街の様相を一変させたとまで言われる”フォワード・ルック”
記念すべき第50回から少々間が開いてしまったが、今回はアメリカ車の歴史にしかとその名を刻む1台、1957年型クライスラーのカタログをお目にかけよう。
いつかのクラウン…確かに乗ったぞこのタクシー(50代以上限定!?)【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第50回
【画像39枚】今見ても魅力満点なクライスラーのカタログを細部まで確認!
いわゆるビッグスリーの中では最も規模の小さいメーカーであったクライスラーだが、同社は古くから技術力を売りにしてきた。1930年代のエアフローでは空力デザインを大胆に導入したが、販売的には大失敗となり、その反動からか1950年代に入るあたりには、地味なスタイリングの野暮ったいクルマばかりを作っている、といったイメージが固定化していた。
そうした状況を一変させたのが、ポンティアックやスチュードベーカーでキャリアを積んだデザイナーのヴァージル・エクスナーだった。1949年にクライスラーへと移籍してきたエクスナーは、イタリアのギアとの提携によるショーカーを多数手がけ、そこで様々な収穫を蓄積。1950年代も半ばに近づくと、クライスラーが擁する各ブランド(クライスラー、デ・ソート、ダッジ、プリマス)は、徐々にそのエクステリアに独特の華やかさを加え始める。
攻勢に転じたのは1955年型からである。この年はインペリアルがクライスラーから独立したディビジョンとなったのもニュースであったが、そのインペリアル含め5ブランド全てが、エクスナー主導の”100ミリオン・ダラー・ルック”をまとって登場。その優雅なスタイリングを、ブランドによってはスリートーンの大胆なカラーリングが飾った。クライスラーではこの年、ストックカーレースでの活躍を前提としたハイパフォーマンスモデルC300が登場、以後続く”レターカー”の先駆けとなっている。
本格的な進撃は1957年型で演じられた。この年のクライスラー系各ブランドは、エクスナー主導によるさらに大胆な”フォワード・ルック”を身にまとってデビュー。その低く長いボディとひときわ大きなテールフィンは大いにセンセーションを呼び、大半のブランドがセールスを増大させたのである。
1957年型クライスラーは、前年から継承したニューヨーカーとウィンザーに、中間モデルのサラトガ(5年ぶりに復活したネーミング)を加えた3モデルが基本ラインで、これに加えて2ドア・ボディのみのパフォーマンスモデル・300Cも存在。300Cには大きな格子グリルの専用フロントマスクが与えられ、外観の更なる差別化が行われていた。
技術的にも特筆すべきポイントが多く、まずエンジンはクライスラー自慢のヘミV8”ファイアーパワー”を搭載、354-cid(5.8L)から392-cid(6.4L)に排気量をアップし、ニューヨーカー用は325hp、300Cでは4バレル・キャブレターを2連装して375hpを発揮した(プロレーサー向けを意図した390hp仕様もあり)。シャシーはフレームから完全に一新され、フロントサスペンションにはトーションバーを採用して操作性を向上、3速AT”トルクフライト”を前年より拡大採用するなどしている。
ヘッドライトは2灯ライトが基本だが、オプションで4灯ライト仕様のものも用意された。これはこの年からデュアルライトが大半の州で合法となったためである。標準装備とならなかったのは、いくつかの州では認可が遅れたことを受けての措置であった。他のアメリカ車では、4灯ライトのみを採用したもの、逆に2灯ライトのみのままとしたものなど、対応が分かれており、クライスラーでもダッジとプリマスは2灯ライトのみだった。
前述の通り大変な好評を博し、またそのデザインも現代まで傑作として伝えられている1957年型のクライスラー系だが、大胆な変化のしわ寄せは製品のクオリティという大事な部分に現れてしまった。新鮮な内容に惹かれて車両を購入した人々は、やがて部品の脱落や錆の発生、雨漏りなどの深刻な症状に悩まされることとなるのである……。
高級車ながらも軽いイメージでまとめられたカタログ
さて、今回お見せするのはそんな1957年型クライスラーのフルライン・カタログだ。フルライン……とは言っても300Cは含まれていないが、ニューヨーカー/サラトガ/ウィンザーの3モデルがそれぞれしっかりと各ボディ形式分ページをとって紹介されたもので、表紙を合わせて全24ページ。発行年月については表4に「CS―374―9-56」とのコードが記載されているので、デビューに合わせて1956年9月に作られたものであろう。サイズは227×321mm(縦×横)。
クライスラーの擁する5ブランドの中でも高級車に位置づけられるクライスラーであるが、車格的にはキャデラックやリンカーンと直接に競合するのはインペリアルであり、クライスラーの方はGMで言えばビュイック的ポジションに近かったので、カタログのつくりも全体に軽快なイメージでまとめられている。余談だが、当時のインペリアルとキャデラックのカタログを並べて眺めてみると、この時代のアメリカ人が抱く高級さや重厚さのイメージがよく分かる。
話をクライスラーに戻すと、そんな訳で、キャッチの書体やイラストの色使いに肩肘張らないポップな感覚を察知できて、なかなか面白い。現代の我々がイメージするフィフティーズ感覚が実際にはどんなものであったか、その実例として楽しむことができる。その分、イラストに描かれたシチュエーションなどは、当時のカタログとしてありふれたものと言えるが……。そのほか、細かな装備類についても興味深いポイントが多数存在するので、各画像をぜひじっくりとご覧いただきたい。
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