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人生初フォーミュラは驚きの連続!【編集部員のトムス・フォーミュラ・カレッジ体験レポート】

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人生初フォーミュラは驚きの連続!【編集部員のトムス・フォーミュラ・カレッジ体験レポート】

 国内屈指の名門レーシングチームであるTOM’Sが、2021年5月より開催する『TOM'S FORMULA COLLEGE(トムス・フォーミュラ・カレッジ)』は自動車レース未経験者からレース参戦を目指すエキスパートまで幅広く対応する、フォーミュラ・ドライブ・サポートプログラムだ。

 参加者のレベルに応じた3つのプログラムを設定しているが、そのうち初級『エクスペリエンス・コース』の体験会にautosport web編集部員が参加した。本格的なレーシングカーの搭乗経験がない、スポーツ走行に関しては“ど素人”の編集部員が、現行FIA-F4マシン、童夢F110のステアリングを握った。

トムス・フォーミュラ・カレッジの『夏休みスペシャルエクスペリエンス』が、7月21日にツインリンクもてぎで開催

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 トムス・フォーミュラ・カレッジでは、FIA-F4選手権の開催初年度となる2015年から現在も使用されている童夢F110が用いられる。今回体験した『エクスペリエンス・コース』は、フォーミュラカーの基本操作をマスターしていくビギナー向けのコースであり、広大な駐車場にパイロンを設置した特設コースで、車両の乗り降りの方法から走らせ方までの基礎的なレクチャーが行われるというものだ。

 国内四輪カテゴリーを担当する私にとって童夢F110は、FIA-F4選手権がスーパーGTのサポートイベントとして開催されていることもあり、馴染み深い車両だ。しかし、パイロンコースとはいえ、実際にステアリングを握るとなると話は変わってくる。

■FIA-F4マシン“童夢F110”主要諸元
車両名称:童夢F110主要諸元全長/全幅/全高4340mm/1738mm/950mmホイールベース2750mmトレッド1500mm/1460mm重量610kg(ドライバー及びバラスト含む最低重量)エンジン:TOM’S TZR421987cc/直列4気筒/自然吸気最高出力160馬力/5800rpm排気系JAF公認触媒付きギアボックスTODA RACING製6速パドルシフトシャシーカーボンモノコックフロント及びサイドアンチイントリュージョンパネルブレーキADVICS製ツーポットキャリパーベンチレーテッドディスク前後ブレーキバランスバーサスペンション4輪ダブルウイッシュボーンインボードタイプ前後スタビライザーダンパーTODA RACING製2WAYテレスコピック方式ステアリングラック&ピニオン燃料タンクFIA公認 FT3-1999容量40リッターホイールTWS製鍛造アルミニウムフロント13インチ8Jリヤ13インチ10Jタイヤダンロップフロント195/550R13リヤ240/570R13

 初めての本格的なレーシングカードライブゆえに、きちんと発進することができるのか、パドルシフトでのギヤチェンジはうまくできるだろうか、クルマを壊さないかなどの心配がつきまとう。不安と楽しみが入り混じるなか、会場となった富士スピードウェイP7駐車場を訪れた。

 5月3~4日に行われたスーパーGT第2戦では、観戦に訪れた多数のファンの愛車で埋め尽くされたP7駐車場だが、体験会当日はパイロンが設置され、100メートルのストレートを持つ楕円形オーバル、スラローム区間のあるレイアウト、Rの大きな複合コーナーを備えた凸字レイアウトの3つのレイアウトを備えた特設コースへと姿を変えていた。エクスペリエンス・コースではこの3つのレイアウトをそれぞれ数周、走行する。

 シートに腰を下ろすと、メカニックさんから各種スイッチ類や、アクセルワークについてのレクチャーが行われる。いざ、コースインのタイミングを迎えるも、狭い足元かつ、硬く重めのレーシングクラッチに手間取り、恥ずかしくもエンジンストールを決めてしまうはめに……。

 さまざまな情報が頭に流れてくるなか、今左足が押さえているペダルがクラッチなのか、それともブレーキなのかがわからないという状況だったのだ。また、当日はレーシングシューズではなく、一般的なスニーカーで参加したことも影響しただろう。この時点でレーシングシューズを用意すればよかったと後悔の念が湧いたのだった。

■モータースポーツは“見る専”だった編集部員にとって生涯忘れられない体験

 複数回のエンジンストールを経て、なんとか発進。1速で加速を始めると、ここからはクラッチペダルの出番はない。一旦スタートしてしまえば、それ以降のシフト操作は指先でパドルを操作して行うため、クラッチ操作に悩まされることなく、走りに集中することができた。

 ペースカーの先導中は追突防止のために1速ホールドでの走行となる、その間に少しづつマシンの挙動に感触を身体に馴染ませる。車重の軽さもあり、1速ホールドでもTOM’S TZR42エンジンのパワフルさをビリビリと感じた。

 1周の走行ののち、ペースカーがコースを外れ、グリーンフラッグが振られると、ここからシフトアップも解禁。FIA-F4マシンのポテンシャルを体感するために、アクセルペダルを奥まで踏み込む、が、正確には奥まで踏み込むことができなかった。

 少しアクセルを踏み込み、3800~4200回転まで回したところで、背中から強烈なパワーが襲う。その瞬間、パイロンコース(駐車場)外側のガードレールの存在が気になってしまったのだ(はい、びびりました……)。

 ギヤは3速まで上げたが、100メートルと短いホームストレートではリミットである6400回転まで上げることはできなかった。

 コーナーに差し掛かる際のブレーキングの縦G、ターンインの際の横Gはレーシングカートに近いと感じた。私は以前、知人の所有するKT100エンジンのレーシングカートに乗ったことがあるが、FIA-F4マシンのパワフルな加速、コーナリングはKT100で体感したものと似ている。

 こういった点もレーシングカートで活躍したジュニアドライバーたちがFIA-F4選手権にステップアップしやすい理由なのかもしれないと思うと同時に、生まれて初めて乗るフォーミュラカーの迫力、サウンド、身体にのしかかるGなど、一つ一つの細かい感触にいちいち感動を覚えた。

 4~5周のオーバル走行に続いて、スラローム区間を含むレイアウトに変わると、市販車とは比較にならない“クイックに曲がる”という現象を全身で感じることができた。目測では厳しいと思われた速度でもパイロンを軽くかわすことができたからだ。スラローム区間への進入速度を上げ、ブレーキングポイントを奥にするとその感覚は強まった。

 続いて複合コーナーを備えた凸字レイアウトを走るころには10周近く走行していたこともあり、高めの進入スピードからグリップの限界を試したいという欲求が芽生え出す。

 もっと強烈なGを感じたいという身の丈に合わない欲望に当然技量が追いつかず、私の無謀な欲は最終ラップのスピンというかたちで現れ、そのまま体験走行はチェッカーを迎えたのであった。

 実際にコックピットにいたのは20分ほどだが、レーシングカーのステアリングを初めて握った自分にとって、その時間に得た感触、情報量は膨大だった。

 初めてのエンストから初めてのシフトアップ、初めてのスピンまでを経験し、これがJAF公認レースの現役マシンであり、F1へ続くFIAフォーミュラカーピラミッドのマシンの“生の感触”なのかと思い、マシンを降りてからもしばらくは感慨に耽ってしまった。

 体験走行終了後、TOM’Sの神山裕示氏に、「エクスペリエンス・コースはどういった人に体験してほしいのでしょうか?」と尋ねたところ「興味がある方はどなたでもウェルカムです。今回の体験会には運転免許を取得して1週間の方も来られました。お越しになる方はクルマ好きの方も多いでしょうから、トムス・フォーミュラ・カレッジを経験して、もっとモータースポーツが好きになる、もっとクルマが好きになるということが一番大事だと考えております。興味がある方はとりあえず、挑戦していただければ幸いです」と、運転経験を問わず、体験して欲しいと語った。

 トムス・フォーミュラ・カレッジではエクスペリエンス・コースのほかに、富士スピードウェイのレーシングコースの走行を基本とし、より本格的なメニューを実施する『プラクティス・コース』、フォーミュラカーレースへの参戦からプロレーシングドライバーを目指し本格的なレースやテストをサポートする『エキスパート・コース』の3つのプログラムが設定されている。

 今回私が体験したエクスペリエンス・コースは6万6000円~(税込)で参加できる。国内トップチームのTOM’Sが展開するプログラムとなれば破格だと言えるだろう。開催時期や申し込み方法はトムス・フォーミュラ・カレッジの公式サイトをチェックしてほしい。

 エクスペリエンス・コース終了時にはスキルに応じて、ゴールド、シルバー、ブロンズの修了証が発行されるが、最も良い成績であるゴールドの修了証が発行されると、中級プラクティス・コースへの参加資格を得ることになる。スキルに応じて明確なステップアップの道筋が立てられていることも、参加者にとっては嬉しいポイントだ。

 なお、エクスペリエンス・コースはヘルメット、グローブ、長袖、長ズボン、スニーカーという格好で参加可能だが、オフィシャルサイトに記載のあるとおり、スニーカーで参加する際は可能な限り細身で底が薄いモノを用意しておこう。

 童夢F110はクラッチペダルとブレーキペダルの間が狭く、幅広の靴だと私と同じくスタートのクラッチ操作で苦労することも考えられる。今回の体験会では、なぜレーシングシューズが細身なのかという理由も身をもって理解することができたのであった(汗)。

 参加する前は「せっかくだからレーシングコースを走りたいなぁ」などと甘いことを考えていたが、エクスペリエンス・コースを体験してからレーシングコースでの走行イメージがより具体的なものになり、走りたいという思いよりも、怖さを感じているというのが正直なところだ。

 同時に、自分よりも10歳以上若いドライバーたちも参戦するFIA-F4選手権のドライバーたちの凄さ、凄まじさの一旦を垣間見ることができたとも感じた。モータースポーツは“見る専”だった編集部員にとって生涯忘れられない体験となったことは言うまでもない!

●TOM'S FORMULA COLLEGE 公式サイト:http://experience.tomsracing.co.jp/formuladriving/

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