ロードスターとロードスターRFの2022年商品改良車の注文受付を終了し、販売店での在庫がなくなり次第、販売を終了する。近々大幅改良モデルが登場するのだが、そこで元NR-Aオーナーの伊藤梓氏がその期待について語った。
文/伊藤梓、写真/ベストカー編集部、マツダ
ソフトトップにも2L搭載か? ロードスター2022年モデルが正式注文受付終了! 元ND型オーナーが語る大幅改良モデルへの思い
■マイチェン予定のモデルを購入予定
現行型ロードスターNR-A。筆者はつい最近までこのモータースポーツ仕様を所有していた
私自身、マツダロードスター(現行ND型)は、約7年所有していたモデルだ。最近、不慮の事故に遭い、残念ながら大切な愛車を失って失意の底にいるが、もちろんまた買い直すつもりでいる。そのくらい、私にとって欠かせない存在だ。
しかし、現在ロードスターのマツダ公式Webサイトを見ると「ロードスターは現行モデル(2022年商品改良車)のご注文受付を終了しております。販売店での在庫がなくなり次第、販売を終了させていただきます」という表記が。
これを見て「NDはもう終わってしまうの!?」と勘違いした人もいたようだが、実はこれは、これからマイナーチェンジが行われるための措置。詳しくは以前のベストカーの記事でも紹介したとおりだ。
※こちらが該当の記事
ということで、私はこのマイナーチェンジを待って、またロードスターを購入しようと考えている。ここで少し迷うのが「どのグレードを購入しようか」ということ。まだマイナーチェンジの詳細はわからないが、これまでとは違うグレードも出るかもしれないので、期待も高まる。
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■私が所有していたNDはモータースポーツ用仕様のNR-A
4代目(現行)ロードスター。すでに2022年モデルの受注は終了しており、間もなく大幅改良モデルが登場するものとみられる
これまで私が乗っていたのは、NR-Aというモータースポーツのベース車両。ロールケージも組んであって、レースにも出場していたが、普段の買い物や仕事、さらに旅行でも大活躍だった。
しかし、モータースポーツをしない前提であれば、個人的に一番欲しかったのは、最軽量の「990S」。走り出しから軽快感溢れるモデルで、「このモデルに乗って、楽しいと思わない人はこの世にいないだろうな」と感じるくらい素晴らしいモデルだった。
ロードスター990S。その名のとおり、車重は1000kgを切っていた軽量グレード
今後は、自動車に対してさらに厳しい法規制が課されるため、マイナーチェンジ後に軽量モデルがラインナップされるかどうかはわからないが、同様に運転の楽しさを追求するグレードが設定されたらいいなと思っている。
そういったモデルが気になりつつも、これまでモータースポーツも楽しんでいた私としては、やはりNR-Aが一番優先度の高い選択肢になると思う。「またロードスターでモータースポーツを楽しみたい」という思いがあるのはもちろん、モータースポーツ用の技術がさらに進化するとすでに発表されているからだ。
■新技術DSC-TRACKに注目!
改良モデルに採用されるDSC-TRACKは2022年岡山県で開催された「マツダファンフェスタ」には先行採用したテスト車が走行していた(写真はマイチェン前モデル)
それが、「DSC-TRACK」。ロードスターを一般道のみで運転しようと思っている人には関わりのない技術かもしれないが、少しでも「ロードスターでモータースポーツにもチャレンジしたい」という人にとっては、とても重要な技術になる。
簡単に説明すると、「DSC-TRACK」は、横滑りを防止する安全装置DSC(一般的にはESC)の作動を、よりサーキット走行に適したものに改良したもの。ドライバーがカウンターを当てた時に初めて作動するので、ドライバーがタイムアップに向けて頑張っている最中にDSCが働いて意図しない失速が起きたりすることがほとんどなくなる。
最後の最後、カウンターを当てて車体をコントロールしたり、スピンしたりするような状況に陥った時に、ようやく制御が助けてくれるというわけだ。私自身も一度ロードスターでクラッシュした経験があるので、このありがたみがよくわかる。
DSCをオフにしないとトップのタイムには迫れないし、DSCをオフにして攻めればクラッシュの危険がある……。サーキット初心者にとっては、このハードルを安全に下げてくれる「DSC-TRACK」はかなり重宝すると思う。
■パワートレーンを2Lにしたソフトトップは設定されるのか?
マイチェンモデルではパワートレーンがソフトトップにもRF用の2LDOHCが採用されるのかどうかが注目される(写真は1.5Lエンジン)
そして、おそらく最も注目されているのは「海外仕様にもラインナップされている2Lエンジンを搭載したソフトトップのモデルが出るか否か」ということだろう。これまでマツダは、頑なに「国内のソフトトップは1.5Lがベスト」と言い続けてきた。
私自身、1.5Lの軽快なソフトトップモデルが大好きで、正直1.5Lで充分満足できる性能だと感じている。だから、いちロードスターファンとしては、重量が増える2Lが導入されることによって、どちらかと言えば「軽さよりパワー」になってしまい、ロードスターのよさが薄まってしまうのではないかと思ってしまうのだ。
ただ、すでに2Lエンジンを搭載しているRFに乗ってみて思うのは、ことさらに2Lのパワーを見せつけるモデルにはなっていないということ。RFにおいてもロードスターの自然で軽快な感覚はしっかり残っている。それなら、2Lのソフトトップのモデルも、1.5Lオタクの私でも拒否反応が起きるようなモデルにはならないのでは、とも思うのだ。
今思えば、初代ロードスターの1.6Lも1.8Lもそれぞれのよさがあり、そして、共通するロードスターらしさがあった。2Lのソフトトップが導入されるかは不明だが、これまで改良を重ねてその度にロードスターらしくすくすく育ってきたNDロードスターなら、どういう形になってもきっとユーザーが満足するようなモデルに仕上がってくると信じていいはずだ。
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