電動SUVによって競われるオフロードレース『エクストリームE』の最初のイベント『デザートXPrix』が、サウジアラビアの砂漠で開催された。新シリーズの初戦を制したのは、ロズベルグ・Xレーシング(RXR)のヨハン・クリストファーソン&モリー・テイラー組だった。
新たに設立されたエクストリームEには、斬新なフォーマットが採用されている。各チームが男女ひとりづつドライバーを起用。途中ドライバー交代しながら、広大な自然の中に設けられたコースを走行する。
■ロズベルグ、初めてのチーム運営は変な感じ! F1時代に学んだ経験をエクストリームEチームに活かす
予選は全9チームを2グループに分け、それぞれ2度のレースを実施。上位チームが準決勝1へ、下位チームが”クレイジーレース”と呼ばれる準決勝2に進む。決勝は準決勝1の上位3チームと、準決勝2を制した1チームで行なわれる。
しかし今回は砂塵の影響で視界が悪くなることから、予選は複数台によるレースを行なわず、タイムトライアル形式で行なわれることになった。各レースの台数も3台までとなった。
その予選では、アプト・キュープラのクラウディア・ハートゲンとヴェローチェ・レーシングのステファン・サラザンがマシンを横転させる大クラッシュ。2度の赤旗中断という波乱の展開となった。なお、ヴェローチェ・レーシングはマシンのロールケージに修復不可能なダメージを負い、以降のセッションへの参加を取りやめた。
この予選では、RXRがトップタイムをマークしたものの、ドライバー交代を行なう”スイッチゾーン”に設けられた時速30kmの速度制限を超え、60秒のタイム加算ペナルティを科せられた。それでもRXRは3番手で準決勝1に進出。その他、ルイス・ハミルトンのチーム『X44』のセバスチャン・ローブ/クリスティーナ・グティエレス組、ACCIONA | Sainz XE Team(アクシオナ | サインツXEチーム)のカルロス・サインツ/ライア・サンズ組が準決勝1に進んだ。
準決勝1では、予選トップ通過となったX44のローブがイン側からスタート。WRCとラリークロスの世界王者という豪華なメンバーがサイドバイサイドのバトルを繰り広げる中、最初のゲートまでにトップに立ったのはクリストファーソン。砂塵による視界不良に苦しむライバルたちを尻目に、13秒のリードを築いてテイラーへとバトンタッチした。
テイラーは、そのままトップを快走。X44を30秒近く引き離し、トップチェッカーを受けた。サインツXEチームのサンズはさらに38秒近く遅れ、決勝にはRXRとX44が進出した。
残り1枠の決勝出場枠を争う”クレイジーレース”準決勝2では、ジェンソン・バトン率いるJBXEや、ラリー経験値の高いHISPANO SUIZA XITE ENERGY TEAM(イスパノ・スイザ・XITEエナジー・チーム)のオリバー・ベネット&クリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカ組を、アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEのティミー・ハンセン/ケイティ・マニングス組が破り、決勝進出を決めた。
決勝レースのスタートグリッドはファン投票の結果、アンドレッティ・ユナイテッドに選択優先権が与えられ、アンドレッティのハンセンはインサイドの右側を選択。中央にRXRのクリストファーソン、左サイドにX44のローブという並びとなった。
スタートではハンセンがロケットスタートで一気に抜け出すが、クリストファーソンが猛然と追い上げ、あえてワイドに走ってスピードを稼ぎ、見事なクロスラインで逆転。首位を奪取した。
X44のローブには、この週末に多くのマシンで発生したパワーステアリングのトラブルが出てしまい失速。RXRは30秒近いリードを築き、クリストファーソンからテイラーへバトンタッチした。テイラーはその後もアンドレッティを寄せ付けることなく、トップでフィニッシュ。RXRが記念すべきエクストリームE最初のウイナーとなった。
この結果に、2016年のF1王者であり、RXRのCEOであるニコ・ロズベルグは「ヨハンのパフォーマンスは、見ていて本当に感動的で素晴らしいものだった。僕も外から見ていて誇りに思う」と語った。
「週末を通して素晴らしい走りをしてくれたモリーにも感謝している。彼女は一度もミスをしなかった。我々のチームに加わることを受け入れてくれて、とても感謝しているよ」
ロズベルグは、メルセデスで共にF1を戦ったライバルのハミルトンに対して勝利のメッセージを送ったか訊かれると、「いいや、今の所そういうことは何も考えていないよ」とコメントしている。
エクストリームEの第2戦は、5月29日から30日にかけてセネガル、ラック・ローズの海岸線で行なわれる予定だ。
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