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戴冠が「両チームへの恩返し」と坪井翔。「いつも以上に気合が入った一年だった」【2024年SFチャンピオン会見】

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戴冠が「両チームへの恩返し」と坪井翔。「いつも以上に気合が入った一年だった」【2024年SFチャンピオン会見】

 2024全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終戦となった第9戦『第23回JAF鈴鹿グランプリ』の決勝後、鈴鹿サーキットで今季2024年のシリーズチャンピオン会見が行われ、ドライバーズタイトルを獲得した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、そして牧野任祐と太田格之進を擁してチームタイトルを獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔監督、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した岩佐歩夢(TEAM MUGEN)の3名が登壇。タイトルを獲得した喜びを語った。

■坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
ドライバーズポイント:117.5pt

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「本当に嬉しいです。このタイトルを獲りたくてずっとやってきて、ようやく獲れたので本当に最高の気持ちです」

「今年はチーム移籍という大きな環境変化があったなか、送り出してくれたセルモに対してもそうですし、迎え入れてくれたトムスに対してもそうですが、トムスに関しては去年のチャンピオンチームですから、僕が今年チャンピオンを獲らないとどちらのチームにも微妙な思いをさせてしまうことになります」

「ですから両チームに対して、『結果で恩返しをする』以外に僕にできることないと強く思っていました。本当に『何が何でも』と、いつも以上に気合が入った一年だったので、その年にしっかりとドライバーズチャンピオンを獲ることができて本当に良かったと思います」

――日本最速、アジア最速の称号を手に入れました。この意味は

「やはり全員が同じ(ワンメイクの)クルマを使って、同じタイヤを使ってレースをして、ひとりでクルマを操って走るという意味で、スーパーフォーミュラは本当に日本最速を決めるカテゴリーだと思います。だからこそ、その称号がずっと欲しかったですし、それを獲るためにずっとやってきたところもあります」

「スーパーGTではすでにチャンピオンを獲っていますが、スーパーフォーミュラでは獲れてないところでもどかしい気持ちがずっとあって、それをついに今年叶えられたので本当に幸せです」

――この2週間は重圧で大変だったとか

「メンタルはめちゃくちゃ弱いので……もうプルプルです(笑)」

「前回の富士大会が終わってから、鈴鹿に来るまでにポイント差はそれなりにあったとはいえ、2レース制の重要性もわかっているつもりですし、今までチャンピオンを獲れてきてないので、やはり獲れた実績があるのとないのだと大きな違いがあります」

「それが獲れるチャンスがあるかもしれないという状況に当然、プレッシャーは感じていました。ただ、それをあまり表に出さないように、自分で何とか何とか頑張っていたというだけで、本当は、もう……メンタルは超しょぼいです」

――来年以降のキャリアプランは

「今は『やっとチャンピオンを獲れた』というのしかなくて……もちろんF1に乗りたいですけど、乗りたいと言っても乗れるわけではないので」

「もちろんF1は、ドライバーなら誰もが目指す世界トップカテゴリーなのでチャンスがあるのであれば、つかみにいきたいとは思います。ただ、ちょっと数日間はチャンピオン獲得の余韻に浸らせてください(笑)」

■村岡潔監督(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ドライバー:牧野任祐/太田格之進
チームズポイント:148pt

――チャンピオンが獲れた要因は

「ふたりが若くて、切磋琢磨していた、ということでしょう。牧野選手も太田選手もご存知のとおりの人柄ですから、良いときも悪いときも含めて、それとチームがうまく合ったんじゃないですかね」

「ドライバーズタイトルを獲るのもそうですし、チームタイトルを獲るのもそうですが、一年間で一番そこに執着や常念を持って戦ったチームが獲るものです。そういう意味では、我々がチームとしては、もっともこのタイトルに常念を持って戦った結果だと思います」

「個人のタイトルは本当にドライバーに頑張ってもらうしかありません。坪井選手が言ったようにスーパーフォーミュラは、ひとりで操って走るレースです。スーパーGTのように他のドライバーがいるものではないので、タイトルに関しては個人で頑張ってもらう」

「一方、チームタイトルに関しては、本当にメカニックを含めて2台のクルマを悪いときにどこに持っていくか、というところでチャンピオンが決まります。そういう意味では、終わってみればこの2日間で2勝、年間で4勝しているのですから、まあタイトルを獲るのは当たり前だよなっていうことですよね」

「ただ、その4勝とそれ以外の調子が悪かったときのポイントが一番大きかったと思っています」

――強いチームを作るにあたって意識してきたこと

「表彰式に上がったスタッフ、あれがうちのチームのすべてです。少ない人数で唯一関西でやってるチームで、人がまず集まらない。ただ、ホンダさんが唯一技術支援をしてくれて、そういう環境が整ったところで集まってきたメカニック、エンジニア、スタッフすべてが、『自分がいるからダンディライアンが強くなる』という意識を持ってもらえるように、ひとりひとりの“ヒト”を大切にしています」

「メカニックに聞いたらそう思ってないかもわかりませんけどね。オーナーが勝手に思ってるだけで。それはそれで間違いかもしれませんが、そういった面を心がけてやってきました」

「うちは基本的に人が変わらない。エンジニアもメカニックも変わらなければ、女性スタッフもよっぽどのことがないと変わらない。もう本当に少数ですが、精鋭ではないです。70点の人たちが集まってやっている。だからタイヤ交換も早くなくても確実にやる。そういうことでやってきました」

「それがその時々のドライバーたちに合ってきたのでしょうね。だから、信じてそのメンバーでやるだけです。先ほど言ったように、『自分がいるからダンディライアンが強いんだ』って思って言えるように、それから周りのメカニックやエンジニアたちにそう言われるようにやってきた結果だと思います」

■岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
ドライバーズポイント:63.5pt

「もちろんルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲れたことに対して、喜びがまったくないわけではないですが正直、あまり喜べないですね。自分が目指していたところは、やはりチャンピオンであり、そしてとにかく毎戦毎戦“優勝”を目指していたので、それが実現できなかった悔しさが勝っている状況です」

――優勝やチャンピオンに届かなかった部分はどう分析しているか

「ポールポジションを獲ったり、オートポリスのときもそうですが何度かフロントロウに並んできたタイミングで、本当に優勝が近いっていうタイミングですべて取りこぼしてしまった。もちろん、そこにはいろいろな要素がありましたが、今シーズンをとおして、そういったチャンスの数々を逃してきたっていうところがすべてだと思いますし、それが結果的にチャンピオンシップに対しても大きな影響を及ぼしたと思っています」

「(このシリーズで戦える)ポテンシャルはすごく感じていましたし、自分自身も自信があり、テストのときもそうですし、オートポリスでポールポジションを獲ったときもそうです。それ以降もつねに速さ、そしてチームの強さというところ感じていました。しかし、強さや速さを結果として示せなかった。そこが個人のシリーズもそうですし、チームとしても本当に悔しい限りです」

――SFを一年戦って成長は得られたか

「スーパーフォーミュラという舞台は本当にハイレベルで、ある意味、今までの海外で戦ってきたシリーズと比べるようなチャンピオンシップじゃない。本当にステップアップとしてチャレンジして、この一年間全力でプッシュし尽くした結果なので悔しいですけども、チームから、そしてチャンピオンシップから学んだことはすごく多くて、自分自身としても成長できた感覚は非常にあります」

「こういった経験だったり、自分が感じたこと、得たことを自分の今の目標である“世界の頂点”というところに向け、しっかりと活かしていきたいと思っています」

――これまで戦ってきたシリーズとSFの違いは

「もちろん細かく見ていくと違いはいろいろありますが、総合的というか全体をとおして見ると、そんなに違わないと思いました。DRSやオーバーテイクシステム(OTS)などの違いがありますが、一番の違いはタイヤのコンパウンドが1種類というところですね」

「OTSに関しては、過去のレースを見たり、事前にいろいろ分析して準備をしてきましたけど、いざ自分がレースに出て、OTSを使った仕掛けだったりディフェンスをやっていくと、トライ・アンド・エラーの繰り返しでした」

「最初は本当に反省点や改善点が多かったのですが、そのあたりも一年をとおしてしっかりと自分自身で考えて(戦略を)組み立てたり、逆にアグレッシブに攻めたりする場面の切り替えをすごく勉強することができた一年だったと思います」

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