この記事をまとめると
■BMWが2023年に最新のコンセプトカー「ビジョン ノイエクレッセ」を発表した
ついに顔面全体がキドニーグリル化! スゴイデザインと話題の「BMWヴィジョン・ノイエクラッセ」の何がスゴイのか分析してみた
■歴代の名車をオマージュしたコンセプトモデルは世界中で評価された
■SAV(スポーツアクティビティビークル)タイプの「X」も発表された
新たなノイエクラッセがベールを脱いだ
BMWが2023年9月に発表した最新のコンセプトカー「ビジョン ノイエクレッセ」が話題です。同ブランドの次世代セダンの姿を示すモデルですが、今年の3月にはSUVタイプもお披露目され、さらに注目度がアップ。そこで、デザイン的な見所はどこにあるのか、あらためてチェックしてみたいと思います。
●自動車の変革期に示された新しいシンボル像
ご存じのとおり、そもそもノイエクラッセとは1962年から70年代初めまでに販売された中型車の総称です。当時、ブランド力向上を模索していたBMWは、新時代のスポーツセダンのスタイリングをジョバンニ・ミケロッティに依頼。ノイエクラッセ、すなわち「新しいクラス」として発表されたBMW 1500は好評を博し、その後のモデルとともにスポーティセダンの礎となりました。
では、なぜいま再びノイエクラッセを掲げるのか? BMWはその理由として「電動化」、「デジタル化」、「循環性」の3点を挙げています。100年に一度という自動車の変革期といわれる現在、新時代のシンボルとなるまったく新しい提案を示すべきと考えたワケです。
では、その3点を踏まえた新しいデザイン言語の魅力はどこにあるのでしょうか?
ビジョン ノイエクラッセは名車を見事にオマージュ
●80年代の黄金期を反映したタイムレスデザイン
BMWはこのデザインを「クリア、エレガント、タイムレス」と謳っていますが、まさにいい得て妙。
最初にセダン版を見たときにはその新しさに驚きましたが、同時に「懐かしさ」も強く感じられました。実際、同ブランドのデザイン責任者であるドマゴイ・ドゥケック氏は、2代目の3シリーズであるE30型がこのコンセプトカーに影響を与えたと語っているのです。
たしかにE30型は記念碑的なモデルですが、ただ、個人的に脳裏をよぎったのは4代目のE36型のほうです。ロングホイールベースによる前後ショートオーバーハング、広いガラスエリアをもつビッグキャビン、とりわけハイデッキの佇まいはE36型そのもの。さらに、横長の大型テールランプもじつに80年代的で、ここに「タイムレス」の秘密がありそうです。
そして「クリア」については、モノリシック(一体型表面)と称される超シンプルな面構成がそれで、これも80年代の端正なボディを彷彿とさせるもの。まるで陶器かガラスのような美しいサーフェスが、そのシンプルさを倍増しています。また、ヘッドライトとグリルを一体化したフロントフェイスの表情や細いピラー、ザックリ削ったロアバンパーなどは「エレガント」さを感じさせるところ。
こうして見ると、ビジョン ノイエクラッセは、誰も見たことがないようなまったく新しい世界観を提示するというより、同ブランドを含め、カーデザインが強く輝いていた80年代のエッセンスを、最新の技術と知見で魅力的にまとめ上げたように感じられるのです。
●量産化でどこまで魅力を維持するかに期待
さて、今後の関心はこの次世代ノイエクラッセの美点が市販版にどこまで反映されるかでしょう。素晴らしいコンセプトカーが量産車ではガッカリ……なんてことはよくあることですから。
若干の不安があるとすれば、今年3月に追加されたSAV(スポーツアクティビティビークル)タイプの「X」のスタイルでしょうか。たとえば、フロントのバンパー部やサイドのホイールアーチを見ると、セダン版に比べ要素が意外に多いのが気になるところ。また、光るキドニーグリルは最近の市販モデルと同じで、「またグリルばかりが目立ってしまわないか?」なんて心配もあります。
最近は日本車も含めシンプルなデザインへの回帰が見られますが、このコンセプトモデルの提案は「クリア、エレガント、タイムレス」という点で頭ひとつ抜けています。近年のBMWデザインはいまひとつパッとしないところがありましたが、ビジョン ノイエクラッセによって逆転ホームランとなってほしいところです。
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