現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則207】プジョー クーペ407には驚異の粘り腰と心地よい適度な硬さがあった

ここから本文です

【ヒットの法則207】プジョー クーペ407には驚異の粘り腰と心地よい適度な硬さがあった

掲載 更新 4
【ヒットの法則207】プジョー クーペ407には驚異の粘り腰と心地よい適度な硬さがあった

2005年9月にデビューしたプジョー クーペ407は翌2006年7月に日本に上陸した。先代「406クーぺ」の大ヒットを受けて登場した「クーぺ407」はどんなモデルだったのか。同じ407シリーズでもセダンやSWと別の雰囲気を持つが、クーぺ407は走りもプジョーファンを満足させられるモデルだったのか。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年8月号より)

快適なクルージングと懐の深いスポーツドライブ
手頃なサイズのクーペを作らせれば天下一品。プジョーの、一般的にはあまり浸透していない、魅力のひとつである。

【くるま問答】トヨタ2000GTのサイドにある四角い部分には、いったい何が入っているのか?

前作、406クーペは、クーペモデルとし404以来のコラボレーションとなるピニンファリーナの作品で、そのシンプルでクリーンなクーペフォルムが人気を呼んだ。全世界10万台以上、日本でも1000台弱を売ったというヒット作である。そんな406クーペを越えるべく登場したのが、プジョーデザインのクーペ407だ。プレミアム市場に参入した407シリーズのトップモデルとして、プジョーの新しいイメージリーダーとなる重責を担う。PSA最新のフランス・レンヌ工場で生産されている。

美しいクーペフォルムと現代人に要求される居住性を両立するため、プジョー・デザイン・センターは苦労したことだろう。FFベースに設計して、ホイールベースを変えずにキャビンを大きくし、しかもトランクスペースも稼いで、シルエットを流麗なものにするのは簡単な作業ではない。元来、美しいクーペスタイルというものはFRをベースにイメージされるから余計に難しい。

これらに対する回答は、セダンよりも長くなったノーズに見ることができる。そう、さらに大きなプジョー顔とすることで、ややもすると危うくなる全体のシルエットを見事に支えきったのだった。

残念な点がひとつ。デザイン画ではセダンやSWと同じく、サイドウインドウのグラフィックスが後ろに向って切れ上がっていた。クーペこそ、このアクの強さが欲しかったところだが、後席の開放感や後方視界の確保のため、まっとうな台形になってしまった。これじゃ、セダンの方がスペシャルだ。

日本仕様として用意されるのは、ハンドル位置の左右はあるものの1グレードだ。3L V6+アイシンAW製6速ATを積むモデルである。

重くてデカいドアを開けて乗り込む。これだけ大きいと後席へのアクセスもラクだ。ちなみに後席には大人の男性がちゃんと座ることができる。

インテリアのデザインそのものは、他の407シリーズと同じである。なのに、スポーツシートの設置位置が低められていることと、フルレザー+艶消しアルミニウムのトリムが雰囲気をかなりスペシャルなものへと変えている。黒の他に白っぽいグレーや濃い目の赤、落ち着いた茶など、ボディ色によって4種のカラーをコーディネートするなど、これならこのままソフトトップのオープンモデルにしても十分人の目を引きそうだ。

メカニカル面でセダン&SWと違うのは、トレッドを拡大しバネ変更などでローダウン化して、電子制御可変ダンパーにスポーツモードを追加した足回り、そして専用チューニングの可変油圧パワステを装備することだ。

高速クルージング時の極めて質感のいい走りが印象的だった。これには、フロントウインドウだけでなく大きなサイドウインドウにまで防音フィルムを挟んだラミネートガラスを採用していることが効いている。

街中からその静かさに驚いたものだが、車速を上げるにつれ、ありがたみが一層増した。断然クラストップの静かさだ。この性能を体験すると、プジョーの走りに対するグッドイメージがまたひとつ増えるに違いない。

乗り味そのものは硬めである。フランス車にしては、ちょっとドイツ車っぽい硬さだなと思うシーンが多かった。ただし、可変ダンパーによる制御は優秀で、決して不快になることはない。スポーツモードにしてもそれほど急激に硬くなることもなかった。丁寧なセッティングである。

スポーティな走行も試みた。ドライバーの足と前輪の位置が近く、その分さらにノーズが長く思えるため、慣れるのに多少時間がかかったが、重めのパワーステアリング(細かな制御をしているが50km/h以上で一気に重くなる)と驚異の粘り腰で、最後は心地よくワインディングを楽しめた。快適なクルージングと懐の深いスポーツドライブ。大人の遊び心を知るクーペだ。(文:西川淳/Motor Magazine 2006年8月号より)



プジョー クーペ407 主要諸元
●全長×全幅×全高:4815×1870×1405mm
●ホイールベース:2725mm
●車両重量:1660kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2946cc
●最高出力:210ps/6000pm
●最大トルク:290Nm/3750pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:549万円(2006年)

[ アルバム : プジョー クーペ407 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

首都高バトルの新プレイムービーが公開。ライバルとのSPバトルや走行シーン、カスタム要素などが明らかに
首都高バトルの新プレイムービーが公開。ライバルとのSPバトルや走行シーン、カスタム要素などが明らかに
AUTOSPORT web
TEAM IMPULが2025年に向けて東京ラヂエーター製造とメインスポンサー契約を締結
TEAM IMPULが2025年に向けて東京ラヂエーター製造とメインスポンサー契約を締結
AUTOSPORT web
【ルノー アルカナ】アンダー500万円で買える良心的逸品【エスプリ アルピーヌ】
【ルノー アルカナ】アンダー500万円で買える良心的逸品【エスプリ アルピーヌ】
グーネット
スポーツカーとしての実力が充分すぎる[ロングセラー]な[クルマ]6選
スポーツカーとしての実力が充分すぎる[ロングセラー]な[クルマ]6選
ベストカーWeb
軽バンの乗り心地改善!騒音・振動対策&快適カスタムを紹介
軽バンの乗り心地改善!騒音・振動対策&快適カスタムを紹介
グーネット
あわてるなリーフもエルグランドも出る!? ホンダ日産統合後の[激震]はしばらく先?
あわてるなリーフもエルグランドも出る!? ホンダ日産統合後の[激震]はしばらく先?
ベストカーWeb
シュトゥットガルトで本場ドイツの「クリスマスマーケット」を散策…名物串刺しサバの「シュテッカルフィッシュ」に挑戦!?【みどり独乙通信】
シュトゥットガルトで本場ドイツの「クリスマスマーケット」を散策…名物串刺しサバの「シュテッカルフィッシュ」に挑戦!?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
オートバックス、東京オートサロン2025にふたつのブースを出展。プロドライバー共同開発コラボ商品のお披露目も
オートバックス、東京オートサロン2025にふたつのブースを出展。プロドライバー共同開発コラボ商品のお披露目も
AUTOSPORT web
【24’ 12/23最新】レギュラーガソリン、15か月ぶり全国平均180円台に
【24’ 12/23最新】レギュラーガソリン、15か月ぶり全国平均180円台に
グーネット
急な降雪に備えを! まさに転ばぬ先のつえ! ソフト99から布製タイヤ滑り止めカバー「モビルシュシュ」登場
急な降雪に備えを! まさに転ばぬ先のつえ! ソフト99から布製タイヤ滑り止めカバー「モビルシュシュ」登場
くるまのニュース
「一体感」を増すボディロール アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2) 猛烈な中毒性
「一体感」を増すボディロール アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2) 猛烈な中毒性
AUTOCAR JAPAN
型破りな冒険マシン! アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(1) 流暢な没入体験
型破りな冒険マシン! アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(1) 流暢な没入体験
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG、F1直系PHEVシステムで816PS/1420Nmの『SL63 S Eパフォーマンス』を追加
メルセデスAMG、F1直系PHEVシステムで816PS/1420Nmの『SL63 S Eパフォーマンス』を追加
AUTOSPORT web
全7戦の2025年ETRCカレンダー発表。グッドイヤーも2027年までタイトルパートナー契約を延長へ
全7戦の2025年ETRCカレンダー発表。グッドイヤーも2027年までタイトルパートナー契約を延長へ
AUTOSPORT web
福住仁嶺がインタープロト全勝王者に喜び「今後も“がむしゃらに強い”レースをしたい」牧野任祐とのバトルも楽しむ
福住仁嶺がインタープロト全勝王者に喜び「今後も“がむしゃらに強い”レースをしたい」牧野任祐とのバトルも楽しむ
AUTOSPORT web
「お客さん警察行きましょうか…」ベテランタクシー運転手に聞く 驚愕の泥酔客3選「さすがプロ!」な案件まで
「お客さん警察行きましょうか…」ベテランタクシー運転手に聞く 驚愕の泥酔客3選「さすがプロ!」な案件まで
乗りものニュース
全長3.8m! 新型コンパクトカー「ヒョンデ インスター」日本初公開へ! 2025年春発売の小型モデルはカクカク“SUV風”デザイン×上質インテリア採用! オートサロンで披露へ
全長3.8m! 新型コンパクトカー「ヒョンデ インスター」日本初公開へ! 2025年春発売の小型モデルはカクカク“SUV風”デザイン×上質インテリア採用! オートサロンで披露へ
くるまのニュース
“スズキ”好きにはマストアイテム⁉︎ スズキ×メガバスの「シーバス用ルアー」が東京オートサロン2025で100本限定発売!
“スズキ”好きにはマストアイテム⁉︎ スズキ×メガバスの「シーバス用ルアー」が東京オートサロン2025で100本限定発売!
VAGUE

みんなのコメント

4件
  • 406は本当に綺麗、美しかったなあ
    マイチェン前のモデルは特に

    車ってどうして年を重ねる毎にゴテゴテしてきちゃうんだろうね。そりゃデザイナーさんの苦労もあるんだろうし、売上との兼ね合いもあるんだろうけど…
  • 406は素晴らしいのに・・・407はみにくいほど間抜け。

    コドモのおもちゃのデフォルメ感そのままっぽい。

    コレが失敗したから現在クーペが消滅したんだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8179.5万円

中古車を検索
407 クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8179.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村