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フェルスタッペン親子を手がけたレイモンド・フェルミューレン【タキ井上が語る敏腕F1マネージャー/第2回前編】

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フェルスタッペン親子を手がけたレイモンド・フェルミューレン【タキ井上が語る敏腕F1マネージャー/第2回前編】

 1994年の日本GPでF1デビューを果たし、1995年には日本人4人目のフルタイムF1ドライバーとなった“タキ井上”こと井上隆智穂。F1引退後、さまざまなかたちでレーシングドライバーのマネジメントに携わったタキ井上が、複数回にわたり敏腕F1マネージャーたちについて語っていく『タキ井上が語る敏腕F1マネージャー』は、autosport web Premiumの会員限定で連載中だ。

 本企画2人目に取り上げる人物は、2022年シーズンのF1ワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンのマネージャー/エージェントであるレイモンド・フェルミューレンだ。前編となる今回は、マックス・フェルスタッペンの2度目のドライバーズタイトル獲得を記念し、会員以外の方にもお楽しみいただけるよう特別掲載でお届けする。

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 昨年に続き2022年シーズンもF1世界選手権のドライバーズタイトルを獲得した、レッドブルF1のマックス・フェルスタッペン。彼は2022年シーズン開幕前にレッドブルF1との契約を2028年シーズン末まで延長しており、“マックス・フェルスタッペン”時代はしばらく続くのではないかとタキ井上は感じている。

 さて、1997年9月30日生まれで先月25歳となったオランダ人を支えるマネージャー/エージェントのひとりが、彼の父親でありヨス・フェルスタッペンであるというのはF1ファンなら誰もが容易に想像できるはずだ。サーキット入りするマックスの隣には大抵ヨスの姿があり、マックスが表彰台の中央に立てばその下でチーム関係者と喜びをともに表すヨスの姿がある。

 あらためて記すまでもないかもしれないが、ヨスは僕とほぼほぼ同期の元F1ドライバーである。彼は8歳になった1980年にカートレースを経験し、並外れた才能でオランダ、ベルギー、ヨーロッパで次々にライバルを撃破。1989年に静岡県掛川市のつま恋国際カートレース場で開催された第13回ジャパンカートグランプリでも優勝を飾った。

 1991年末にヨスの父フランス・フェルスタッペンは、1980年代半ばにF1参戦経験のあるオランダ人、ヒューブ・ロッテンガッターの協力を仰ぎ、息子ヨスに初めてレーシングカーを経験させた。オランダのザントフールト・サーキットで6年落ちのフォーミュラ・フォード・クロスルを操ったヨスは、驚異的なラップタイムを記録してその場に居合わせた関係者を驚かせたという。

 ヨスはロッテンガッターのマネジメントとフィリップス(オランダに本拠を置くヘスルケア・医療関連の電気機器メーカー)やマールボロ(フィリップモリスが製造するタバコのブランド)のスポンサーを取り付け、1992年よりフォーミュラ・オペル・ロータスで本格的な4輪レースへデビュー。1993年のドイツF3選手権では圧倒的な速さと強さでタイトルを獲得し、彼のもとには多くのF1チームからオファーが寄せられた。その中からヨスは1994年シーズン、ベネトンF1とのリザーブドライバー契約を選択した。息子マックスもF3経験は2014年の1シーズンだけであり、翌年はF1昇格というその早熟ぶりは親子ともに同じだった。

 さて、ヨスがリザーブドライバーを務めるベネトンF1のエースドライバー、ミハエル・シューマッハーをサポートするために新たに加入したJJレートは、1994年シーズン開幕前のテストでクラッシュして首を負傷。22歳のヨスが開幕2戦で急遽代役を務める幸運に恵まれた。息子マックスの17歳166日に及ばないとはいえ、当時はそれなりに若いF1デビューと言えた。

 また、1994年シーズン中盤にJJレートに代わりレギュラードライバーに昇格したヨスは、予想外のアクシデントで注目を集めた。7月の第9戦ドイツGPでピットストップ時に燃料が漏れて、マシンとともに猛火に包まれた。幸い命に別状はなかったが、顔などにやけどを負った。

 ヨスは1995年以降、シムテック、フットワーク、ティレル、スチュワート、アロウズ、ミナルディなど、尻の温まる暇もないほど頻繁に毎年チームを移籍した。所属チームの水準で言えばまあ、タキ井上とどっこいと言えよう(汗)。ただし、1999年にはホンダF1のテストドライバーに就任。これはホンダがエンジンだけでなくシャシーまで製作してチームとしてのF1参戦を土壇場で放棄して無くなるのだが、のちにマックスがホンダのパワーユニット(PU)でドライバーズタイトルを手にした史実を考えると感慨深い。

 さて、ヨスは50歳になった今でもGTレースやカートレース参戦に意欲をたぎらせているとはいえ、冒頭で記したように最近は息子マックスのマネジメントに力を割いている。もっとも、ヨスは過去に妻やガールフレンド相手にさまざまなスキャンダルを引き起こしたF1界きっての要注意人物でもあり、マックスのマネジメントに関してしっかりと手綱を握る人物の存在も欠かせない。それが今回、マックスのマネージャー/エージェントのひとりとして紹介するレイモンド・フェルミューレンである。

 もともと保険代理業を生業としていたフェルミューレンは、趣味のカートレース場で1996年にヨスと知り合ってあっという間に意気投合した。間もなく彼のマネージャー/エージェントとして働き始めて、ヨスのレース活動を支えた。マックスがまだヨスの“タマ”のなかにも居なかった時代からの、古い付き合いが今でも続いているのである。その後、ヨスにとって最初の妻の子供であるマックスの面倒もフェルミューレンは自然と見るようになった。

 マックスは次のように言っている。「レイモンドとヨスがそばに居るのは、僕にとって大きな財産だ」と。「タキがそばに居るのは、僕にとって大きな財産だ」と僕も言われてみたい(汗)。まぁ戯言はともかく本稿の後編では、フェルミューレンがF1界においてマックス関連で築き上げた、後ろへ引っくり返るくらいに巨大化したF1ビジネスの全貌に迫る!! F1を“出禁”となって久しい今の僕だから話せる現実を開陳する(汗)。乞うご期待!!

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『タキ井上が語る敏腕F1マネージャー』、次回となる第2回後編では、いよいよフェルミューレンが手がけた“1日平均で億円単位の金を生み出す”驚愕のF1ビジネスに迫る。なお、こちらは『autosport web Premium』の会員限定でお届け。月額税込390円の『autosport web Premium』では本企画のほか、コアなモータースポーツファンのレーシングスピリットを刺激する“密度の濃い”会員限定記事を読むことができる。また、autosport本誌最新号も電子書籍で期間内読み放題となるなど、さまざまな特典も。詳細は下記リンク、もしくはオートスポーツwebのバナーから確認してほしい。

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みんなのコメント

2件
  • やっぱり私はタキ井上が苦手
  • 自動車業界の正当性と親の言うことを聞いていたみたいなのでは、現実の人生の困難さとはかけ離れて来るから、弱点があっての学歴とかレーシング歴とかの困難さがチームとか組織における存続的安定性とはかけ離れて来るからあんまり参考になるわけじゃない。そういう人がいると言うことと解雇が事情。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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