稼ぎ頭のCセグメントとして活躍するために派生車や多様なパワートレーンを展開してきた。だが、ステランティスという大きな枠組みとなり、308はグローバルでおしなべて平均点を取るのではなく、尖ったクルマとしてその存在感を強調する姿勢へと大きく変化した。

 デザイン、走り、インフォテイメントなど、308ならではの味わいが深まった。

 日本仕様では、ガソリンターボ、ディーゼルターボ、さらにハイブリッド車があるが、それぞれが明確な個性を打ち出しているところがいい。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★★
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価90/100:点

■3位 アウディ A3(328万~500万円)

●安心感のなかにキレがある

アウディ A3(328万~500万円)…第4世代は従来型よりもスポーティなデザインとなった。プラットフォームは従来型同様にMQBを採用

 安心感のなかに、キレがある。それが、A3の走り味だ。

 さらには、いわゆるライフスタイル系商品としての付加価値を感じる。そもそも、クルマのライフスタイル系という分野は1980年代以降、アウディが他社に先行してきた。

 ライフスタイル系とはひとつのブランド戦略であるが、VWグループのCセグメントでは、VWブランドを中核に、上級ブランドのアウディ、そして欧州大衆ブランドとしてスペインのセアトとチェコのシュコダがある。

 そうしたなかで、A3はアウディの王道であると同時に、乗る者が次世代のアウディを肌で感じ取れるような味わいを感じる。

 その味わいも、内燃機関としてはそろそろ最終章にさしかかっている。アウディは2026年、新たに発表するモデルはすべてBEVとなり、2033年には内燃機関の生産を停止する。内燃機関A3のファイナルステージ間近の今、A3には改めて乗っておきたい。

●採点
・ハンドリング:★★★★★
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:90/100点

■5位 ルノー メガーヌ(314万~559万円)

●フランス車らしさを味わえる一台

ルノー メガーヌ(314万~559万円)…ルノー・日産・三菱アライアンスにより設計された「CMF-C/Dモジュールプラットフォーム」を採用

 クルマ好きがメガーヌと聞けば、R.S.エンブレムを連想する人が少なくないかもしれない。

 R.S.は、独ニュルでFF最速を銘打つルノー・スポールの傑作である。それは、ただ速いのではなく、速さに独特の躍動感が漲っている点が、多くのファンを魅了するのだと思う。

 そんなクルマとしての躍動感は、メガーヌINTENSでも、メガーヌスポーツツアラーINTENSでも同じように感じる。モデルライフで見ると、メガーヌはそろそろ中盤期だが、エクステリアデザインからはルノーらしさ、そしてフランス車らしさがダイレクトに伝わってくる。

 またルノー・日産・三菱アライアンスの効果によって、マイナーチェンジを含めた車体や部品の効率的な採用から、走りや乗り心地の熟成も着実に進んでいると感じる。

 日本人とって、初めてのフランス車を楽しむには、メガーヌが見逃せないだろう。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:89/100点

■6位 トヨタ カローラスポーツ(220万2000~284万1000円)

●グローバルモデルに進化したカローラ

トヨタ カローラスポーツ(220万2000~284万1000円)…2018年にデビューしたカローラスポーツ。1.2Lターボと1.8L直4ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドを設定

 日本では、なんとなく目立たない存在だが、海外での評価は高いモデルだ。

 カローラは各種車系を含めた全体としてグローバルCセグメントであるが、トヨタは販売する国や地域の市場環境にベストマッチするようにローカライズしたモデルを導入してきた。

 そうしたなかで、12代目カローラとして日本で先行発売されたカローラスポーツは真のグローバルカーという商品性を貫く。TNGAによる安定したハンドリングと乗り心地はもちろんのこと、クルマとしての世界観を強く主張するエクステリアとインテリアデザインが特徴だ。

 狙いは、ターゲットユーザーの若返りである。走ることの楽しさを共有することを、カローラを通じて広い世代に紹介するという使命を持つ。

 近年のトヨタラインナップでは、SUV系が主流となっているが、カローラスポーツは日系CセグメントHBに新風をもたらしたと言える。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★★★
・総合評価:88/100点

■7位 マツダ MAZDA3(222万1389~368万8463円)

●マツダのこだわりを詰め込んだHB

マツダ MAZDA3(222万1389~368万8463円)…不評だった硬めの乗り心地も先のマイナーチェンジで改善され、ぐっとマイルドで心地よいものに

 改めて、マツダ3ファストバックを見ると、魂動デザインを追求した美的なエクステリア&インテリアデザインに圧倒される。一部には、“Cセグにしては、少々やり過ぎ”という見方もあろう。

 だが、マツダのブランド価値を高めるには、ここまでのこだわりが必然だったのだと解釈するべきではないか。

 技術面ではマツダ第七世代の第一弾として、マツダが言うスモール商品群をけん引するため、プラットフォームを刷新。SKYACVTIV-Xという超希薄燃料を実現した斬新なパワーユニットもラインナップしていることは広く知られているところだ。

 2021年からマツダ3は、マイルドハイブリッド「e-SKYACTIV」搭載となり、これに伴いサスペンションなども改良され、走りの深みとシャープさが増した。

 具体的には、操舵に対する回頭性が高まり、マツダの真骨頂である人馬一体感が増しているのが実感できる。

●採点
・ハンドリング:★★★★★
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★★
・コスパ:★★★☆☆
・総合評価:87/100点

■8位 シトロエン C4(312万9000~515万円)

●復活したシトロエンの大黒柱

シトロエン C4(312万9000~515万円)…外観デザインは、C4カクタス以来のデザインを踏襲している

 ベルランゴの大ブレイクで日本でも注目が集まっている、シトロエン。C4でも、シトロエンの世界観が満ちあふれ、エレガントと快適性を充分に味わうことができる。日本での主力パワートレーンは1.5Lディーゼルだが、シトロエンとして日本初導入となるBEVのE-C4にも注目だ。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★☆☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:86/100点

■8位 スバル インプレッサ(200万2000~295万9000円)

●現行スバル車の基盤となったモデル

スバル インプレッサ(200万2000~295万9000円)…誕生から6年経つが、根強い人気により堅調な販売を続ける

 SGP(スバルグローバルプラットフォーム)を最初に導入したモデルであり、現在のスバルラインナップの基盤とも言える。そろそろモデルライフ後期であり、今見るとエクステリアデザインが大人しく感じるが、水平対向+シンメトリカルAWDは唯一無二であることに変わりない。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★☆☆
・総合評価:/100点

■10位 DS 4(398万~572万円)

●スタイリッシュさと実用性を兼ね備える

DS 4(398万~572万円)…世界一美しいと評された、流麗かつ個性的なスタイリングのDS4

 PSA(プジョーシトロエン)のプレミアムブランドであるDS。最近は、日本のプレミアム系もDSに負けず劣らずの大胆デザインテイストを推してきているが、DSの独自性は健在。ファッションセンスやライフスタイルなど、クルマのブランドとは何かを実感する一台だ。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★☆☆
・コスパ:★★★★☆
・総合評価:85/100点

■10位 BMW 1シリーズ(417万~662万円)

●FF化されたBMWのエントリーモデル

BMW 1シリーズ(417万~662万円)…搭載する1.5L直3DOHCターボは140psを発揮。先代型より洗練されている

 BMWのエントリーモデルとして、3代目でFF化されて早くも3年が過ぎた。BMWとしては、グローバルCセグメントHB市場で真っ向勝負に打って出たと言える。

 パワートレーンを選ぶとすると、BMWの得意分野であるディーゼル搭載の118dの走りがいい。

●採点
・ハンドリング:★★★★☆
・乗り心地:★★★★☆
・エンジン:★★★★☆
・コスパ:★★★☆☆
・総合評価:85/100点

■まとめ

北米ではすでに新型が発表されたインプレッサなど、国産CセグHBも次の一手を準備している

 CセグメントHBは、VWゴルフを中核にして、欧州を基盤とする大衆車としてグローバルに広がっていった。

 日本では大衆車の派生モデルとしてさまざまなHBが生まれてきた。だが、世界的にCセグメントはセダンを含めてSUVシフトが急速に進んでおり、モデルが限定的になったり、またはSUVライクなクロスオーバー系に進化する傾向も見受けられる。

 だが、走る楽しさと快適性、利便性を兼ね備えたCセグメントHBは、来たるBEV時代になっても充分な需要がある車系だと思う。そのうえで、日系ではマツダとスバルの次の一手が気になるところだ。

【番外コラム】「ニュル最速をめぐる」Cセグハッチバックの戦い

ニュル最速を目指す新型シビックタイプR。その実力があることは鈴鹿で証明ずみだ

 7月に発表された新型シビックタイプRだが、旧型(FK8)を含めニュルブルクリンクで開発を行い、FF最速を目指している。

 しかし、そのニュル最速の称号は、ルノーメガーヌR.S.、VWゴルフRといったライバルとの激しい奪い合いとなっている。

 現在のニュル最速はルノーメガーヌR.S.トロフィーRが2019年に打ち立てた7分40秒100。4月に鈴鹿最速を達成した新型シビックタイプRが、ニュル最速の座を奪還できるのか注目が集まる。

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