MotoGP第5戦オーストリアGPで今シーズン初優勝を記録したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)。この勝利はドゥカティにとってMotoGPクラス通算50勝目となった。
しかし、ドヴィツィオーゾは前日の土曜日に今シーズンいっぱいでドゥカティを離脱することを決定していた。
一歩間違えれば重大な事故になっていたモルビデリとザルコのクラッシュ/MotoGP第5戦オーストリアGPレビュー
ドゥカティは5月27日に2021年シーズンからジャック・ミラーをファクトリーライダーとして起用することを発表。今年、契約更改時期にあたるドヴィツィオーゾとは、パーソナルマネージャとの間で話し合いがもたれていたが、シーズン再開直前の7月上旬時点で、ドヴィツィオーゾとドゥカティの交渉は進んでいなかった。ドゥカティ側は交渉開始を再開から数戦が過ぎることを希望していたからだ。パーソナルマネージャは、7月時点でのドヴィツィオーゾの状況を次のように説明していた。
「ドゥカティから継続参戦する決断は、必ずしも金銭面ではありません。ドビは双方が同じことを望み、同じ目標を追求することを確認したいと考えています。疑問がある場合は、合意しない方が良いかもしれません。興味深いプロジェクトがない場合、ドビはレースを望みません。オファーを受けない場合、それが届くまで待つことになるでしょう。2021年に所属するチームがないというオプションも検討します」
その後、KTMと話し合いが持たれたことが明らかにされたが、KTM移籍の可能性はないことが明言されていた。
ちょうどこのころ、ドヴィツィオーゾはトレーニングのために参戦したモトクロスレースで転倒し、左鎖骨を骨折する負傷を負った。しかし、再開初戦となる第2戦スペインGPで、ドヴィツィオーゾは3位表彰台に立った。
そして、第5戦オーストリアGPのレッドブル・リンクで、ドヴィツィオーゾのマネージャとドゥカティの間で交渉が持たれたが、契約更改には至らなかった。
「アンドレアが来年以降継続する意志がなく、今後のレースに集中したいことをドゥカティに伝えました」というマネージャのコメントからも、すでにドヴィツィオーゾの気持ちは離脱で固まっていたこが明らかだった。ドヴィツィオーゾは離脱に関する質問に対して、次のように答えている。
「現時点で離脱に関して話すことはない。決断を下し、レースに集中したかった。僕は走りたいけど、現時点でBプランは何もない。状況はBプランを待つのとは違う。モータースポーツでは多くのことが起こるが、今、僕はレースに集中している。ベストな状況でチームに所属したい。詳細に関して説明するには適した時期ではない。レースに集中するために決断を下した。今は説明する時期ではない」
■ドヴィツィオーゾ、2013年にドゥカティに加入しマシン開発に貢献
2002年に125ccクラスで世界グランプリにデビューしたドヴィツィオーゾは、イタリア・ホンダのサポートを受けたライダーだった。2003年に125ccクラスでチャンピオンを獲得すると、2004年より250ccクラスにステップアップ。125cc時代からダニ・ペドロサやホルヘ・ロレンソ、ケーシー・ストーナーとは同世代で、250ccクラスではタイトルを獲得できなかったものの、2008年にホンダのサテライトチームからMotoGPクラスにステップアップし、1年目で3位表彰台を獲得する活躍を収めた。
2009年からはホンダのファクトリーチーム、レプソル・ホンダチームに所属し、MotoGPクラス初優勝を達成。2011年にはランキング3位を獲得したが、翌年にはサテライトのテック3・ヤマハに移籍。そして、2013年にドゥカティのファクトリーチームであるドゥカティチームに加入した。
ドゥカティは800cc時代の2007年にケーシー・ストーナーがタイトルを獲得したものの、その後、マシン開発が迷走。2013年に加入したドヴィツィオーゾは、マシン開発にも大きな役割を果たし、2014年にドゥカティコルセのジェネラルマネージャーにジジ・ダリーニャがに就任して以降はさらにマシン開発が進んだ。
2016年にはドヴィツィオーゾがドゥカティ初勝利を記録。2017年にはシーズン6勝を記録しタイトルを争い、ランキング2位を獲得。その後も2019年まで3年連続でドヴィツィオーゾはランキング2位を獲得している。
しかし、ドヴィツィオーゾが望むマシンにはなかなか仕上がっていないようで、それがドヴィツィオーゾとダリーニャの間に確執を生むことになり、ドヴィツィオーゾがドゥカティ離脱を決意する背景ともなったようだ。
記念すべきドゥカティのMotoGP通算50勝目となる勝利は、コロナウイルスの影響もあり、昨年までのようにパルクフェルメでチームとライダーが喜びを分かち合う姿も見られなかった。レース後にピットで行なわれた記念撮影も、ドヴィツィオーゾとマシン、それに50勝を示すサインボードのみで行なわれた。現在ランキング2位につけるドヴィツィオーゾ。得意とするレッドブル・リンク2連戦で、ポイント差を縮め、タイトル争いをリードすることができるか。
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