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【第3のアストンらしさ】アストン マーティンDBXへ試乗 メルセデスAMG製V8搭載 後編

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【第3のアストンらしさ】アストン マーティンDBXへ試乗 メルセデスAMG製V8搭載 後編

レザーに包まれた豪華なインテリア

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】DBX ウルスとレンジを比較 全103枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


大型高級SUVモデルの中でも、アストン マーティンDBXは最も乗り降りが簡単かもしれない。大きく開くドアがあり、近年のアストン マーティンらしく、サイドシルがフラット。足を持ち上げる高さも、低くて済む。

アルミニウムを用いたプラットフォームを採用するスポーツカーの場合、太いサイドシルで剛性を確保する傾向がある。その結果、着座位置も車両中央側に寄ることになるのだが、DBXの場合は違う。

ドアを締めると、前後左右、レザーで包まれた車内だということに気づく。インテリアは、間違いなく豪華。

装備や設えの面でも、DB11やヴァンテージが当初から備えていれば、という内容を得ている。モニター式のデジタルメーターは解像度が高く、発色や鮮明度も良い。エアコンの送風口はプラスティック感がなくなり、スイッチ類の触感も優れる。

ダッシュボード上部もレザー張りだが、試乗車では不自然なシワが何本か入っていた。ウッドパネルも散りばめられているが、仕上げには少しムラがあるように見えた。

量産初期のクルマだからか、ハンドメイドであることを意図的に伝えるものなのか、どちらなのだろう。細かな穴あけ加工と、ステッチは素晴らしい。

シートは大きく、調整幅も大きい。ステアリングホイールの位置も、ピタリと決まる。助手席に座る人でも、特に不満を感じる部分はないだろう。

アストン マーティンらしさは宿っている

トノカバー下の荷室容量は480Lで、ベンテイガとほぼ同値。レンジローバーよりは狭い。荷室の床面は高く、その下にも荷物用の空間が確保されている。

滑らかなルーフラインだから、リアシート側の空間には多少の影響がある。大学生の息子を送迎する時は、少し狭く感じられてしまうかもしれない。とはいえ、クーペ風ボディのSUVとしてみれば、充分な広さはある。

車内のあちこちには、小物入れも備わる。牽引重量は2700kgまで。ボートや馬を乗せたトレーラーも引っ張れるだろう。アストン マーティンでこんな話をするのが、奇妙にも思える。

アストン マーティンらしくないのは、ダッシュボードに配されたシフトレバーも同様。筆者は気に入った。トランスミッション・トンネルのパネルが開放され、メルセデス・ベースのインフォテインメント・システム用コントローラーがレイアウトされている。

親しみやすさと差別化。それがDBXらしさでもある。もし目隠しをして運転したのなら、アストン マーティンだとわかるだろうか。安全な場所で、少しだけ試してみた。

2320kgもある車重と車高だから、500kg以上軽量なクーペのようには走らない。でも、アストン マーティンらしさはちゃんと宿っている。

SUVとしては低い車高と、高めの位置のウインドウだから、レンジローバーやベンテイガよりずっと乗用車ライクだ。オフローダーではなく、クロスオーバーに近い。少し試した限り、悪路の走破性にも不足はないだろう。

高速道路向きの落ち着いた乗り心地

ステアリングはスムーズで、動きは正確。ロックトゥロックは2.6回転となり、反応は良好で重み付けも丁度いい。乗り心地も良く制御されている。ただし、扁平率の低いタイヤのおかげで、ロードノイズが大きい。

アルミニウム製のボディに、大きな車内空間を備えるから、ノイズの面では不利になりがち。管理の悪い舗装でもDBXはしなやかに通過するが、市街地でも静かさが保たれるわけではない。

路面の状態が良くなると、ロードノイズは消える。ほかの部分が上質なだけに、少々残念だと思う。

燃料タンクの容量は85L。とても落ち着いた走りを楽しめるから、高速道路を長距離走るようなスタイルによく合う。

メルセデスAMG譲りとなる、V8エンジンのにぎやかなサウンドは、アストン マーティンとして高級感あるものへ調律を受けている。同時に、個性やスムーズさもやや失われているようだ。

とっさの追い越しに不足ない、たくましいトルクをすぐに引き出せる。0-100km/h加速は4.3秒しか掛からない。

トランスミッションもほとんどの場面で好感触。ただし、そのほかのアストン マーティンが搭載する8速AT並みの、素早い反応が得られない場面もある様子。

姿勢制御には優れ、ボディロールはヴァンテージより少ないほど。同時に、隆起部分やくぼみの通過時は優しく、自然で緩やかな乗り心地が与えられている。

アストンへ加わった第3のラインナップ

アストン マーティン初のSUVは、ドライバーズカーといえるのか。世界最高水準にある4ドアクーペ、アストン マーティン・ラピードとは違うことは間違いない。ほかの競合SUVと比べて考えてみよう。

ランボルギーニ・ウルス。ダイナミクス性能は高いが、落ち着きはない。ポルシェ・カイエン。破壊的なパフォーマンスだが、硬い。ベントレー・ベンテイガ。より高級でも、少し緩い。

それでは、レンジローバーは。運転する喜びに不足はないものの、SUVではなくオフローダーといった雰囲気だと思う。

多くの路面でアストン マーティンDBXは、最も運転が楽しいSUVだといえるだろう。少し背が高い、後輪駆動のスポーティなラグジュアリー・サルーンという、疑似体験が得られる。しかも車高が高いぶん、視認性は良い。

完璧ではない。だが、条件によっては、最高のモデルになり得る。

アストン マーティンらしいか。率直にいって、筆者は従来のアストンらしさは薄いと感じた。フロントエンジンのボンネットが長いクーペと、ミドシップのボンネットが短いスーパーカーに加わった、新しい第3のアストン マーティンといった印象だ。

SUVという多様性が求められる時代に、アストン マーティンが必要とするモデルとしては相応しい。経営者が交代した今、アンディ・パーマー時代の寛大さを、改めて感じられる1台だといえるだろう。

アストン マーティンDBX(欧州仕様)のスペック

価格:15万8000ポンド(2133万円)
全長:5039mm
全幅:1998mm
全高:1680mm
最高速度:291km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:6.8km/L
CO2排出量:323g/km
乾燥重量:2320kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/2200-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック

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