余裕の240psを生む3.0L V6ツインターボ
欧州では働くクルマとしても支持を集めるフォード・レンジャーに、新たな仕様が追加された。多くのユーザーを喜ばせるであろう、V型6気筒ディーゼル・ツインターボエンジンがこのモデルに設定されるのは、今回が初めてとなる。
【画像】V6ディーゼルで能力強化 フォード・レンジャー 競合ピックアップは? 格上のF-150も 全145枚
レンジャーは、アメリカンなライフスタイルを想起させる有能なピックアップトラックとして、先代の2011年にイメージを一新。それ以来、大成功といえる販売数を稼ぎ出している。
ベーシックなレンジャーに積まれるのは、最高出力が170psか205psの2段階に設定された、2.0L 4気筒ディーゼルターボ。だが、新しい3.0LのV6ディーゼル・ツインターボは、240psを生み出す。惹かれるパワーユニットであることは間違いない。
他方、トップグレードに据えられていたワイルドトラックは、オーナーの憧れだった。しかし、現行型へのモデルチェンジとともにグレード設定にも変更が加えられ、羨望を集めるほどの選択肢ではなくなっている。
V6ツインターボガソリンを搭載する292psのレンジャー・ラプターと、ワイルドトラックとのギャップを埋めるべく、新たにレンジャー・プラチナというグレードが設定されたのだ。フォードF-150へ寄せたルックスで、上級志向のユーザーを引き寄せている。
ボンネットには、PLATINUMとアルファベットのロゴが並ぶ。ランドローバー・レンジローバーのように。ワイルドトラックは、レンジャーの中間グレードへポジショニングが改められた。
明らかにパワフル オンロード性能も優秀
2.0Lディーゼルターボのレンジャー・ワイルドトラックは、優れた燃費と不足ない動力性能が大きな魅力。一方で、差別化が控えめな容姿にパワフルなV6ディーゼルターボという組み合わせは、通好みの内容といえるかもしれない。
ちなみに、高性能なレンジャーの人気へ後押しされるように、ビルシュタイン・ダンパーが組まれたワイルドトラックXも追って登場する予定にある。
2.0L 4気筒ディーゼルターボの205psから35psの増強というのは、少々物足りないようにも思える。それでも、最大トルクは50.9kg-mから61.1kg-mへ2割ほど増えている。
力仕事も多いピックアップトラックとしては、明らかな違いが現れる数字といっていい。実際、出だしから明らかにパワフル。10速ATが低いギアにある時は、オフロードで豪快にホイールスピンしてみせる。
ステアリングは充分にクイックで、オンロードのコーナリング性能もこの手のクルマとしては優秀。ボディロールはしっかり抑えられ、優れたグリップ力で安心感も高い。
ただし、レンジャー・ラプターに迫るような高性能トラックになったわけではない。ディーゼルエンジンは勇ましい唸りを響かせるものの、働くクルマとして実務に適した性格付けにある。視線を集める、アウトドアライフ・アイテムの延長ではなく。
アマロックより堅牢で働くクルマ感が強い
2.0Lディーゼルのワイルドトラックと比較して、3.0L V6ディーゼルは、静かで快適に長距離移動をこなせる。高価なダンパーが組まれたレンジャー・ラプターほど、洗練された乗り心地ではないとしても。
燃費は少々伸びにくい。カタログ値でも、9.9km/Lがうたわれている。
インテリアは、一般的な商用車と一線を画す仕上がり。縦に長い大きなインフォテインメント用タッチモニターがダッシュボード中央に据えられ、シートはレザーで仕立てられ、乗用車的に上質だ。
ベースを共有する新しいフォルクスワーゲン・アマロックと、クルマとしての違いは限定的かもしれない。どちらも快適に運転できるピックアップトラックで、デートにも使えるだろう。
それでも、車内や見た目の雰囲気はちゃんと違う。アマロックの方が、少しソフトで親しみやすい。レンジャーは堅牢な印象が強く、働くクルマとしての目的意識が伝わってくる。決定的な差ではないが。
V6ディーゼル・ツインターボエンジンを獲得したフォード・レンジャーには、より強い個性を感じる。ワイルドトラックがトップグレードではなくなっても、充分な訴求力を持つ。英国価格が4500ポンド(約79万円)の上昇に留まる点も、魅力的といえる。
フォード・レンジャー 3.0 V6 240エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)のスペック
英国価格:5万3271ポンド(約932万円)
全長:5360mm
全幅:2028mm
全高:1884mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:−秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2291kg
パワートレイン:V型6気筒2992ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:240ps
最大トルク:61.1kg-m
ギアボックス:10速オートマティック(四輪駆動)
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みんなのコメント
欧州といっても、昔は地中海沿岸の温かい国以外で、ピックを見ることはまれだった。
最近(この10年くらい)はどうなんだろうね。
ドイツでも冬は寒く(寒すぎて?)て、ピックは役に立たない。VWがピックを何度か失敗しているのも、本国で売れないからだろう。(今はフォードのOEMだっけ?)