6年連続トップ人気の軽二輪! レブル250の魅力を500と比べつつ検証
2017年4月、250/500が同時発売されたホンダのレブルシリーズは、登場当初、かなり異色のクルーザーモデルに感じられた。エンジンはクルーザーで正統派と言える横置きVツインではなく、単気筒だったからだ(500は並列2気筒)。しかも水冷エンジンは割とのっぺりした外観で、機能的に不要なので細かい冷却フィンが刻まれることもない。それゆえ造形的に映えないと考えたのか、エンジンはブラックアウトされている。
【画像19点】人気の軽二輪モデル「レブル250」の魅力にググッと迫る!
前後とも16インチで太めのタイヤを履かせたのは、チョパースタイルの後に流行したボバースタイルを踏襲したもので、これは時流に乗っている。そしてこのスタイルがダークな色調にフィットしたために、エンジンの黒塗りはマッチしている。それでも、個人的には違和感があった。レブルの前半部は割と高さがある一方、燃料タンクは高い位置から低いシート部へとストンと落ち、後半部も低い位置にあってテールまわりはスッキリしている。ロー&ロングと言われたクルーザーの文法的スタイルとちょっと異なり、このスタイルってどうなんだろう?」と、登場当初は感じた。
しかし、そんな個人的な疑問は的外れだった。レブルは登場以来6年連続で軽二輪でトップセラーになる(二輪車新聞調べ)人気を獲得しているのだ。そこで今回は、レブル250はなぜに売れるのか、試乗を通して考えてみようと思い、比較材料に兄弟車のレブル500も用意した。250とほぼ同じ車体に倍の排気量の2気筒を積んだ500は、車検や大型自動二輪免許が必要なため、250ほどの人気は獲得していない(大型自動二輪免許保有者は、どうせならもっと大きくてボリュームのあるものに乗りたい心理もあるだろう)が、同じ車体に強力な心臓が積まれるのは魅力ではある。でも、250はそれでもOKで不満は生まれないのか?
(写真説明)
■CBR250R系の水冷DOHC単気筒を、ダイヤモンドタイプのフレームに搭載。高めのタンク前端からシートにかけてグッと傾斜して、低いテール部へとつながる独特のラインがレブル250の特徴。ヘッドライトをはじめ、灯火類を全LED化したのは2020年1月のマイナーモデルチェンジから。
■フレームと前後サスと含めた足回りを共用化しつつ、CBR500R系の水冷DOHC並列2気筒を搭載した、レブル500。フレームに抱えられるエンジンはボリューム感があり、そこが250との識別点ともなるが、全体のフォルムや車格は共通のイメージでまとめられている。
レブル250vs500:ライディングポジション比較
■レブル250
両足がベッタリと着いてヒザが余るほどシートは低い(身長173cmの場合)。上体はほぼ直立となり、ハンドルはそこから手をスッと前に伸ばした位置にある。しかし、長く乗っているともう少し近いほうがいいと思えてくるし、筆者より小柄なライダーは遠く感じるようだ。159cmの女性ライダーに聞くと「足はちゃんと着けるが、ハンドルは遠い」と言っていたから、実際そうなのだろう。
■レブル500
サイドスタンドから車体を引き起こした際は250より重さは感じるが、重すぎるわけではない。もうひとつの違いは、横幅があるエンジンの存在感。特に右ステップに載せた足からふくらはぎにかけての内側が、エンジンのクラッチカバーに触れる。しかし、乗車姿勢については大きな差は感じない。
■ライディングポジションでの2台共通の長所と短所
<長所>
・圧倒的に良好な足着き性
・アップライトでリラックスした上体の姿勢
・手・足・尻位置の3点関係は、スタンダードバイクに近く取っ付きやすい
<短所>
・ハンドルがやや遠い(小柄な人ほど実感するはず)
・シートの肉厚が薄めのため、後述するが結果的に尻が痛くなるのが早い
以上の印象を踏まえて、走り出してみる。
レブル250vs500:市街地・一般道走行
■レブル250
ショートストローク型の単気筒エンジンは、小気味よく滑らかな発進が可能で、アシストスリッパー付きのクラッチも軽くて操作しやすい。トトトトッとした穏やかな鼓動感を伴うエンジンは素直なパワーの出方だが、それ以上主張することはなく扱いやすい。
50~70km/hで流れる市街地から幹線道の巡航では、トップ6速に入れられる場面が多く、特に60km/h以上で流しているときには、滑空するように軽やかな走行感で心地いい。シフトタッチも良好で、ブレーキは前後ともシャープではないが、握り込むほどに正比例的に効力が立ち上がる感じで操作しやすい。特にリヤブレーキは、車体姿勢や速度を微妙に制御したい場面などで、引きずるような操作がしやすい(ただし、このブレーキフィールは500も同様)。
■レブル500
180度クランクでほぼスクエアストロークの2気筒エンジンは、扱いやすい中に野性味もあって、そのパワフルさは大きな排気量を感じさせる。ドルルルッという感じのエンジンの鼓動感は180度クランクのツインならではのもので、加速も500cc並みに鋭い。50~70km/hで流れる市街地~幹線道では、5速を多用する場面も多く、時にトップ6速を使う感じ。パワフルでありながら、上述の面で言えば、ほぼトップ6速ホールドで流せる250に対し、500は60km/h以下のトップギヤではギクシャクする場面もあって、意外とギヤ選定が難しい面もある。
■市街地・一般道走行での2台共通の長所と短所
<長所>
・前後サスは硬めの設定なのか、舗装状態のいい路面ではピッチングも起きにくく、軽快な転がり感
・ブレーキは減速、車体制御の面で操作しやすく扱いやすい
・変速操作も滑らかで操作性良好
・アップライトな上体の姿勢で、周囲をリラックスして見通しやすい
・バックミラーが見やすい
<短所>
・遠近の調整機構が付かない標準装備の左右レバーの不満
※一般的な手の大きさの男性は不満を感じないが、小柄なライダーの場合はリリースされた上体のレバーに第一関節かからず、少し扱いにくい場合もありそう。ただし、純正やカスタマイズパーツで調整機構付きレバーは入手可能。
・道に点在するマンホールや路面の凹凸を通過する際、突き上げ感が強め
※特に250は車重が軽いせいか、凹凸通過時に弾かれるような挙動が多め。元々レブルの前後サスは250/500共通か? 500にも耐えうる設定ゆえに、250では弾かれ感が多めなのでは、と感じる。タイヤのロードインデックス(荷重指数)も両車共通だが、250用ならばもっと柔らかくベストな感触のタイヤがありそうな気もする。ちなみに、両車の重量差は20kg(250=171kg、500=191kg)。
レブル250vs500:高速走行・ワインディング
■レブル250
最高出力26psのエンジンは、動力性能的に不自由な場面は少ない。試しに120km/h区間の高速で試したところ、100km/hからの加速でもたつく場面はなく120km/hに到達し、そこからの追加加速の余力もありそう。ただし、そこから上の伸びは鋭くなく、じわじわ感が増してくる。想像するに250の最高速度は130km/h+αというところだろう。軽快な回転感のバランサー内蔵エンジンのため、顕著な振動は出ないものの、100km/h過ぎから上はハンドルに微振動が発生。バックミラーの映す像は、徐々に二重に見えてくる。車体の直進性も問題ないものの、アップライトな姿勢のネイキッドスタイルのため、120km/h以上の速度で連続走行する気にはならない。
ワインディングも平坦路ならば不足を感じる場面は少ないものの、250ccの宿命か上り勾配ではエンジンは唸らせるほど回転を上げても、脱出加速が鋭くなるわけではない。そこは数少ないパワーの不満点。
■レブル500
最高出力46psの2気筒エンジンは、250にはない余力があり、120km/hまでは当然自由自在に加速可能。パワーはまだ余りある上に、気になる振動も出てこない。そして最高速はおそらくレブル250+30km/h程度まで出るだろうが、その領域は風圧との格闘になるはず。そして、前後サスペンションも減衰性能が足りないようで路面への追従性が低下し、不安になる跳ね方がじわじわと発生してくる気配がある。250と同様に、このスタイルのモデルでは500ccであっても120km/h以上の領域での巡航性能はそんなに必要ないだろうと感じた。ただし、ワインディングでは魅力的で、250のようにパワー不足を感じる場面は皆無。
■高速走行・ワインディングでの2台共通の長所と短所
<長所>
・120km/hまでの高速直進安定性。
・シャープではないが、コントロールしやすい前後ブレーキ
・クルーザーカテゴリーとしては、深いバンク角でステップは通常の走行で擦る場面は少ない
・太めのタイヤながら、コーナーでの切り返しは重ったるくなく、自然で素直。
<短所>
・乗車姿勢と風除けのないネイキッドスタイルの影響で、100km/h以上での連続高速走行は不向き。
・リヤサスの作動性があまり優れていない。スプリングの追従性、減衰特性ともに物足りず、荒れた路面では跳ね気味の感触が気になる。
レブル250vs500:総合評価
上述のことを総合すると、500のパワーは捨て難いものの、すごく必要とも思わない。何より、120km/hまでの加速では、250でも不満を感じないからだ。そして、エンジンの体積や重量は異なるものの、それを積む車体が共通ゆえに、500から見劣りするところがないのは250の魅力。ちなみに、ほぼ同じシチュエーションを走った結果の燃費は(メーターに表示される平均燃費)、250=32.8km/L、500=29.2km/Lだった。
そして両車の価格は、250=61万500円、500=83万6000円で、22万5500円の差。今の排気量クラスの相場を考えればレブル500の価格は高いわけではないものの、これまで述べた使い勝手と各状況での性能差に照らせば、個人的に250で物足りないと感じる場面はそんなになかった。自分ならば250を入手し、以下の点にモディファイを加えているんじゃないかと想像する。
●シートの形状ないし肉厚の変更
※レブル250/500共通のウイークポイントは、薄いシート。筆者は200kmほど走行すると座り心地が気になってきた。最も簡単で値も張らない対策は、純正シートにゲルザブなどを被せること。1万~1万5000円の価格帯で入手でき、前シートを外して外側に被せるのみだが、これで尻の痛みはそこそこ改善されるはず。もう少し踏み込めば、フロントシートの肉厚・形状をカスタムすること。アフターメーカーから3万円台で肉厚を上げたリプレースシートが出ており、それに変更すると着座点も少し前になりハンドル位置も少し近くなる。シート高はSTDより若干上がるが、元々両足はべったり着く。ハンドルの遠さも改善されるので試してみる価値があるだろう。
●リヤサスの変更
※見た目のロー&ロングを強調したいために、市販のリプレース用ローダウンサスを入れるという向きがあるかもしれないが、これ以上乗り心地が悪化する方向は好みじゃない。欲を言えば、プリロードと減衰力調整の付くハイグレードなリヤサスに交換したい。リザーバータンク付きなどだと、10万円台前半から後半までの価格帯とそこそこに値が張るが、気持ちのよい走りが期待できるのではないだろうか。
レブル250/500各部紹介
(ハンドルまわり)
■スタンダードバイク的な印象のフラットバータイプのハンドル。幅は適度に広めで高い位置にあり、左右ミラーの後方視認性は良好。オーソドックスな操作系と、シンプルな丸形1点の多機能メーターという仕様は250/500ともに共通。
(メーター)
■小型反転液晶メーター。上部に時計、その下左にギヤ段数、右に速度。その下部に切り替え式で積算距離/トリップA&B/燃費などを表示。最下段に左右独立のウインカーインジケーター、中央部に各種警告灯を配置。コンパクトに表示をまとめた工夫はあるが、昨今増えつつあるTFTカラー液晶表示に視認性で劣り、日中の晴天下などが少々見づらい。
(ヘッドライト)
■レブルシリーズのダーク&クールなイメージを強調する4眼インナーレンズ式LEDヘッドライトは、2020年のマイナーチェンジから採用。これを機に全灯火類もLED化された。この個性的なデザインは、他車からの被視認性という面でも有効に感じる。
(シート)
■ボバースタイルクルーザーの個性を主張する前後独立タイプのシート。薄い座面は良好な足着き性に貢献する半面、長距離ランでは比較的早めに尻を痛みを実感することになる。被せるタイプのゲルザブシートなどで、まず対策したくなる。
(シート脱着&シート裏)
■前席シートは、六角レンチ用のネジ1点での固定式で、シートベースの裏に書類、簡易的な車載工具が備わる。だが、ここにアクセスするには六角レンチの常備が必要ということ。脱着は難しくないが、これがキーロック方式だったらもっと便利。
(マフラー&リヤサス)
■マフラーは250と500で造形がほぼ同じながら、エンドの排気パイプ口径が異なる。プリロード調整付きのリヤショックは、250の車重では跳ね気味に感じるが、中身は500と共通の設定なのだろうか。確認できる情報が見つからなかったが、250は標準よりプリロードを柔らかめに調整してもよさそうだ。
<レブル250主要諸元>
■エンジン 水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク76.0×55.0mm 排気量249cc 圧縮比10.7 燃料供給装置:フューエルインジェクション(PGM-FI) 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力19kW(26ps)/9500rpm 最大トルク22Nm(2.2kgm)/6500rpm 燃費33.7km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速3.416 2速2.250 3速1.650 4速1.350 5速1.166 6速1.038 一次減速比2.807 二次減速比2.571
■寸法・重量 全長2205 全幅820 全高1090 軸距1490 シート高690(各mm) キャスター28°00′ トレール110mm タイヤF130/90-16 M/C 67H R150/80-16 M/C 71H 車両重量171kg
■容量 燃料タンク11L エンジンオイル1.8L
■車体色 パールスモーキーグレー、パールメタロイドホワイト、マットガンパウダーブラックメタリック
■価格 61万0500円
<レブル500主要諸元>
■エンジン 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク67.0×66.8mm 総排気量471cc 圧縮比10.7 燃料供給装置:フューエルインジェクション(PGM-FI)点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力34kW(46ps)/8500rpm 最大トルク43Nm(4.4kgm)/6000rpm 燃費27.9km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速3.285 2速2.105 3速1.600 4速1.300 5速1.150 6速1.043 一次減速比2.029 二次減速比2.666
■寸法・重量 全長2205 全幅820 全高1090 軸距1490 シート高690(各mm) キャスター28°00′ トレール110mm タイヤF130/90-16 M/C 67H R150/80-16 M/C 71H 車両重量191kg
■容量 燃料タンク11L エンジンオイル3.2L
■車体色 マットジーンズブルーメタリック、パールディープマッドグレー
■価格 83万6000円
レポート●モーサイ編集部・阪本 写真●富樫秀明
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みんなのコメント
そもそも250と500を比べる事自体ナンセンス。
ならなぜ1100も一緒に比べなかったの?!