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2代目メルセデス・ベンツCLSは、強く逞しく、大胆に変身していた【10年ひと昔の新車】

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2代目メルセデス・ベンツCLSは、強く逞しく、大胆に変身していた【10年ひと昔の新車】

2010年8月、クーぺの美しさとセダンの実用性を融合した4ドアクーぺブームに火をつけたメルセデス・ベンツCLSが、2代目となってワールドプレミアされた。成功作のフルモデルチェンジは難しいと言われるが、果たして2代目はどう進化していたのか。ドイツで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年12月号より)

さらなる磨きをかけて、もっと強く大胆に
エクステリアデザインが気に入り買ったという人が65%。ブランドイメージとはほとんど無関係に4ドアクーペのスタイリングが受け入れられたということは、そこに新たなマーケットが生まれたということを意味している。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

事実、初代CLSクラス登場後、似たコンセプトのモデルがいくつか登場するに至った。とくにプレミアムなモデルやブランドにおいて、4ドアクーペコンセプトが基幹モデルの脇を固める派生モデルとして、ラインナップを大いに賑わせている。

初代CLSクラスそのものも、世界で17万台というスマッシュヒットを記録。こうなると、2世代目のスタイリングは相当に難しい。デザインコンシャスなモデルであるがゆえに、まったくのキープコンセプトでは追随するライバルたちと比べて新鮮味で劣ってしまうだろうし、かといってコンセプトをまるで変えてしまってはせっかく築いたCLSというバリューを壊してしまう。

そこでデザインチームが採った方法はといえば、初代からのコンセプトにさらなる磨きをかけ、もっと強く大胆に、強烈な存在感をもたせることであった。新型CLSクラスの写真映りは、なるほど押しが強く逞しい。ちょっと「えぐい」とさえ思ったほどに。

しかし、そんな印象は現実のクルマを前に鮮やかなまでに変わった。写真で強調されていた、グリルの押し出しやフェンダーの膨らみは、それほどハイライトがきついわけではなく、かといって弱々しいものでもない、均整のとれた美しい筋肉美とでもいうべきものだったからだ。

スポーティでキレもあるエアサス仕様の足まわり
美しいクルマを見れば自然と気も逸る。まずステアリングを握ったのは、350ブルーエフィシェンシー。新型の直噴V型60度6気筒自然吸気エンジンを積む主力モデルである。

新型V6“ブルーダイレクト”は、最新インジェクターとマルチイグニッション制御によってストイキ領域に加えて成層燃焼領域と拡大リーンバーン領域を効果的に運用し、三元触媒とNOx触媒を使い分けて、高出力と低燃費の両立を目指したエンジン。従来のCモードに代わりE(エコ)モードを備えたアイドリングストップ付7Gトロニック+が組み合わされている。

先代以上にハイクラスなインテリア(試乗車はSクラスの最上級モデルに匹敵する雰囲気だった)に目を奪われつつ走らせてみると……。おやおや? ひと昔前のベンツじゃあるまいし、どうしてこんなにもかったるく走るのだろう?

正確には、日常領域でとくに不満はないパフォーマンスながらも、ちょっとした加速に迫られた瞬間、エンジンの反応がダルでおぼつかない。クルマを妙に重々しく感じてしまう。試しにS(スポーツ)モードに変えてみれば、今度は明らかにパワフル志向で、その差は歴然。乱暴だと思ってしまうほどだった。

後からエンジニアに聞いた話では、Eモードはユーザーの要望に応えて設定したもので、従来のCモードに比べてさらに燃費重視のプログラムが施されているという。Sモードがパワフルに感じるのは、その相対的な差が広まったというわけだ。このあたり、日本で実用燃費を計ってみてから是非を論じたい。

感心したのはエアサスペンション仕様の足まわりだった。ベースとなったEクラスに比べても明らかに洗練度が増しており、それでいてとってもスポーティでキレ味もあったから、終始笑顔でドライブできた。

ひとつだけ注文をつけるとすれば、今回初めてフル電動化され、歯車式可変ギアレシオ機構“ダイレクトステア”と組み合わされた電動パワーステアリングのフィーリングが一部領域で不快だったこと。このあたりもう少し磨きあげて欲しい。また、車庫入れのしやすさや高速時の安定感は好ましいものだったが、40~50km/hあたりの速度域においてやや雑味が感じられた。日本導入時には消されているとは思うが。

エアサスペンションが標準の500(日本仕様では550)ブルーエフィシェンシーにも試乗した。こちらも新世代の直噴V8“ブルーダイレクト”で2つのターボでスーパーチャージされている。Vバンクは90度と、V6とのモジュール化はあっさりと捨て去った。エンジンまわりの効率追求が生産効率を上回る結果をもたらす時代になってきたというわけだ。

350とはうってかわって、サウンド/加速フィールともに迫力満点。巨漢のSクラスをも縦横無尽に動かすパワフルさは、CLSクラスでは過剰なほどだ。それでもシャシがきっちり対応しているあたりは、さすがにメルセデスである。(文:西川 淳)

メルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシェンシー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4940×1881×1416mm 
●ホイールベース:2874mm 
●車両重量:1735kg 
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:225kW(306ps)/6500rpm 
●最大トルク:370Nm/3500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR 
●最高速:250km/h (リミッター)
●0→100km/h加速:6.1秒
※EU準拠

メルセデス・ベンツCLS550ブルーエフィシェンシー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4940×1881×1416mm 
●ホイールベース:2874mm 
●車両重量:1890kg 
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:4663cc
●最高出力:300kW(408ps)/5000- 5750rpm 
●最大トルク:600Nm/1600-4750rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR 
●最高速:250km/h (リミッター)
●0→100km/h加速:-秒
※EU準拠

[ アルバム : 2代目メルセデス・ベンツCLS はオリジナルサイトでご覧ください ]

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