軽いホットハッチのような走り 高い洗練性
アウディA2は、エンジンを始動させると古さが表面化する。75psを発揮する1.4L 3気筒ディーゼルターボは、冷間時の振動が激しい。故障かと心配したくなるくらい。1.4Lと1.6Lのガソリンエンジンも選択できたが、燃費では遥かに有利だった。
【画像】発売は「25年」早かった? ホンダ・インサイト アウディA2 こんな挑戦的なモデルもありました 全136枚
油温が上昇すると、徐々に滑らかになるが、ガラガラというディーゼル・ノイズは消えない。魅力の1つとして、考えられなくもないけれど。
発進させると、出だしは若干鈍いものの、1800rpmを超えると勢い付いてくる。最大トルクは19.8kg-mと太く、スルスルと速度を乗せていく。車重が軽いため、むしろ想像以上に速い。特に中間加速は、ひと回り大きいアウディも驚かせられるだろう。
正確にゲートを選べる好感触な5速MTを駆使し、パワーバンドを保てば、軽いホットハッチのよう。3速、4速と気持ち良くシフトアップしていける。
ディーゼルエンジン以外、洗練性も高い。優れた空気抵抗のおかげで、風切り音は最小限。タイヤやサスペンションからのノイズも抑えられ、長距離の疲労感は小さそうだ。
対するホンダ・インサイトは、荷室で車外からのノイズが反響し、ややうるさい。60km/hを超えると、特にロードノイズが耳につく。
加速力も、A2には届かない。ハイブリッド・パワートレインの最高出力は77ps。車重は軽いが、最大トルクが11.4kg-mと細いからだ。新車時、ホンダは1.5Lエンジン級の加速だと主張したが、少し誇張していたようだ。
今でも不満なく機能するホンダのハイブリッド
一方、滑らかに回るエンジンは静か。電気モーターがシームレスにトルクを補完し、早めに1段上のギアを選んでも目立った問題は生じない。5速MTのシフトレバーは軽快に倒せ、ダイレクト感も強い。無駄に変速したくなる。
燃費優先にプログラムされたシフトインジケーターが、1600rpm前後でシフトアップを促す。これに従っていると、パワーの物足りなさを感じる。
アイドリングストップ機能も優秀。1速に入れると、即座に3気筒エンジンが目覚める。現在では当たり前の機能だが、1999年には先進的に受け止められたはず。
燃費にも唸る。先に試乗していた同僚のマット・プライアーは、28.3km/Lを達成したと自慢していたが、当時のオーナーは日常的に35.0km/Lで乗れていたとか。A2の現実的な燃費は21.0km/L前後で、開きは大きい。
ホンダがIMAと呼んだインサイトのハイブリッドは、今でも不満なく機能する。駆動用バッテリーを最新仕様に置換すれば、現行の小型車にも問題なく対応できそうだ。
と、それぞれの特徴を持つ2台だが、運転が楽しいという点で見事に共通している。車重が2tを超えつつ、電子技術の効果で機敏に身をこなすバッテリーEVとは、まるで違う楽しさがある。
軽く小さいクルマのエンターテインメント性
本当に軽く小さなクルマが、いかに高いエンターテインメント性を備えているのか、改めて痛感せざるを得ない。ここでは、大は小を兼ねていない。
動的な活発さが光るのはA2。ややスローレシオなステアリングへ、積極的に反応する。慣性が小さく、トップ・アスリート級に敏捷。ヘアピンカーブも、水を得た魚のように駆け抜けられる。
タイヤ幅は185と細いが、グリップ力も充分。前後アクスルへ荷重が分配され、操縦性のバランスも良い。ボディロールは小さく、フラットに旋回できる。
ちなみに2000年の英国編集部は、B5系のRS4より、A2の方が優れたドライバーズカーだと評価している。冗談のようだが。
つぎはぎの多い都市部の舗装では、乗り心地はゴツゴツと滑らかではない。だが、それが唯一の弱点だろう。
サスペンションが柔らかいインサイトは、乗り心地が良好。スタイリングレシオは、A2よりクイック。ただし、タイヤ幅は165と更に細く、気張りすぎるとグリップが抜けてしまう。
それでも、重心が低く車重も軽く、身のこなしは鋭敏。カーブを安定して旋回し、正確にライン取りできる。途中に凹凸があっても、高い速度域を保てる。運動エネルギーが無駄にならず、優れた燃費にも結びつく。
2024年の状況にバッチリ応えられる?
パッケージングやエネルギー効率の優秀さを知ると、冷遇された25年前が残念に思えてくる。少なくとも、インサイトは北米で一定の支持を集め、7年間のモデルライフで1万4000台以上が売れた。他方、欧州では約400台に留まった。
その頃のホンダは、ハイブリッド・システムを実証する旗振り役だと主張していた。確かに、その役割は果たせたといえる。世界市場をリードする、現在の日本車のハイブリッド技術を見れば、説明は不要だろう。
対するA2は、アウディに落胆を残しただけかもしれない。メルセデス・ベンツAクラスのライバルとして想定されたが、販売は4:1の割合いで大差が付いた。しかも開発・製造コストが高く、1台売れる毎に4000ポンドの損失が生まれたとか。
2024年の自動車には、25年前以上に環境負荷を抑えることが求められている。この2台が、今という状況にバッチリ応えられると感じるのは、筆者だけだろうか。
挑戦的で楽観的だった、1990年代の自動車メーカーの姿勢も、魅力的に思えてくる。当時のデザイナーやエンジニアの洞察力にも、感心せざるを得ない。
A2のデザインは、まったく古びていない。インサイトのパワートレインは、現在でも通用する。無責任なアイデアかもしれないが、それぞれ必要なアップデートを加えて1台に融合したら、悪くない競争力を持つモデルが完成するかも。
25年前のインサイトとA2 2台のスペック
ホンダ・インサイト(初代/1999~2006年/英国仕様)
全長:3940mm
全幅:1695mm
全高:1355mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:12.0秒
燃費:29.4km/L
CO2排出量:80g/km
車両重量:852kg
パワートレイン:直列3気筒995cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:77ps/5500rpm
最大トルク:11.4kg-m/1500rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)
アウディA2 1.4TDI(1999~2005年/英国仕様)
全長:3825mm
全幅:1673mm
全高:1553mm
最高速度:172km/h
0-100km/h加速:12.3秒
燃費:23.3km/L
CO2排出量:116g/km
車両重量:990kg
パワートレイン:直列3気筒1422cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:75ps/4000rpm
最大トルク:19.8kg-m/2200rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)
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みんなのコメント
まあそれくらいだろうとは思ってたけどギア比と回転数や空気抵抗値から200km/hに届くかもと言う希望的観測もあったけど結局日本でのリミッターと同じね。
短時間で一気に加速し、減速は強めに効かせる。
幸い、バッテリーはプリウスのバッテリーを買って、インサイトオーナーで分け合うことで安上がりに補給出来ます。