現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 燃費はソウル&マインドの代償 マセラティ・グレカーレ レンジローバー・ヴェラール ハイブリッドSUV比較試乗(2)

ここから本文です

燃費はソウル&マインドの代償 マセラティ・グレカーレ レンジローバー・ヴェラール ハイブリッドSUV比較試乗(2)

掲載
燃費はソウル&マインドの代償 マセラティ・グレカーレ レンジローバー・ヴェラール ハイブリッドSUV比較試乗(2)

燃費はスポーティなマインドやソウルの代償

マイルド・ハイブリッドのマセラティ・グレカーレ・モデナは、渋滞時などを除いて、内燃エンジンを止めて走ることは難しい。運動エネルギーを電気エネルギーとして回収できる能力は、限定的だといっていいだろう。

【画像】ハイブリッドSUV マセラティ・グレカーレとレンジ・ヴェラール レヴァンテとレンジローバーも 全121枚

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール P400eの平均的な燃費は、駆動用バッテリーの充電量が乏しい状態でも、普段使いで12.4km/Lから13.5km/Lの間になる。しっかり満充電にしておけば、更に伸ばすことも容易だ。

グレカーレは、同等の条件で11.3km/L程度。転がり抵抗の大きい、ワイドなタイヤを履いているとしても、小さくない開きがある。

とはいえ、グレカーレの燃費は、スポーティなマインドやソウルを宿した個性への代償ともいえる。フルスロットルでパドルを弾きシフトアップすれば、4本出しのマフラーからバリバリと刺激的なノイズが放たれる。

動力性能や操縦性は、ドライバーズカーと呼んでいい。積極的に運転したいと思える。

レンジローバー・ヴェラールは、乗り心地や走行マナーに秀でた高級SUVだ。パワートレインの存在感は薄く、車内へ届くノイズは小さい。扱いやすく上品さを伴う。動力性能もたくましく、より望ましいモデルだと思える。

それと同時に、グレカーレは異なる側面で秀でている。試乗車にはオプションのエアサスペンションが組まれていたが、身のこなしは遥かにシャープ。路面との確かな設置感があり、躍動的な操縦性を叶えている。

乗り心地ではヴェラール コーナリングではグレカーレ

レンジローバー・ヴェラールにもエアサスは用意されるが、プラグイン・ハイブリッドのP400eでは選べない。エアポンプの稼働が、駆動用バッテリーでの航続距離に小さくない影響を与えるためだ。

興味深いことに、この2台でコーナリングを楽しめるのはエアスプリングのグレカーレ。意外ともいえるが、スチールコイル・サスペンションのレンジローバー・ヴェラールの方が、快適で穏やかな乗り心地にある。

速度域の高いカーブが連続する区間を、レンジローバー・ヴェラールは引き締まった姿勢制御で滑らかに処理する。ステアリングホイールには、確かな手応えがある。

だが、2205kgある車重を実感させる。路面がうねるような、長い波長の入力に対しては若干揺れが大きい。細かい隆起部分などは、巧みに均してくれるのだが。

グレカーレはグリップ力で勝り、よりシャープ。シャシーとコミュニケーションを取りやすく、積極的なコーナリング中でも調整域が広い。ストレートが見えたら、トラクションを掛けて一気にパワーを展開できる。

その間、ボディは終始フラットに保たれる。サスペンションへ掛かる負荷を、しっかりドライバーは感じ取ることができる。

運転を楽しめ、心から所有したいと思える

2台とも2.0L直列4気筒ターボエンジンを積むが、レンジローバー・ヴェラールからは、フルスロットル時に少し息苦しそうな、インジニウム・ユニットらしいノイズが響く。駆動用モーターが即座に反応するものの、意欲的に回ろうとする性格ではない。

グレカーレの4気筒エンジンは、より個性が強い。サウンドも聞かれることを前提にチューニングされている。アクセルペダルを深く倒すと、一瞬のタメをおいて、鋭く中回転域まで吹け上がり、勢いよくレブリミットに当たる。加速力では拮抗するが。

筆者が普段使いのクルマとして選ぶなら、維持費も踏まえて、レンジローバー・ヴェラールになるだろう。このカテゴリーを検討する、大多数のドライバーへオススメできる。ストロングポイントを毎日活用できる、上品で贅沢なSUVだと思う。

それでも、この比較で軍配が上がるのはグレカーレになる。運転を存分に味わえ、心から所有したいと思えるSUVだからだ。

高級SUVへまったく関わりのなかったマセラティが、短期間にこれほどのモデルを完成させたという事実は、正しいマネージメントとディレクションの重要性を示している。革新的で存在感のあるブランドへ、進化を遂げたといえる。

グレカーレは、このクラスで最も優れる1台へ数えられる。次のマセラティがどんなモデルになるのか、大きな期待を抱かせる結果となった。

ランドローバーとマセラティ ハイブリッドSUV2台のスペック

マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)

英国価格:6万8805ポンド(約1245万円)
全長:4847mm
全幅:1979mm
全高:1667mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:10.7-11.4km/L
CO2排出量:199-211g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー+ISG+電動スーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:329ps/5750rpm
最大トルク:45.8kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール P400e ダイナミックSE(英国仕様)

英国価格:6万9305ポンド(約1254万円)
全長:4797mm
全幅:1950mm
全高:1683mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:5.1秒
燃費:54.1km/L
CO2排出量:42g/km
車両重量:2205kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガゾリン
最高出力:403ps/3750-4000rpm
最大トルク:65.1kg-m/1500-4400rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

こんな記事も読まれています

新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
くるまのニュース
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
バイクのニュース
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
レスポンス
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
motorsport.com 日本版
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
くるまのニュース
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
バイクのニュース
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
ベストカーWeb
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
日刊自動車新聞
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
AutoBild Japan
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
くるまのニュース
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
VAGUE
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
レスポンス
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

896.01476.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

750.01550.0万円

中古車を検索
グレカーレの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

896.01476.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

750.01550.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村