車種別・最新情報 [2023.12.23 UP]
新型LBXに詰め込まれたレクサスの本気! クラス超えの装備/メカニズム/グレード完全詳報
トヨタ「ハイラックス」がよりアグレッシブに!強烈な個性光る特別仕様車が登場
新時代の“小さな高級車”ついに正式デビュー! 《460万円から!》
この春にお披露目されたレクサスLBXの国内仕様の概要が発表された。サイズこそコンパクト級だが、内外装&メカニズムは、いかにもレクサスらしい練りに練ったこだわりでいっぱい。1ランク上のプレミアムモデルを探しているユーザーにとっては、見逃せないモデルになりそうだ。
●文:川島 茂夫 ●写真:Lexus International
LEXUS 新型LBX
価格帯:460万~576万円
問い合わせ先:レクサスインフォメーションデスク
☎0800-500-5577
LEXUS 新型LBX 完全詳
既存のプレミアムを脱却する工夫が目白押し
一昔前に比べて市場の多様化が進んだことで、「プレミアム」ブランドのあり方も大きく変わってきている。その流れはレクサスでも同様で、ここに来てさまざまなアプローチを発信してきている。そんなレクサスの新たな挑戦として世に送り出されるのが、プレミアムの新しい価値感を創出すべく誕生したLBXだ。
LBXが目指す、一つ目の視点は、サイズヒエラルキーからの脱却だ。サイズや排気量を軸にした既存の車格主義に囚われない、新たな「プレミアム」を目的にしている。こう述べると、小さな高級セダンとして開発されたトヨタ・プログレを思い出す。同車のサイズは5ナンバー車のコロナ相応だったが、パワートレーン&メカニズムに直6エンジン+FRレイアウトが与えられるなど、内容としてはクラウンに匹敵していた。LBXも、サイズこそコンパクト級だが、搭載メカニズムには相当に手がこんだ内容が注がれている。強化したパワートレーンも含めて、1クラス上に仕立てているのだ。
このLBXが狙う価値感を最も具現化しているのが、「LBXビスポーク・ビルド」だ。注文生産(オーダーメイド)を意味するが、内外装の艤装やシートの表皮素材や色などを用意されたものから発注者の好みで選択してカスタマイズできる。LBXのイメージを大きく変化させるようなカスタマイズではなく、一技入れて自分専用モデルに仕立てる感じだ。なお、この仕様は100台限定の特別仕様としての設定になるが、選べる内容からしてとても1度きりとは考えられず、今後も定期的に設定される可能性を否定できない。個人的には新しいプレミアムの核として定着することが望まれる。
さらに標準設定グレードも興味深い。「クール」と「リラックス」の2グレード設定で、他のレクサス車のように出力相当排気量に沿ったネーミングではない。排気量表記がないのは、LBX以外の現行モデルではRC Fくらいだ。
もうひとつグレード名が記号ではなく、意味を持つ単語となるのも、これまでのレクサス車とは異なる。両グレードの詳細は後項で述べるが、機能装備や走行ハードウェアは共通しており、違いは内装の嗜好によるもの。シートやステアリング周りの設えや色が異なり、その雰囲気を示したグレード名というわけだ。
ビスポーク・ビルドだけでなく、標準設定グレードも含めて、個人的な嗜好の満足感を高めるためのパーソナライズ化がLBXの狙い。これまでとは違うアプローチに、レクサスの本気を大いに感じる。
風の流れを意識したボディデザインを採用したことで、スタイリングの美しさと整流性能の2つを追求。接地感の向上との相乗効果で高速域の走行安定性を高める工夫が盛り込まれている。
HEVシステムは、1.5ℓ直3エンジン&高出力型モーターに、高い電池出力が可能なバイポーラ型ニッケル水素の組み合わせ。4WD車にはリヤ駆動用のE-Fourが搭載されている。
レクサス独自の骨格強化や動力駆動制御が加えられたことで、走りの質の大幅向上も見どころのひとつ。プロトモデルの評価になるが、既存のGA-Bプラットフォーム採用車を凌駕する走行性能を獲得しているようだ。
18インチの大径タイヤや大型トリムで、クロスオーバーであることを主張しているが、本質的には街中で真価を発揮するプレミアムコンパクト。
主要諸元 (“Cool” 2WD) ●全長×全幅×全高(mm):4190×1825×1545 ●ホイールベース(mm):2580 ●トレッド【前/後】(mm):1570/1570 ●最低地上高(mm):170 ●車両重量(kg):1310 ●パワーユニット:1490cc直列3気筒エンジン(91PS/12.2kg・m)+モーター(69kW/185Nm) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R)タイヤ:225/55R18
フロントマスクは、低く構えたボンネットフードとボディ一体のグリルデザインを組み合わせた、レクサスの新しいアイコンとなるスピンドルシェイプを採用。随所に空力性能を高める工夫が散りばめられていることも、LBXの特徴のひとつになっている。
キャビン&シートにはクラス超えの素材を使用
冒頭でも述べたとおり、個人的な嗜好で選び分けできることがLBXの売りのひとつであり、それを最も分かりやすく表現しているのがインテリアだ。
インパネはヤリスクロスとはまったくの別仕立て。センターディスプレイをコンソール埋め込み型とし、操作系と表示系をシンプルに仕立てているなど、他のレクサス車とも趣が異なっている。コックピット感や機能部の存在感をこれ見よがしにしていない。言い方を換えるなら少々地味ともいえる。
ただ、インパネの主張を抑え気味にしたことで、シートやコンソール周りが映える。自分の時間をゆったり楽しむための空間。ビスポーク・ビルドを用いればさらにその印象が深まるのは間違いない。
装備類の設定で目新しい物はないが、レクサス車らしい充実した内容だ。前席パワーシートはメモリー機能付きで、リヤゲートもパワー仕様で全車に標準。レクサスセーフティセンスは緊急時操舵支援やクロストラフィックアラートがOPになるものの、他は同一仕様で準フル装備。リモコン機能付アドバンストパークを採用したチームメイトとカラーHUDはOP。コンパクトSUVとしては相当贅沢な装備仕立てだ。なお、ビスポーク・ビルドは標準でフル装備相応となっている。
LBXはFF仕様でも460万円。一方、ヤリスクロスはHEV4WDの最上級グレードでも300万円を切るので同等装備でも150万円くらいの価格差がある。その投資価値は走りも含めた質の高さにある。コンパクトSUVあるいはプレミアムコンパクトに上級クラスと比肩する内容を求めたことがLBXの見所。プライベートタイムを豊かに過ごすための内容が詰まっている。
コックピットデザインの新たな考え方となる「Tazuna Concept」に基づきデザインされたキャビン。大きな視線移動をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオなど、各種機能の操作が容易に可能な空間を実現している。
ステアリング奥には12.3インチフルグラフィックメーターを配置。メーター表示を3つのレイアウトから選択可能で、グラフィカルに情報が表示される。
センターコンソールには、9.8インチタッチディスプレイオーディオを配置。主要操作はソフトスイッチで行うが、音量などはダイヤルスイッチが担当する。
シフトレバーは、ショートストローク化やシフトバイワイヤ方式を採用することで、小気味良い操作感を実現。手による操作感を意識した工夫を盛り込むことで、クルマを操る楽しみが高まっている。
後席スペースはサイズなりだが、前席のゆとりは十分に確保。運転操作を高める工夫にも注目だ。シート座面を下げてドライバーをクルマの重心に近づけたり、力を入れやすいステアリング位置にこだわることで、より操作感を感じるドライビングポジションを実現している。
メカニズムも本格仕立て
1ランク上を積極導入
LBXは、SUV系に限らず現在のレクサス車ラインナップで最もコンパクトなモデル。ホイールベースは大径タイヤの採用に対応してか20mm長くなっているが、全長はヤリスクロスより僅か10mm長いだけだ。これに対して全幅は60mm拡大の1825mm。発表資料ではGA-Bプラットフォーム採用となっているが、全幅及びトレッドはカローラクロスと同値であり、ヤリスクロスのプラットフォームにカローラクロスのサスを移植したようなシャシー構成が与えられている。
パワートレーンはダイナミックフォースエンジンの1・5ℓ3気筒を用いたスプリット式ハイブリッドを採用。形式的にはヤリスクロスと同系だが、HEV用電池にアクアと同じく充放電特性に優れた積層型ニッケル水素電池を採用しているのが特徴だ。
4WDシステムはトヨタ系HEVモデルでは定番のE-Fourを用いるが、ヤリス同様に後輪駆動用モーターは最高出力5kWの誘導型を用いる。性能的には生活四駆型であり、SUVらしい悪路性能を求めたシステムではない。最低地上高は170mmあるものの路面状況への適性はオンロード寄り。もっとも、ラインナップ上ではLBXの上位に位置するUX250hの後輪駆動系も5kW誘導型であり、LBXの悪路性能設定が、極端に低く見積もられているわけではない。
注目点は車両重量だ。トヨタ車との姉妹関係にあるレクサス車に共通する特徴だが、LBXもまたヤリスクロスよりも重く、同等パワートレーン車同士での差は約120kgにもなる。ワイドドレッドのサスとボディ分を除いても相当な重量増といえる。これは車体骨格強化や制振遮音材によるもので、レクサス車の走りの質感や快適性の要点にもなる。煮詰められた空力性能もあって、走りの質の向上は大いに期待できそうだ。
これらのことからしてもLBXは、外観の個性化や実用面のメリットからSUVをモチーフとした、新趣向のプレミアムコンパクトと考えるのが妥当だろう。
前述のとおり全幅はヤリスクロスより一回り広いのだがカタログ室内幅の差は15mmでしかなく、ホイールベース設定からすればキャビンスペースはコンパクトSUVの中でも手狭な方だ。後席居住性については、キャビン後半の絞り込み強さから多少圧迫感が強そうな印象も受ける。パーソナルユース向けとまでは言わないが、レジャー用途への対応はほどほどで、前席重視のモデルと考えられる。
プラットフォームはTNGA世代のGA-Bベースだが、トレッド幅の拡大や、サスまわりのセッティング、高張力鋼板を多用するボディ骨格など、独自の構造設計を取り込むことで、走りの質感を高める工夫が凝らされている。
薄型設計のルーフパネルの採用や、ボンネットフードにアルミ素材を用いるなど、軽量かつ剛性強化を目的とした材料置換にも積極的。これも走り優先の設計思想がもたらしたアプローチだ。
吸音&制振性を向上させることで、室内への音の侵入を低減させたほか、エンジンや補器類から発生する音を低減する工夫も採用。クルマが発する異音の発生源に対する源流対策も強化されている。
1.5ℓ直列3気筒エンジンは、バランスシャフトの追加などで、エンジン振動の低減や出力特性を強化。トランスミッションも高出力モーターを組み合わせた最新ユニットとなる。
駆動用バッテリーは、バイポーラ型ニッケル水素電池を採用。大量の電気を瞬間的に取り出せる高出力特性により、EV走行領域の拡大を実現している。
新型LBX《グレードバリエーション》 ボディカラー/インテリア/Bespoke Build
新型LBX《主要諸元&装備比較》
新型LBX《結論》
小さな高級車に大いに期待!
プレミアムSUVという面では、UXの実質的な後継モデルとも言えるが、昨年ラインナップ落ちしたCTの後継とも見なすこともできる。CTは三代目プリウスをベースに開発されたモデルで、見た目以上にスポーティな走りが楽しめるモデルだったが、LBXはスポーツ路線を第一にしていない。これはLBXの開発コンセプトからしても間違いないだろう。
最近のレクサス車の走りの傾向として、以前よりも走行快適性に重みを置いている。その流れからしてもLBXは快適に走れるコンフォート性能も意識したクルマとなっている可能性が高い。カップルズツアラーとしても、面白い一台になりそうだ
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