宝くじでも買えない超高額のクラシックカー
世界で最も高価なクルマといえば、限定生産車やコーチビルド(オーダーメイド)で1台数億円、というのが大まかな上限だろう。
【画像】数十億円で取引される美しきクラシックカー【ウーレンハウト・クーペ、250 GTO、275 GTB、Dタイプを写真で見る】 全62枚
しかし、クラシックカー市場では数億円というのはむしろ安い部類に入るかもしれない。
世界限定2台のケーニグセグCCXRトレヴィータの480万ドル(約7億円)は確かに高価だが、これまでに販売された最も高価なクルマのトップ100に入ることさえできないだろう。宝くじが当たればなんとかなる、というレベルの話ではない。現在、トップクラスのクラシックカーは、ほんの一握りの人間にしか許されないような金額で取引されているのだから。
それでは今回は、地球上で最も高価で取引されたクルマをランキング形式で紹介しよう。金額は基本的にドル表示だが、これはほとんどの個体が米国で売買されたものだからだ。なお、本稿執筆時点の為替相場(1ドル=約145円)で日本円に換算している。
1. 世界で最も高価なクルマ:メルセデス・ベンツ 300 SLRウーレンハウト・クーペ
1955年式のメルセデス・ベンツ300 SLRウーレンハウト・クーペは、2022年に世界最高額で取引され、この記録はいまだに破られていない。オークションで1億3500万ユーロ(約213億1000万円)という破格の値段で落札されたのだ。
この車両は以前メルセデス・ベンツが所有していたもので、RMサザビーズによりメルセデス・ベンツ・ミュージアムで売却された。匿名の購入希望者の代理として、ヒストリックカーの専門店キッドソンSAの代表であるサイモン・キッドソン氏が落札した。
1億3500万ユーロというハンマープライスは、フェラーリ250 GTO(写真下)のこれまでの記録を2倍以上更新し、現時点で世界最高記録となっている。
300 SLRウーレンハウト・クーペは、メルセデス・ベンツのチーフ・エンジニアであったルドルフ・ウーレンハウト氏にちなんでこのように名付けられ、わずか2台だけ製造された。レーシングカーのW196 Rの公道バージョンとして設計され、3.0L直列8気筒エンジンを改良することで、最高時速290km/hを実現した。
売却されたのはシャシー番号00008/55で、2台製造されたうちの2台目にあたり、ウーレンハウト氏自身が頻繁に使用した個体である。2022年の落札により、300 SLRはオークションで落札された最も高額なアイテムのトップ10に入ることになった。
メルセデス・ベンツによれば、この売却益は全額、世界的な「メルセデス・ベンツ基金」の設立に充てられるという。また、RMサザビーズは、「若者のための環境科学と脱炭素化の分野における教育・研究奨学金の提供」を目指すとしている。
出典:RMサザビーズ
2. フェラーリ250 GTO – 7000万ドル(約101億円)
フェラーリ250 GTOから王座を奪取したのは、別の250 GTOだった。この車両はドイツのレーシングドライバー、クリスチャン・グレーゼル氏から米国の自動車部品王デビッド・マクニール氏への個人売買で7000万ドルの値がついた。
この個体には輝かしいレースの歴史があり、1964年のツール・ド・フランスで優勝、1963年のル・マン24時間レースでは4位入賞を果たしている。また、一度もクラッシュしたことがなく、専門家によれば、それが絶大な価値の鍵だという。
出典:CNN
3. フェラーリ250 GTO – 3811万5000ドル(約55億8600万円)
オークションで落札された最も高価なクルマ3台のうち2台がフェラーリ250 GTOである。これほどまでに高い評価と神秘性を獲得したクルマは世界でも他になく、それは過去のオークションでの記録的な落札実績によって裏付けられている。パワフルな3.0L V12、見事なバランスのシャシー、モータースポーツの系譜により、このクルマ自体がこの時代の最高傑作の1つと言える。250 GTOはわずか39台しか製造されず、この個体はジョー・シュレッサー氏によってレースで使用された。
出典:ボナムズ
4. フェラーリ335スポーツ・スカリエッティ – 3570万ドル(約52億3200万円)
この1957年製のフェラーリ335スポーツ・スカリエッティは、2016年初頭にオークションで落札された際、レーシングカーの史上最高落札額を塗り替えた。以前は個人コレクターが40年間所有していたが、1957年のセブリング12時間レースにピーター・コリンズ氏とモーリス・トランティニャン氏が出場したことから大きな注目を集めた。その後、ヴォルフガング・フォン・トリップス氏がステアリングを握り、ミッレミリアに出場。こうした実績が、このような高値につながるのである。
出典:アートキュリアル
5. メルセデス・ベンツW196 – 2960万ドル(約43億3800万円)
このグランプリカーはメルセデス・ベンツで2番目に高価なクルマである。ファン・マヌエル・ファンジオ氏がドライブし、1954年のドイツGPとスイスGPで優勝した経歴を持つ個体で、2013年にオークションで落札された当時、史上最高額を記録した。
出典:ボナムズ
6. フェラーリ290 MM – 2805万ドル(約41億1000万円)
フェラーリのレーシングカーがまたしても上位にランクイン。こちらは1956年のミッレミリア用に製造されたもので、偉大なるファン・マヌエル・ファンジオ氏もドライブした(彼の名前はどのクルマにも名声を与えている)。290 MMはわずか4台しか製造されなかったが、ミッレミリアの後もレースで成功を収めた。
出典:RMサザビーズ
7. フェラーリ275 GTB/4 S NARTスパイダー – 2750万ドル(約40億3000万円)
ノース・アメリカン・レーシング・チーム(NART)は1950年代から1960年代にかけて、フェラーリの認知度を高めるため米国でフェラーリ車のキャンペーンを行った。こちらのスパイダーは、わずか10台しか製造されなかったうちの1台である。さらに、俳優のスティーブ・マックィーン氏が一時期所有していたこともあり、映画『トーマス・クラウン・アフェア(原題:The Thomas Crown Affair)』で使用された。
出典:RMサザビーズ
8. フェラーリ 275 GTB/Cスペチアーレ – 2640万ドル(約38億6900万円)
フェラーリ275はどの個体も素晴らしく、現在では高値で取引される1台だが、このGTB/Cスペチアーレはレースのために作られた車両である。軽量化のためにアルミニウム製ボディを採用し、3.0L V12エンジンは工場出荷時に出力70psアップのチューニングが施されていた。珍しいことに、この個体は新車時に一度もレースに出走しておらず、それが2014年のオークション落札額を押し上げる理由にもなった。
出典:RMサザビーズ
9. アストン マーティンDBR 1 – 2255万5000ドル(約33億円)
アストン マーティンの輝かしい歴史の中で、間違いなく最も重要なモデルである。この個体は、わずか5台しか製造されなかったうちの最初の1台で、1959年のニュルブルクリンク1000kmで優勝し、ロイ・サルバドリ氏、スターリング・モス氏、ジャック・ブラバム氏、キャロル・シェルビー氏とともにレースに参戦した。さまざまなドライバーの手によって各地で激戦を繰り広げた結果、モントレーのオークションで2255万5000ドルにまで金額が吊り上げられた。これは、英国車の落札額としては史上最高である。
出典:RMサザビーズ
10. フェラーリ410スポーツ – 2200万5000ドル(約32億2500万円)
1955年から1956年にかけて生産されたフェラーリ410 Sは、1955年のカレラ・パナメリカーナ用の耐久レーサーであり、それ以前の375プラスを進化させたものであった。標準仕様では、5.0LシングルプラグV12エンジンを搭載し、最高出力330psを発生する。レーシングカーとしての系譜と生産台数の少なさから、コレクター垂涎の1台となり、モントレーでは2200万5000ドルで落札された。
出典:RMサザビーズ
11. ジャガーDタイプ – 2178万ドル(約319億円)
ジャガーDタイプは、1955年から1957年までル・マンで3度優勝しており、こちらの個体は1956年にスコットランドのレーシングチーム、エキュリー・エコッセとともに優勝したマシンである。その後、個人コレクションに収蔵され、時折レースに使用されている。抜きん出たモータースポーツの経歴を持ち、また台数も限られているため、入札者が高値をつけたのも不思議ではない。
出典:RMサザビーズ
12. アルファ・ロメオ8C 2900B ルンゴ・スパイダー – 1980万ドル(約29億円)
この見事なコーチビルドのアルファ・ロメオは、フェラーリの独占に割り込むエリートな1台であり、その理由は容易に理解できる。ボディはイタリアのトゥーリング社製で、伝説的な8C 2.9のシャシーとスーパーチャージャー付き直列8気筒エンジンをベースにしている。わずか12台しか製造されなかったこともあり、オークションでの成功は確実視されていた。
出典:RMサザビーズ
13. フェラーリ250 GT SWBカリフォルニア・スパイダー – 1850万ドル(約27億円)
250 GT SWBスパイダーは、フェラーリ信奉者の間でさえもすでに神話的な地位にあったが、フランスの倉庫から発掘されたこの個体は異次元の飛躍を見せた。ロベール・バイヨン氏は博物館に展示するつもりで購入したが、彼の死後、長年の休眠から復活した。まだ動く状態で、2015年に落札された。
出典:アートキュリアル
14. フェラーリ375プラス・スパイダー・コンペティツィオーネ – 1840万ドル(約27億円)
背景にモータースポーツの威光を感じさせるフェラーリがオークションで高値をつけられる傾向にあることは、ここまで読まれた方ならすでにお気づきだろう。この375プラスも例外ではない。1954年のミッレミリアで2位に入賞したのだ。2014年に売却された際、買い手が激しく争奪戦を繰り広げ、入札の最高値は1840万ドルに達した。
出典:ボナムズ
15. フェラーリ250 GT LWB カリフォルニア・スパイダー・コンペティツィオーネ – 1815万ドル(約26億円)
このレベルのクラシックカーには、希少性、ルックス、レーシング・ペディグリーだけでなく、完璧な経歴が不可欠である。スパイダー・コンペティツィオーネは合金ボディでわずか9台しか製造されず、この個体は所有歴が絶えない。記録に残されたレースの経歴と、その後のコンコースでの数多くの受賞歴から、高額な値札も抜け目のない投資のように思えてくる。
出典:グッディング&カンパニー
16. フェラーリ250 LM – 1760万ドル(約25億8000万円)
250 LMという名称が、このモデルについて知っておくべきことをすべて物語っている。ル・マンに参戦するために作られたモデルであり、フェラーリにおけるミドシップエンジン時代の幕開けとなった。当時、GTカーとして認定されるために必要な台数は100台に満たなかったため、プロトタイプとしてレースに出場した。わずか32台しか製造されず、2015年の落札額に見られるように、現在では希少性と価値が保証されている。
出典:RMサザビーズ
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