この記事をまとめると
■スーパーGTに参戦する立川祐路選手が引退を発表
一般人にとってはゴミでもマニアには宝の山! レース終了後のサーキットに落ちているタイヤカスやパーツ片を持ち帰ると「窃盗」になる?
■第4戦の富士で記者会見が行われた
■立川祐路選手は3度のチャンピオンを獲得したレジェンドドライバー
第3戦の鈴鹿で引退を決断
1999年よりCERUMOのドライバーとしてスーパーGTへの参戦を開始し、2001年/2005年/2013年と3度に渡ってチャンピオンに輝いたほか、これまでに19回の優勝と24回の歴代最多ポールポジション記録を有する立川祐路選手。まさにスーパーGTにおいて“レジェンド”と呼べる存在だが、その立川選手が2023年を最後にスーパーGTから引退するという。
スーパーGTの第4戦・富士を直前に控えた8月4日、富士スピードウェイで立川選手の記者会見が開催。スーパーGTをプローモーションするGTAの坂東正明代表、立川選手のチームメイトとしてYGR TEAM ZENT CERUMOで38号車「ZENT CERUMO GR Supra」のステアリングを握る石浦宏明選手、長年に渡って立川選手のライバルとしてスーパーGTで激しいバトルを繰り広げたTGR TEAM SARDの脇阪寿一監督、トヨタの佐藤恒治社長が見守るなか、ファンや関係者への感謝を伝えたほか、「人生の半分以上をスーパーGTで戦ってきたので寂しい気持ちはあります」としたうえで、立川選手は引退の理由について次のように語っていた。
「年齢的なものもあるので、昨年ぐらいから進退をかけてレースを戦っていました。決断したのは第3戦の鈴鹿。プロのドライバーとして戦っている以上、成績に責任を持たないといけないなか、昨年を含めて成績を残せなかった。昨年はついてないことがあったり、トラブルもあったりといろんな理由があるにせよ“前の自分だったら、なんとかすることができたんじゃないか”という思いがありました。それができないんだったら、引退するタイミングだと思いました」。
つまり、立川選手は自身のパフォーマンスの低下を引退の理由に挙げているのだが、これについて花束贈呈を行ったTGR TEAM SARDの脇阪監督は次のように語っている。
ライバルだった脇阪監督は「実力が落ちたわけではない」と語った
「先ほどの立川の挨拶で“昔はなんとかなったけど、最近はなんとかならなくなった”という話がありましたが、誤解されたくないので言わせてもらうと、彼は老いたわけではない。昔は誰もがなんにもできないようなことを、彼がなんとかして勝ってきた。ポールポジションをとれないクルマでポールを獲ってきたんです。そういった感覚があるからこそ、そういったことができなかった数レースが苦しくて、葛藤して、引退を決めたんだと思います。だから、僕は言いたいです。あなたは(実力は)落ちていません。残り5戦ありますので、優勝してもらいたいし、独特のオーラをまとって輝く38号車を見せてください」。
かつてのライバルであり、親友でもある脇阪監督のこの言葉こそ、筆者が記者会見でもっとも印象に残るものだったが、事実、立川選手はこれまで劇的な勝利を飾ってきた印象が強い。
なかでも、筆者が鮮明に覚えているレースが2012年の開幕戦・岡山で、レクサスSC430を駆る立川選手が最終ラップで逆転して優勝。また、SC340のラストイヤーとなった2013年には有終の美を飾るべくタイトルを獲得するなど、立川選手は“ここぞ”というときに活躍して見せた。
近年は走行直前までピット周辺をウロウロとするドライバーが多いなか、立川選手はいち早くヘルメットを被り、コクピットのなかで集中しているシーンは、まさに出撃を待つパイロットのような雰囲気で、立川選手は独特の緊張感を持つ。
その一方で、インタビューではサービス精神が旺盛で、質問に対して丁寧に答えたり、ときに冗談を交えてはにかんだりするシーンがあったりと、そのギャップも立川選手の魅力といえるだろう。
残り4戦で引退してしまうのはじつに寂しいところではあるが、立川選手は要所要所で活躍してきただけに、残りのレースでどのようなドラマを見せてくれるのか? 最終戦の最終ラップまで立川選手の動向に注目したい。
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