現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 5ch体制だからこそ生まれ得た個性派! マツダ ユーノス プレッソの7年【偉大な生産終了車】

ここから本文です

5ch体制だからこそ生まれ得た個性派! マツダ ユーノス プレッソの7年【偉大な生産終了車】

掲載 更新 57
5ch体制だからこそ生まれ得た個性派! マツダ ユーノス プレッソの7年【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

新型トヨタ86登場で再発見、NAロードスターの魅力を振り返る!

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はマツダ ユーノス プレッソ(1991-1998)をご紹介します。

文/伊達軍曹 写真/MAZDA

【画像ギャラリー】流麗なエクステリアに注目! マツダ ユーノス プレッソをギャラリーで見る

■ロードスター・コスモに続きユーノスから3番目に登場した「プレッソ」

「バブルの落し子」的に揶揄されることも多いが、その内実は、真摯にデザインされた良質な一台だった。

 しかし、それでもバブル崩壊の後始末やスペシャルティクーペ人気の凋落、そして自社の乱脈経営(販売チャネルの過剰な拡大)のため、生産終了を余儀なくされたFFスペシャルティクーペ。

 それが、ユーノス プレッソです。

 バブル景気を背景にマツダは1988年5月、1992年までの「MI(マツダ・イノベーション)計画」をスタート。

 これに基づき、従来の「マツダ」「マツダオート」「オートラマ」という販売チャネルに「ユーノス」「オートザム」を加えた「国内5チャネル体制」を敷いていきました。

 そうして生まれたユーノス店向けのモデル第一弾として1989年に登場した「ロードスター」、翌1990年に誕生した「コスモ」に続く、スペシャルティスポーツの第三弾として1991年6月にデビューしたのが、ユーノス プレッソです。

マツダ ユーノス プレッソ。発売当初の量産エンジンとしては世界最小となる1.8L、V型6気筒DOHCを搭載

 車台は、ファミリアなどに使われていたBプラットフォームをもとに専用開発された「Eプラットフォーム」で、そこに載るエンジンは当時「世界最小のV6エンジン」だったK8-ZE型1.8L V6 24バルブ。

 前期型の最高出力は140psで、組み合わされるトランスミッションは5MTまたは4速ATでした。

 全長4215mmのコンパクトなクーペボディの全高は1310mmと低く、フロントセクションはV6エンジンを搭載しているとは思えないほどスラント(傾斜)していました。

 しかし若干尻上がりなフォルムのため後席の天井高は高く、居住性はまずまず。

 そしてリアゲートにはサイドまで大きく回り込んだ三次曲面ガラスが採用されたため、後部の採光性も十分に採られていました。

リアビュー。三次曲面ガラスを使用したリアウィンドウが特徴的(写真は欧州仕様のMX-3)

 1993年9月にはマイナーチェンジが行われ、1.8L V6エンジンがハイオク指定となって最高出力145psになるとともに、オートザム店用の姉妹車「AZ-3」に搭載されていたシンプルな1.5L直4エンジンも、ユーノス プレッソにもラインナップされるようになりました。

 しかしそれでもユーノス プレッソの人気に火がつくことは特になく、1998年3月には姉妹車であるAZ-3とともに生産を終了。

 同年6月には、販売のほうも終了と相成りました。

■悪名高きマツダ「国内5チャンネル構想」しかしそこからこそ生まれ得たプレッソ

 今見てもなかなか素晴らしいエクステリアデザインであると思えるユーノス プレッソが、鳴かず飛ばずの1代限りで終わってしまった理由。

 それは、ありきたりの話で恐縮ですが「バブルのせい」ということになるのでしょう。

 そもそも、ユーノス プレッソという車が誕生した背景にも「バブル」がありました。

 プレッソは、前述した1980年代末期からのマツダの「国内5チャンネル構想」があったからこそ生まれた車です。

 そしてプレスが困難な形状のリアゲートや、非常に高額なコストがかかる「リアの巨大な三次曲面ガラス」を躊躇なく採用できたのも、言わばバブルのおかげです(しかしエクステリアに予算をかけた分だけ、インテリアにかける予算がなくなったそうですが)。

エクステリアに予算をかけた反動か、「チープ」との評価を免れなかった内装(写真は欧州仕様のMX-3)

 しかしその半面、当時のマツダの体力からすると無理があった国内5チャネル体制は、バブルとともにその「無理」が祟るようになってきました。

 ほぼ「車名が違うだけの水増しモデル」が乱発されたことで1台ごとのキャラクターは曖昧になり、前述のとおり姉妹車の1.5L 直4エンジンをプレッソにも積んだことで、そのキャラクターはさらに曖昧になっていったのです。

 そして世の中に不景気風が吹き始め、その後に絶望的なリアル不景気がやってくれば、ある意味「趣味の品」でしかないスペシャルティクーペというのは、真っ先にユーザーの購入検討対象から外れていきます。

 また、最高出力うんぬんではなく「4気筒とは明確に異なる上質な走りを提供したい」という意図で採用された新開発の1.8L V6エンジンが、「V6のくせに馬力が足りない」的な、見当違いの批判を受けてしまったのも、ユーノス プレッソの悲劇だったかもしれません。

搭載されたエンジンは前述の通り当初1.8L、V型6気筒のみだったが、発売からほどなく経った1993年に姉妹車であるAZ-3に搭載されていた1.5L 直4エンジンが追加されている

 まぁ仮にそういった批判や「5チャネル体制」がなかったとしても、その後のスペシャルティクーペというジャンル自体の凋落は避けられなかったはず。

 そのため、「ユーノス プレッソは生産終了になるべくしてなっただけ」というのが、シンプルな結論なのかもしれません。

 しかしこの秀逸なエクステリアデザインは、1代限りでとっとと消滅させるには惜しい逸品だったと――2021年の今でも思うのです。

■ユーノス プレッソ主要諸元
・全長×全幅×全高:4215mm×1695mm×1310mm
・ホイールベース:2455mm
・車重:1100kg
・エンジン:V型6気筒DOHC、1844cc
・最高出力:140ps/7000rpm
・最大トルク:16.0kgm/5500rpm
・燃費:11.2km/L(10・15モード)
・価格:186万円(1991年式 Hi-X 5MT)

【画像ギャラリー】流麗なエクステリアに注目! マツダ ユーノス プレッソをギャラリーで見る

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
VAGUE
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
レスポンス
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
レスポンス

みんなのコメント

57件
  • 見切りの悪い運転しにくい車。普通のファミリアHBのほうが売れていた。出来の悪いⅤ6は燃費極悪。リアガラスの面積が大きすぎてボディー剛性が無くきしみ音がよく聞こえた。人は言う「ボロッソ」と。
  • こんなの掘り下げるような車か?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

157.0194.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.0125.0万円

中古車を検索
ユーノスプレッソの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

157.0194.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.0125.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村