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ルノー「R.S.アルティメットデイ」 タイムアタックにR.S.の歴史と記録の「生き字引」も登場

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ルノー「R.S.アルティメットデイ」 タイムアタックにR.S.の歴史と記録の「生き字引」も登場

リスキーな勝負のはじまり

自動車メディア関係者の中には「メディア対抗」という言葉に異常な情熱を燃やす一群がいる。最近はかなり少数派になってきているが、その顔触れはあまり変わらない。

【画像】ルノーR.S.アルティメットデイ 当日の様子を見る 全240枚

今回我々にお声が掛かったのは、11月25日に袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されたルノーのサーキット・イベント「R.S.アルティメットデイ」に含まれる「メディア対抗サーキットチャレンジ」だった。

なんとメガーヌR.S.のファイナルモデルである「ウルティム」の新車3台を使って、9つのメディア・チームがハイパースラロームとサーキットタイムアタックを行って覇を競う。

というだけでも太っ腹、というか車輛全損の恐れすらあるリスキーな話である。ところがさらに、ロラン・ウルゴンとフィリップ・メリメというメガーヌR.S.の歴史と記録を作り上げてきた両氏もそこに参加するという。彼らがもし日本のプレスに敗れるようなことがあったら? と考えるとこちらはファイナルを迎えたルノースポールの沽券、もしくは彼らが今後担っていくアルピーヌの未来に関わる! という意味でリスキーかも(笑)

ちなみにR.S.アルティメットデイはルノーおなじみのサーキット・イベントであり、イベント当日の袖ケ浦FRWのパドックはR.S.ファンとその愛車たちで溢れていたのである。

本気アタックで分かったR.S.の包容力

今回の競技は編集スタッフと助っ人ドライバーによる2名1チーム。AUTOCAR JAPANチームは編集部イチ速い(たぶん)ポルシェ乗りの上野太朗ディレクターと僕(ライター吉田拓生)のコンビ。

まずイベントに行く行かないの段階で上野君は怯んでいた。ガチのサーキットアタックはラップタイムが白日に晒されるので、敗者に酷だ。とはいえ僕としては日ごろ袖ケ浦でロードスターを走らせドラテク向上に励む上野君のタイムを見たかったし、自分のタイムを現役レーサー並みのトップ連中と比べてみたいという思いもあった。

ホームストレートで行われたハイパースラロームの顛末についてはこの後の上野君に任せ、いきなり本題のタイムアタックから。

競技はインとアウトのラップを含まない計測2周。ぶっつけ本番というやつである。インラップは前走者が温めたエンジンとブレーキを冷やすことに専念。そこからレース・モードを選んでタイムアタックに突入した。

感心させられたのは、ウルティムのアシの仕上がりだった。街乗りでもそこそこの乗り心地が確保されているのに、フルブレーキングでも底突きする感じがない。コーナーでは軽いアンダーステアならLSDがかき消してくれる。

ぶっつけでもなんとかラップをまとめられたのはメガーヌR.S.ウルティムのFFハッチバックモデルらしからぬ包容力の賜物である。大ミスしない程度に袖ケ浦を攻めて、僕のタイムは1分17秒80と出た。さあここからは上野君に振り返ってもらおう。

編集部イチ速い? ポルシェ乗りのディレクター回想

正直いって怖かった。これがルノー・ジャポンから招待状を頂いた時の感想である。

安全の範囲内でクルマの特長を掴み、それを親愛なる読者の皆様にお伝えする。それだけでいいのに、終始自分の走りを見られ、タイムが貼り出される。

「気にしなくていいよ」「愉しむのがいちばん」

先輩ジャーナリストはそういうけれど、皆、見てないふりして見ている、のである。そういうインシツな世界なのだ。だから若手編集部員に押し付けて傍観しようと思っていた。それを察してか吉田拓生氏から「太朗君、来るよね?」の電話。逃げられなくなった、というのが本音だった。

吐きそうになりながら出走したスラローム。呼吸を乱しながら挑んだ第1走。いくつものコーンを跳ね飛ばし、それに焦ってミスコース。ゴールラインを踏み越えた先に見えた先輩ジャーナリストの視線は冷ややかだった。

あの空気、高校受験に失敗した直後、親戚の集まりの場のギスギス感を思い出した。仮病を使って帰ろうとさえ思った。

第2走目。欲をかかずに4コントロール(4WS)に頼った。ハンドルを切る。クルマが回転するかのようにひらひらとコーンの間を縫う。私の拙い技量を越えて、クルマが勝手に走る感覚。ゴールの向こうの電光掲示板が示すタイムは暫定1位だった。

その後、腕が評判の先輩ジャーナリストの多くが、コーンを跳ね飛ばし、順位を落とした。口を揃えて言う「俺の体に刷り込まれた感覚よりクルマが勝手に動いちまう」

素直になれよ。私が心のなかでそう思ったのは、むろん先輩へではなく、メガーヌR.S.ウルティムに対してである。扱いやすく、御しやすい。自分のスタイルを貫くよりも、クルマに委ねれば速く走れる。これこそが優秀なマシンの本領なのだと実感した。

サーキットタイムアタックでも一緒だった。1分19秒~20秒をマークした。蓋をあけると私より遥かに遅いタイムの人が大半だった。手と足、お尻と背中を通じて、メガーヌR.S.の動きたい方向、ふるまいの意図が生々しい情報として伝わってくる。

唐突な所はなく、ジェントルだ。にも関わらず伝わってくる情報は生っぽく、きめ細かい。

あまり頑張っている感覚がなかったので、タイムをみて驚いた。編集部が所有しているノーマルのメガーヌR.S.にはないLSDの助けも大きい。

日常、快適に移動できて、サーキットでも頼りがいあるメガーヌR.S.ウルティムは名車だと思った。もっと、ずっと、一緒に走っていたいと思った。

満身創痍の愛機、神様の底力

メディア全員がタイムアタックを終えたとき、タイムテーブルのトップにはやはり業界イチ速い橋本洋平氏がいた。1分15秒72というこのタイムは2番手よりも1秒以上速いスーパーラップである。これはメガーヌR.S.の神様、ロラン・ウルゴン氏でも難しいはず。

神様はイベント当日、気前よくオーナー車のメガーヌR.S.にサインをプレゼントし、終始にこやかだった。アタックで愛機に乗り込む際もコンビニにいくようなリラックスした雰囲気。

そして電光掲示板には1分16秒中盤のタイムが表示されたのだった。

神様は負けたのか? いや違うだろう。H氏は先頭打者としてクルマが冷えた状態で走ったのに対し、神様はほぼ最終打者。直前に前タイヤだけ新品にしたが、ブレーキもエンジンも、そして後輪だって芳しいわけがない。

橋本氏の走りは丁寧に鼻先を曲げてからスロットルを開ける定石通りのもの。対する神様はオーバースピード気味にコーナーに突っ込んでそれでもスロットルを踏み切ってねじ伏せる気迫溢れるものだった。走行後に聞いてみると「もうブレーキがなかった」とひとこと。

それであのタイムは強烈! 神様というかルノースポール、いやアルピーヌの底力凄いな! と素直にそう思った。

アルピーヌは現在、電動のスポーツカーを開発中であり、神様は「いい感触を得ている!」と自信満々の様子。内燃機か電動かはともかく優れたスポーツモデルは本物の開発陣によってのみ生まれるもの。フランスが誇る電動スポーツカーの登場が待ち遠しい。

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