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持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記

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持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記

レンジローバーの新しいプラグイン・ハイブリッドモデルにサトータケシが試乗した。千葉県木更津市にある「クルックフィールズ」を舞台にした“サスティナブル”な試乗会で体感した、最新のモダンラグジュアリーとは。

鬼に金棒、レンジにモーター

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レンジローバーのPHEV(プラグイン・ハイブリッド)の試乗会の拠点となったのは、千葉県木更津市のクルックフィールズ。「サスティナブルな社会を実現したい」という音楽家の小林武史の思いから生まれた、約30ヘクタールの広大な施設だ。

宿泊施設やレストラン、酪農場や畑がゆったりと配置されるこの施設の特徴は、敷地内で循環型社会が完結していることだ。レストランやショップからの排水は微生物や植物の力を使ったバイオジオフィルターで浄化され、太陽光パネルが発電した電気を用いたポンプで汲み上げられる。出されたゴミや動物の排泄物は堆肥となり、作物を育て、再び人や動物の栄養となる。

クルックフィールズというサークルの中で、あらゆる活動が環になってつながっているのだ。

クルックフィールズについての理解を深めたところで、レンジローバー オートバイオグラフィP550eでこの施設を出発する。このモデルは、最高出力400psの3.0リッター直列6気筒ガソリンターボエンジンと最高出力160kWのモーターを組み合わせたPHEVで、システム全体の最高出力は550ps。フルに充電した状態だと理論的には120km、現実的な使い方だと最大で94kmのEV走行が可能となる。

ほぼ電気が満タンに近い状態だったので、「EV」モードでスタートする。車両重量は2970kg、ドライバーを含めれば軽く3tを超える巨体は、音もなくするすると加速する。加速から減速、カーブを曲がるといった一連の動きが、一筆書きのようにシームレスに連続するあたりがレンジローバーらしさで、このブランドは大きなボディを優雅に動かすことがホントにうまい。

ステアリングホイールの手応え、ペダルの踏み応え、シートの掛け心地といった、直接体が触れる部分のタッチが上質で、丁寧に操作しようという気になる。クルマのおかげで、ドライバーの運転が上品になる。

こういったレンジローバーの強みに、無音・無振動でレスポンスにも優れたモーターが加わったわけだから、鬼に金棒、レンジにモーターだ。

ただし、このままだとPHEV試乗記ではなくEV試乗記になってしまうので、「Hybrid」モードを選んで直6エンジンにも仕事をしてもらう。

鬼に金棒、レンジにモーターと書いておいてなんですが、朗らかな音とともに回転を上げる直6エンジンのフィーリングは、「やっぱ直6だよなぁ」という、ひとりごとが出るくらい心地よい。このモードでは、低速域ので“はじめの一歩”をモーターが担い、中速域からの伸びやかさはエンジンが受け持つ。

さらに強くアクセルペダルを踏み込めばエンジンとモーターが力を合わせて、周囲の景色がコマ送りになるぐらいの加速を見せるけれど、このクルマに乗っていると、運転スタイルで走ろうとは思わなくなる。

派手じゃないのにいいモノ感がビンビンに伝わって来るインテリアに囲まれ、大型客船のような乗り心地に身を委ね、前述したタッチのよさに感心していると、「くるしゅうない」という気持ちになってくるからだ。こういう状態を、“金持ちケンカせず”と、呼ぶのかもしれない。

電気が減ってきたところで、今度は「Save」モードを選ぶと、エンジンが駆動だけでなく発電という仕事もするようになり、じわじわと充電量が増えていく。この状態でしばらく走り続ければ、またEV走行をすることができる。

PHEVの場合、自宅に充電設備があるのがベストであることは間違いない。けれども、EV走行の楽しさと快適さを知ると、自宅に充電設備がなくとも、サービスエリアやショッピングモールなどの急速充電器をうまく使いながらPHEVに乗りたくなる。

PHEVという仕組みはもちろん省燃費の技術であるけれど、レンジローバーが持つ魅力をさらに引き立たせる仕組みでもあるのだ。

クルックフィールズに戻ると、「ご希望の方は急速充電器も体験できます」と案内される。レンジローバーPHEVは、太陽光パネルが発電した電気でCO2を出さずに走ることで循環型社会の環のなかに組み込むことができるクルマなのだ。

クルックフィールズの飲食店が提供する、オーガニックファームの野菜やのびのびと育てられた養鶏の卵などは、どれも滋味深くておいしい。

レンジローバー オートバイオグラフィP550eのドライブフィールが心を満たしてくれるのと同じように、持続可能な社会と豊かな生活は、やりようによっては矛盾せずに両立できるのだ。

文・サトータケシ 写真・ジャガー・ランドローバー・ジャパン 編集・稲垣邦康(GQ)

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