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山野哲也、全日本ジムカーナで前人未到の100勝目。勝利の瞬間「すべての力が抜けて」倒れ込む

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山野哲也、全日本ジムカーナで前人未到の100勝目。勝利の瞬間「すべての力が抜けて」倒れ込む

 4月22日に福島県のエビスサーキットで行われた2018年の全日本ジムカーナ選手権第3戦で、山野哲也(アバルト124スパイダー)がPN2クラスで優勝を飾り、全日本ジムカーナで前人未到の100勝目を手にした。

 2017年の全日本ジムカーナでシリーズチャンピオンに輝き、通算17回の王座に輝いている山野。通算優勝回数は昨シーズン終了時点で98勝となっており、100勝へのカウントダウンが始まっていた。

見えてきた100勝目。前人未踏17度目タイトル獲得の山野哲也「継続は力だとあらためて思う」

 そんな山野は2018年シーズンの第1戦こそ2位に終わったものの、第2戦を制し通算記録を99勝として、この第3戦エビスサーキットに臨んだ。

 過去2回とは異なるコースレイアウトで争われた第3戦は快晴のなか開催。山野は1回目の走行で1分27秒042のタイムを記録するが、山野のあとに臨んだ河本晃一(フェアレディZ)が1分27秒028を記録。山野は0.014秒差でトップの座を奪われる。   

 アバルトより車重の重いZを使う河本は、太陽が低く路面温度が上がりきらない早朝の走行でもパフォーマンスを発揮することが多く、この結果を「またか」という心境で受け止めたという山野。また、山野のマシンにはメカニカルトラブルも発生しており、満足なアタックが行えなかったという。

 迎える2回目の走行は太陽の位置も高くなり、路面温度は40度以上まで上昇。マシントラブルにも対策を施し、軽量なアバルト+ブリヂストンタイヤという山野のパッケージが存分にパフォーマンスを発揮できるコンディションとなった。ここで山野は自身のタイムを約コンマ5秒上回る1分26秒550を記録してトップの座を奪還。ライバルの走行を見守ることになった。

 2回目の最終走者を務めた河本は前半セクターで山野のタイムを0.3秒上回ってみせたが、後半セクションでやや失速。最終的に山野には0.316秒届かず、この瞬間、山野がシリーズ参戦27年目にして通算100勝の偉業を成し遂げた。また、ポイントランキングでもトップに浮上し18度目の栄冠を射程に捉えている。

 勝利が確定した瞬間、「これまでの集中力や精神力といった緊張がすべてほどけた」という山野は喜びのあまり地面に倒れ込んだ。




「あとから考えると、(緊張がほどけて)地面に倒れ込んだのはスーパーGTで3年連続のチャンピオンを手にした時(2006年第9戦富士)以来のことでした」

「長い期間やってきてよかったなと思います。もちろん毎戦勝つことを目標にしてきましたし、その毎戦の積み重ねが“100”という数字になりました」

「この100勝目には関係者やメディア、ファンからの注目度も高まっていて期待に応えたいというプレッシャーはありましたね。ただ、いつもそうなんですけどステアリングを握ると緊張が解けるんです」

 これまでJGTC全日本GT選手権/スーパーGTでオールスター戦をあわせると通算12勝を挙げているほか、グローバルMX-5カップ・ジャパンでは初代チャンピオンに輝くなど数多くの栄光を収めている山野。

 そんなモータースポーツ界の“頂点”を知るドライバーが27年もの間、ジムカーナに参戦し続ける理由について、山野は「めちゃくちゃ運転がうまくなると思っているから」と明かした。

「それをたまたま大学生の時に感じたんです。『ここで得た運転(技術)がきっとなにかに使えるぞ』ってね。その時はレースを始める前だったのでぼんやりとした考えでしたけど」

「そのあとレースを生業とすることになり、スーパーGTでは誰も達成したことのない3年連続チャンピオンを取ることができましたし、ほかのカテゴリーでも優勝したり、パイクスピークにも出場できました」

「そういったほかのカテゴリーでの優勝に(ジムカーナで培ったものが)貢献している思うんです。そういう意味ではジムカーナは“運転がうまくなること”にもっとも貢献してくれるカテゴリーで、僕にとっての原点。これが山野哲也がジムカーナを続けている理由です」

「クルマの運転がうまくなる、ということを純粋に追いかけているんです。20歳くらいの時からずっと(ジムカーナを)続けているのは、そこに理由があって。そういう意味では、きっとこれからもやり続けるだろうなと思います」

「運転がうまくなっていった結果がチャンピオンという形になっていますが、この技術は安全運転にもつながるもの。今後は達成感も含めたジムカーナの魅力を伝えていきたいですね」

 100勝という偉業も通過点として捉えている山野。今後、この通算優勝回数がどこまで伸びることになるか、山野の運転技術向上の探究心はとどまることを知らない。


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