現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ドライバーを喜ばせる天才 フォード・フォーカス STへ試乗 2.3L 4気筒ターボで280ps 後編

ここから本文です

ドライバーを喜ばせる天才 フォード・フォーカス STへ試乗 2.3L 4気筒ターボで280ps 後編

掲載 1
ドライバーを喜ばせる天才 フォード・フォーカス STへ試乗 2.3L 4気筒ターボで280ps 後編

2.3L 4気筒ターボで280psと42.7kg-m

モデル中期となるフェイスリフトを受けた、フォードのホットハッチ、フォーカス ST。

【画像】ドライバーを喜ばせるホットハッチ フォード・フォーカス ST 競合モデルと写真で比較 全106枚

シャシー側では、トルクベクタリング機能付きのリミテッドスリップ・デフを標準装備する。アダプティブ・ダンパーと、トラック(サーキット)・モード付きのドライビングモードを装備するには、800ポンド(約13万円)の追加予算が必要となる。

エンジンは、280psを発揮する2.3L 4気筒ターボガソリンで、今回は特に変更を受けていない。とはいえ、最大トルクは42.7kg-mと相変わらず太く、レスポンスも鋭い。

エンジンにはサウンドを共鳴させるエンハンサーが付いており、艷やかな響きを楽しめる。車内のスピーカーを介して、ドライバーへ電子的に直接届けてもくれる。スポーツ・モードを選ぶと、そのボリュームも大きくなる。

もはや5気筒エンジンの特徴的なサウンドではないし、人為的なものでもある。それでも4気筒ターボとしては、聴き応えのある音響であることは確かだ。

5000rpmを超えると、若干回転上昇の勢いに陰りが出てくる。より扱いやすい手前の回転域で病みつきになるようなパワーの高まりがあるから、そこまで回す頻度は少ないかもしれない。

2022年の英国の一般道では、まったく不満のない加速力を引き出せる。むしろ、有り余るほど。

多くのライバルを凌駕する運転の楽しさ

フォーカス STは、未だに6速MTが標準装備される、ピュアなホットハッチ。トルクコンバーター式の7速ATもオプションで選択できるが、こちらは競合のデュアルクラッチATほど、日常的な使い勝手と走りの興奮を両立させているとはいえないようだ。

Dに入れたまま、充分素早く駆け回ることができる。だが、積極的に運転している状況では、段数が多すぎる印象が拭えない。特にドライバーがシフトパドルを弾いて、自らギアを選んでいる場面では。

変速自体もクイックとまでは呼べないし、ドライバーズカーとして、フィーリングも勢いに欠ける。低速域では変速をためらうこともあるようで、自分がクルマを操っているという感覚を少し薄めているようだった。やはり、フォーカス STにはマニュアルだ。

その7速ATの印象を除き、動的能力が与えてくれるドライビング体験の輝きは、従来と変わらない。ステアリングホイールの重みづけやレシオ設定は絶妙で、操縦性は機敏でバランスも素晴らしい。高速域での姿勢制御にも、まったく不満は感じられない。

プレミアム・ブランドのホットハッチより手頃でありながら、走りの魅力は濃密。そして、その楽しさは多くのライバルを凌駕する。

手首を軽快に動かし、タイミングよくペダルを踏み込むことで、普段のカーブがエンターテイメントになる。直感的に、爽快に駆け抜けられる。

コーナリング時のグリップレベルは高く、ヘアピンカーブからの立ち上がりは確実なトラクションが支えてくれる。秀でた動力性能と、懐の深いシャシーが見事に融合している。

ホットハッチのスイートスポット

フォーカス STは、日常的な環境で運転を堪能できるという特長で、ホットハッチのお手本といえる水準にある。確かに一部のライバルよりスピードは劣るかもしれないが、シリアスだからといって、必ずしも楽しいとは限らないものだ。

パワフルな四輪駆動モデルに、充足感でのアドバンテージがあるわけでもない。ホットハッチのスイートスポットとして、フォーカス STが君臨するという事実は変わらない。

フェイスリフト後で気になったのが、乗り心地の変化。19インチ・ホイールには、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sではなく、新コンパウンドを採用したピレリPゼロを履いていたことが原因だと思う。

サイドウォールの剛性を高めることで、サーキットでの走りを鋭敏にすると同時に、繊細なステアリングレスポンスを狙っているのだろう。その見返りとして、低速域での乗り心地は若干落ち着きに欠いていた。高速域でも、しなやかさが薄れている。

フォード最大の強みが、日常的な乗りやすさと、動的能力とを巧みに共存させてきたこと。この方向性には、少し疑問を抱かなくもない。

とはいえ、今回はサーキットを走る機会はなかった。乗り心地と引き換えに、どれだけラップタイムを削っているのかも確かめられてはいない。

いずれにしてもフォード・フォーカス STは、英国編集部イチオシのホットハッチの1台だ。走る道を問わず、ドライバーを喜ばせてくれる能力は、最新版にも不備なく見事に整っている。

フォード・フォーカス ST オートマチック(英国仕様)のスペック

英国価格:3万6410ポンド(約608万円)
全長:4378mm
全幅:1825mm
全高:1454mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:12.2-12.7km/L
CO2排出量:180-187g/km
車両重量:1529kg
パワートレイン:直列4気筒2261ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:280ps/5500rpm
最大トルク:42.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:7速オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
AUTOSPORT web
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
Merkmal
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
LE VOLANT CARSMEET WEB
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
モーサイ
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
くるまのニュース
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
Webモーターマガジン
ランボルギーニ、WEC参戦“休止”を発表。ハイパーカー、LMGT3共に撤退……IMSAとテメラリオGT3開発に専念か
ランボルギーニ、WEC参戦“休止”を発表。ハイパーカー、LMGT3共に撤退……IMSAとテメラリオGT3開発に専念か
motorsport.com 日本版
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
THE EV TIMES
世界最高峰のラリーストが日本に集結した! ラリージャパンのオープニングは2台同時走行のSSバトル!!
世界最高峰のラリーストが日本に集結した! ラリージャパンのオープニングは2台同時走行のSSバトル!!
WEB CARTOP
マツダが「超凄いロードスター」公開! 2Lで200馬力×幌仕様で登場!? こだわり“リアスポイラー”にも注目!? 限定で明かされた内容とは
マツダが「超凄いロードスター」公開! 2Lで200馬力×幌仕様で登場!? こだわり“リアスポイラー”にも注目!? 限定で明かされた内容とは
くるまのニュース
スタイリッシュでカッコイイ! アキュラ「ADX」世界初公開  1.5リッターVTECターボを搭載する全長4.7mの高級コンパクトSUV
スタイリッシュでカッコイイ! アキュラ「ADX」世界初公開 1.5リッターVTECターボを搭載する全長4.7mの高級コンパクトSUV
VAGUE
2億年前の石材を使ったベントレー!? 「テクスチャー表現」に匠のワザ光る4台
2億年前の石材を使ったベントレー!? 「テクスチャー表現」に匠のワザ光る4台
レスポンス
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
AUTOSPORT web
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
motorsport.com 日本版
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
バイクのニュース
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
くるまのニュース
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550.02800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
ターボの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550.02800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村