自動車のハイテク化が進むなか、ヘッドライトやテールランプに、新たな機能を持たせる動きが出てきている。今回紹介するのはフォルクスワーゲンの次世代ヘッドライト。現在開発中の技術で、このたび商品化を前にその内容が明らかになった。
フォルクスワーゲンは、これまでにもいくつかの次世代ヘッドライト技術を発表してきた。新型トゥアレグに採用した「IQライト」は、ヘッドライトに合計256のLEDを採用し、視認性を高めるとともに、カメラと連動して照射範囲を高精細に制御し周囲の車両の幻惑を防ぐ機能も持つ。このほか、3万ピクセルのハイレゾを誇るHD LCDヘッドライト(開発中)や、マイクロピクセルLEDヘッドライト(数年内の実用化の予定)など、ライトは視認性の向上と同時に、状況に合わせて周囲に注意の喚起ができる方向へハイテク化が進んできている。
今回の発表では、なにか特定の技術が公開されたわけではなく、いわばこれまでの研究を集大成したもの。次世代ライトでは交通標識がヘッドライトの反射でドライバーを幻惑する可能性がある場合に、瞬間的に光量を落として幻惑を防ぐ「サイングレア・コントロール」や、進行方向の道幅が狭まる場合に、路上にガイドラインを照射することでドライバーをサポートする「オプティカル・レーンアシスト」、進行方向に歩行者や自転車、動物などがいる場合に対象物をスポットライトで明るく照らして、周囲に見えやすくする「インフラレッド」、目の前が渋滞している時に車両や路上にサインを表示し、後続車両に周囲を喚起する「トラフィックジャム・ワーニング」などの機能を持つ。
ヘッドライトが一気に多機能化するわけだが、フォルクスワーゲンによればこうした技術を上級モデルだけに採用するのではなく、ゴルフなどのコンパクトクラスにも採用していくとのこと。多くのユーザーがその恩恵にあずかれるというわけだ。
またメーカーは、次世代ライトは自動運転化が進むと、ますます重要性を増すとの見方を示している。自動運転社会ではドライバー同士や歩行者とのアイコンタクトが希薄になるため、ライトがコミュニケーション的な機能の一部を担うようになるというのだ。
クルマのライトが周囲にさまざまな合図を送りながら安全を確保する。そんな時代がもうすぐやってくるかもしれない。
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