土曜日になって、FIA国際自動車連盟からいくつかのリリースが出された。そのなかでレッドブル・ホンダRBPTに関するものは1件だけ。カーフュー(夜間時間外労働禁止)を破ったというものだった。
ただし、FIAからパワーユニット(PU)交換に関するリリースは出されなかった。それはレッドブル・ホンダRBPTがカーフューを破ってPU交換したものの、新しいPUを投入せず、これまで使用したことがあるユーズドのPUに交換したことを意味している。
レッドブル&HRC密着:逆境の中、プレッシャーを跳ね除けた王者フェルスタッペンの底力
では、金曜日にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のマシンに起きたトラブルは何だったのか。パドックでは金曜日の時点でターボにトラブルが起きたのではないかという憶測が広がった。標高約2300メートルの高地にあるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでは、いつも以上にターボの仕事量が増え、負荷がかかるためだ。
しかし、ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は「それは正しくありません」とターボにトラブルが発生したことを否定した。さらにこう続けた。
「PUは交換しましたが、PUがトラブルの原因でもありません」
金曜日の走行中にフェルスタッペンが何度も「エンジンから変な振動がする」と無線で症状を訴えていた。あれは勘違いだったのか。
「いえ、結果的に振動を感じる症状は出ていましたが、それが原因ではありません。ある問題によって、結果的にそうした症状が発生し、パワーを失うという状況が起きました」と、折原GM。
これ以上の説明は折原GMの口から出ることはなかったが、それではなぜPUを交換したのだろうか。こういった場合、考えられることはPUに取り付けられているレッドブル側のなんらかのパーツに問題が出たのだが、そのパーツのどこが不具合を起こしているのかを現場で特定し、交換するのは難しいと判断し、PUごと交換したのではないかと考えられる。
そのことを物語っているのは、土曜日のフリー走行3回目でフェルスタッペンが最初の走行を終えてガレージに戻されると、折原GMの横に座っているレッドブルのチーフエンジニアのポール・モナハンが席を離れて、数名のスタッフとともに左リア周辺を覗きに行ったのである。その様子を折原GMがデスクに座ったまま見ていたのが印象的だった。
つまり、現時点でメキシコシティGPの金曜日に発生した問題は、PUの信頼性な起因するものではなく、メキシコシティGPの決勝レースも含めて、PUのやりくりに心配はないと考えていいだろう。
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