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「野性味のあるカローラ」って!? GRカローラ登場で考える歴代カローラスポーツグレードの存在意義

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「野性味のあるカローラ」って!? GRカローラ登場で考える歴代カローラスポーツグレードの存在意義

 2022年6月、現行カローラのスポーツモデルとなる、ワイド化されたボディにGRヤリスと同じ1.6Lターボ+4WDというパワートレーンを搭載したGRカローラの日本仕様が公開され、今秋頃からの発売が発表された。

 カローラはトヨタにとって柱の1台となるモデルなのに加え、豊田章男社長にとっても初めて自分のお金で買ったクルマがE70系セダンのスポーツモデルとなるGTだったことや、水素エンジン搭載のカローラでのスーパー耐久への参戦などもあり、GRカローラへの想いは非常に深いものがあるようだ。

「野性味のあるカローラ」って!? GRカローラ登場で考える歴代カローラスポーツグレードの存在意義

 GRカローラはカローラファミリーにおいて久々となる本格的なスポーツモデルとなるが、10数年ほど前までのカローラファミリーには歴代ほぼすべてのモデルにスポーツモデルが設定されていた。

 そんな背景もあり、ここでは過去のマイカーにAE86トレノ、AE111型レビン、カローラランクスの普通の1.8Lという、2台のスポーツモデルを含めた3台のカローラファミリーがある、「隠れカローラファン」の筆者が印象的なカローラのスポーツモデルが持つ意義を考えてみた。

文/永田恵一、写真/TOYOTA

■TE27型カローラレビン(2代目カローラファミリー、1972年)

トヨタ カローラレビン(TE27型)

 カローラファミリー初のスポーツモデルとなったのが、2代目カローラから2年遅れでクーペボディに追加されたTE27型レビンである。TE27型レビンの成り立ちは「初代セリカに搭載されていた2T型1.6LDOHCエンジンをカローラに移植する」というものだった。

 TE27型レビンはエンジンだけでなく、内外装もエクステリアはビス止めのオーバーフェンダーにより拡幅され、インテリアもダッシュボードに付く電圧計、油温計、油圧計という三連メーターに加え、さらに追加メーターを付けることを想定したスペースが設けられるなど、全体的にスパルタンなクルマだった。

 TE27型レビンは自動車技術が進んでいなかった時代のハイパワー車だったうえに車重は800kg台と軽く、エンジンの燃料噴射もキャブレターと、豊田章男社長がGRカローラのプロモーションビデオで語った「野性味」が一番強いカローラのスポーツモデルはこれだろう。

■TE71型カローラGT(4代目カローラファミリー、1979年)

 1974年登場の3代目カローラファミリーにも2T型DOHCを搭載したレビンは設定されたものの、初期のキャブレターモデルはこの頃から強化された排ガス規制をクリアできず短命に終わった。

 しかし、3代目カローラファミリーのモデルサイクル後半に、EFI+触媒により排ガス規制をクリアした2T型DOHCを搭載したレビンが復活したことは幸いだった。

 1979年登場の4代目カローラファミリーファミリーでは2T型DOHCを搭載したGTがレビンだけでなく、4ドアセダンや3ドアのリフトバックにも設定された。なお、カローラファミリーでセダンのスポーツモデルとなるGTは8代目のカローラファミリーまで継続されている。

 4代目カローラファミリーのGTはリアサスペンションが形式自体はリジットのままながら、スプリングはリーフからコイルとなり、ブレーキも四輪ディスクとクルマとしての基本性能が大幅に向上した。

■AE86型カローラレビン(5代目カローラファミリー、1983年登場)

トヨタ カローラレビン(AE86型)

 5代目カローラファミリーのスポーツモデルの大きなトピックスは1.6LDOHCエンジンが2T型から新開発された、あの4A-GEとなったことと、レビン以外はFF化されるなかで、レビンだけはFRで継続された点だ。

 4A-GEは2バルブだった2T型に対し4バルブ化されたことなどにより、アイドリングからレブリミットの7700回転まで0.98秒という吹け上がりの鋭さや25kgも軽量化された点などにより、動力性能だけでなくクルマ全体の性能向上にも貢献した。

 駆動方式に関してレビンはエンジン以外の機能面をTE71型のキャリーオーバーという形で、FRが継続された。そのため4A-GEを搭載したAE86型レビンは、エンジン以外の基本性能は現役時代からそれほど高いものではなかった。

 しかし、エンジン以外の機能面がTE71型のキャリーオーバーだったことはパーツの互換性などにより登場後すぐに競技車両が登場するなどメリットも少なくなかった。

 さらにAE86型レビンは現役時代が終わるとコンパクトなFR車が激減したことや全体的にチューニングしやすいこともあり、いまだにファンが多い名車となった。

■レビンFF時代

トヨタ カローラレビン(AE92型)

 1987年登場のE90系となる6代目モデルからカローラファミリーはレビンを含め全車FF化され、ここからはE110系まで続く4A-GEを搭載したレビンを簡単に振り返っていく。

●AE92型カローラレビン(1987年登場)

 FF化による批判はあったものの、クルマ自体を総合的に見ればFFながらコントローラブルなハンドリングを持つなど、絶対的な速さを含めいいクルマとなった。

 さらに4A-GEもスーパーチャージャーが付く4A-GZEを搭載するGT-Zが加わったほか、特に後期型はガソリンをハイオク仕様とすることなどでそれぞれ前期型に対してプラス20psとなる140psと165psに進化。また、ミニソアラ的な内外装やバブルという時代背景もあり、E90型はもっとも売れたレビンとなった。

●AE101型カローラレビン(7代目カローラファミリー、1991年登場)

 AE101型カローラレビンはバブル末期の登場ということもあり豪華路線をさらに進め、インテリアなどは現在のGR86&BRZ以上と言える質感を持っていた半面、車重の増加など歴代レビンで軟派なモデルでもあった。

 それでも4A-GEは5バルブ化とVVT(可変バルブタイミング機構)の採用により160psにパワーアップ。サスペンションも一部グレードでフロントにコーナリングスピードを高めるスーパーストラットサスペンションを設定し、それなりのスポーツ性を備えていた。

●AE111型カローラレビン(8代目カローラファミリー、1995年登場)

 AE111型カローラレビンは8代目カローラファミリー自体がバブル崩壊後の登場という時代背景により、特に前期型ではコストダウンが目立ち、内外装の質感低下を感じたのは事実だった。

 しかし、AE111型カローラレビンはAE101型に対して70kg軽量化されており、4A-GEは165psにパワーアップし(スーパーチャージャーは廃止)、スーパーストラットサスペンションも熟成されたうえにトラクションを高めるヘリカルLSDが設定されながら、価格は大幅値下げと、スポーツモデルとして見ればいいこと尽くめのフルモデルチェンジだった。

●ZZE123型カローラフィールダー&ランクスZ(9代目カローラファミリー、2000年登場)

 9代目カローラファミリーでレビンはセリカに統合される形で絶版となったが、ステーションワゴンのフィールダーと5ドアハッチバックのランクスに190psの1.8L2ZZ-GE型エンジンを搭載するZグレードがあった。

 このモデルは本格的なスポーツモデルとして見ると「もうちょっと」という感もあったが、実用性も備えたほどほどのスポーツモデルとして見れば充分なスポーツ性を備えており、その意味ではカローラファミリーらしいスポーツモデルだった。

■カローラファミリーのスポーツモデルの存在意義とは?

2022年6月に日本仕様が発表されたトヨタ GRカローラ

 GRカローラのプロモーションビデオでは「カローラは誰かのストーリーになるクルマだと思っています」という豊田章男社長の言葉があったが、そのとおりだと思う。

 具体的には「初めて買ったクルマがカローラだった」、「初めてスポーツ走行をしたクルマがカローラだった」、「タイ国のような新興国ではカローラは300万円を超える高級車である」といったことだろう。

 このあたりは筆者が自分で初めて買ったクルマは冒頭に書いたAE86トレノだったのに加え、AE111レビンでは2年間草耐久レースをやっていたことからもよくわかる。

 筆者の経験から感じる5ナンバーだったE120系までのカローラファミリーのスポーツモデルの存在意義は「リーズナブルでけっこう速くて楽しく、丈夫なクルマなので安上がり、要するにいい意味で万人向けかつ手軽」ということだと思う。

 特に筆者が草耐久レースで使っていたAE111レビンは10年落ち、走行10万km、10万円くらいという中古車をライトチューンしたクルマだった。

 そんなクルマながら一度それなりの整備をし、油温上昇の対策でオイルクーラーを追加するとずっと全開走行も可能で、草耐久レースをしていた2年間のランニングコストもほぼ消耗品だけと安上がりだった。

 つまり、5ナンバー時代のカローラファミリーのスポーツモデルにもカローラのよきDNAが引き継がれていたということである。

 その意味ではGRカローラは5ナンバー時代のカローラファミリーのスポーツモデルとは別の世界のクルマなのは事実だが、それは同クラスのシビックタイプRやメガーヌR.S.同様にやむを得ないところだろう。

 しかし、5ナンバー時代のカローラファミリーのスポーツモデルの役割はふつうと言えばふつうのクルマながら、アフターパーツも豊富でモータースポーツ参戦ベース車になるなどマニアックな魅力もあって、MT車なら154万3000円からというヤリスの1.5Lガソリンに引き継がれているのは立派なことだ。

 そんなことを考えていると5ナンバー時代のカローラファミリーのスポーツモデルと同等となる200万円前後のスポーツモデルはスイフトスポーツやデミオ15MBもあるほか、近々フィットRSも復活するなど、今も手軽なスポーツモデルがそれなりに揃っているのは嬉しいことである。

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みんなのコメント

6件
  • 安心してください、ベストカーには存在意義はありません。嘘しかつかないし、嘘のついてごめんなさいも言えないから。
  • 今のトヨタに意味なんてあるのかよ
    なんでもGRだよ
    ハリボテエアロにクロスレシオ、大径ホイールにキャリパー塗装して、はい特別仕様車(笑)です!ってなもんよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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