英国で手に入る最も安価なテスラ
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
エントリーグレードのモデル3は、多くの人が望むテスラを形にしたモデルかもしれない。もしかすると。
正確にはイーロン・マスクが約束していた3万5000ドル(378万円)のモデル3ではないが、それに最も近い価格のクルマだとはいえる。このスタンダードレンジ・プラスのモデル3は、現在英国で手に入る最も安価なテスラだ。
為替レートの変動に、アメリカからの輸送コストなどを踏まえて、この右ハンドルのテスラ・モデル3の英国価格は3万6340ポンド(516万円)。ツインモーターと搭載するモデル3ロングレンジと比べると、1万ポンド(142万円)近く安い。
スタンダードレンジ・プラスの場合、プレミアム要素は限定的になり、コネクティビティの利用にも制限がかかる。それ以上の違いとなるのが、ツインモーター合計で370psの4輪駆動から、シングルモーターで255psの後輪駆動となるところ。
バッテリー容量も同様に縮小。WLTPでの航続距離は、560kmから408kmへと短くなる。
モデル3で一目置くべきところは、英国への参入は比較的最近であるのにも関わらず、デザインは既に見慣れた感じがするところ。目立って美しいとはいえないが、明確な個性を備えているデザインでもある。
運転席に座った眺めでいうと、テスラのようなデザインのクルマは今のところ他にはない。モデル3のアプローチは、それを更に煮詰めたものだと思う。
モニターに操作系が集約されたインテリア
ダッシュボードでは、大型のタッチモニターが強い存在感を放つ。クルマのほぼすべての機能を操作するインターフェイスであり、物理的なスイッチやその他のディスプレイは最小限に留められている。
テスラの多くのファンが、未来を指し示したデザインだと主張する。だが自動車業界のデザイナーなどからは、機能よりスタイル優先の、スタディのようだと批判する声も聞こえる。この議論はテスラでは珍しい話ではない。その中間にあるのではないだろうか。
ただし、ステアリングのチルトやテレスコピックの調整すら、モニターを介して行わなければならない。テスラ・ファンでも不必要に煩雑だと感じるところだと思う。
反面、テスラを批判する人でも、余分なものが削ぎ落とされたインテリアは広々としており、特別な印象を感じるはず。一度ステアリングの位置調整が済めば、機能性も良い。同時に、安価な素材が簡単に目に入ることにも気付くかもしれない。
クルマのスピードはモニターの上端に表示される。本能ではなく理性をもって運転していれば、従来的なステアリングの奥にあるメーターと同じくらい見やすく感じる。
物理的な制御スイッチは、ステアリングコラムに生えた2本のアームと、ステアリングホイール上の2つのコントロールボタン。マルチファンクションで使いやすく、運転中で最も多用する機能に対応している。
スムーズで上質な高級感のある走り
テスラはデザインに関して話題になりがちだが、モデル3が評価されるべきはドライビングに関する部分。シングルモーターのスタンダードレンジ・プラスの場合、最高速度は225km/h。0-96km/h加速は5.3秒でこなす。
ツインモーターのロングレンジの場合、233km/hと4.4秒となる。確かにスタンダード版はスペック的に劣るが、パワー不足を感じることはないだろう。瞬間的に引き出される太いトルクは、安楽でスムーズな加速を提供してくれる。
上位モデルのラディキュラス・モードで味わえる圧倒的な加速や、絶対的な最高速度では及ばない。でも、これ以上必要とは感じないのではないだろうか。
テスラ・モデル3の場合、他のEVモデルとは異なり、回生ブレーキの効きを調整する機能は備わらない。50kWhという容量のバッテリーの性能を最大限に引き出し、効率的に制御する能力という点では劣っているといえる。
ステアリングを切ると即座に向きを変える軽快さがあるが、フィードバックは少なく、手に伝わる感覚も少ない。だがモデル3の太いトルクをすべて引き出さずとも、走りは好印象。スムーズで上質、静寂なラグジュアリーさが味わえる。
乗り心地の洗練性はライバルモデルほどではなく、ロードノイズも大きい。BMW 3シリーズに並ぶプレミアム・サルーンとして見るなら、期待値には届いていない。
テスラの標準を新設定するスタンダードレンジ
モデル3は、テスラにおける新しい標準だといえる。その中でもスタンダードレンジ・プラスは、比較的手頃な価格も相まって、特に訴求力のある選択肢となってくる。価格の高いモデル3 ロングレンジと比べても、走行性能の差は実世界では小さいといっていい。
唯一引っかかるとすれば、560kmから408kmへと短くなる航続距離だろう。この距離で日常の運転環境に合致する、サルーンを求めるドライバーなら、モデル3 スタンダードレンジ・プラスは有力な検討候補になる。
確かに荒削りな部分もなくはない。だが安価なテスラを待っていたドライバーにとって、がっかりするようなレベルではないはず。むしろテスラに半信半疑のドライバーですら、充分に納得させられる可能性をモデル3 スタンダードレンジ・プラスは備えていると思う。
テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラスのスペック
価格:3万6340ポンド(516万円/49万円の英国政府補助金適用後)
全長:4694mm
全幅:1850mm
全高:1443mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:5.8秒
航続距離:405km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1611kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:50kWh
最高出力:255ps
最大トルク:38.2kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクションギア
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「バスが発進しようとしたので、急いで前に詰めたら、鳴らされました。運転手は懲戒処分ですよね?」質問に回答殺到!?「常識外れ」「もう運転やめてくれ」の声も…法律では誰が悪いのか
「右車線ずっと走って何が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「捕まるよ」「違反です」の声も…投稿者は「後ろから煽るほうが悪い!」と主張 法律ではどちらが正しいのか
“渋滞都市”京都が大変化!? 壮大な「堀川通バイパストンネル」計画が進行中 悲願の「信号ゼロ」実現までどこまで進んだのか
もっとも長く走れるモデルは東京から青森までノンストップ! いま日本で買える航続距離が長い電気自動車TOP10
「なんでこんなにお金取られるんですか…」国民ブチギレ!?「103万の壁」「106万円の壁」どうなる? カーライフでも「世界イチ高い」自動車諸税が問題に! 搾り取られる日本人の「お金」とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?