現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > F1日本GPで発生したインシデントに関する手順の見直しを実施。サインツ車回収のための車両導入は“早すぎた”と結論

ここから本文です

F1日本GPで発生したインシデントに関する手順の見直しを実施。サインツ車回収のための車両導入は“早すぎた”と結論

掲載 4
F1日本GPで発生したインシデントに関する手順の見直しを実施。サインツ車回収のための車両導入は“早すぎた”と結論

 FIAは、2022年F1第18戦日本GPの決勝レースで起きたインシデントとそれに関する手順の問題について見直しを行い、その結果と今後実施される対策を発表した。これによると、クラッシュを喫したカルロス・サインツ(フェラーリ)のマシンを回収するための車両の導入は、タイミングが早すぎたと判断されたという。

 大雨の影響を受けた日本GPでは、決勝レースの1周目にサインツがクラッシュを喫し、セーフティカー(SC)が導入された。その後まだ各マシンがコース上を走行しているなかで、サインツのマシンを撤去するための車両が導入された。そのため、複数のドライバーから安全性を損なうとして怒りの声が上がっていた。

FIA、“F1日本GPのインシデント”に関し手順上の問題を特定、対策を後日公表へ。批判された事故処理法を改善か

 このインシデントに関して、広範囲にわたる徹底的なレビューがFIAスポーツ担当副会長ロバート・リードの監督の下で行われた。審査委員会はレースコントロール、リモートオペレーションセンター(ROC)、セーフティ、オペレーション、テクニカルなど、FIAの多くの部門から代表者を集めて構成されている。またこのレビューは、GPDAからの書簡や、モハメド・ビン・スライエムFIA会長とGPDA理事のジョージ・ラッセル(メルセデス)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)との話し合いに基づいている。

■日本GP決勝レースでのインシデント、それに関する手順の調査結果
【レーススタート】
 スタート時に雨が降っていたものの、定刻にスタンディングスタートを行うのに適したコンディションだった。全チームがインターミディエイトタイヤでスタートしたが、スタート時刻のあたりに雨が強くなったため、スタート後にインターミディエイトでマシンをコントロールすることがより困難になった。

【回収車とマーシャルの配備】
 回収車とマーシャルの配備については、審査の結果、FIAのレース手順はすべて順守されているという結論に達した。

 レビューでは、このような状況では、全車がSCの後ろに整列していない限り、回収車は投入されるべきではないと指摘された。当時のコースコンディションとドライバー、マーシャル、回収スタッフの視界を考慮して、SCと赤旗の下で安全な回収作業に集中していたため、ピットレーンにガスリーがいたことにすぐには気がつかなかった。レースコントロールは、インシデントが発生したエリアとSCの後ろの隊列を中立化することに重点を置いているため、必ずしもSC出動中にすべてのマシンを監視しているわけではないということだ。

 レースが中断された際に回収車を投入するのが一般的だが、審査委員会は、サインツ車を撤去するために回収車を出動させるのは時期尚早だったかどうかを議論した。過去のインシデントの点から、今回のようなコンディションのなかでコース上にクレーン車を出動させることは慎重に扱うべき問題であることを認めている。そして結果論ではあるが、当時は天候が変化していたため、回収車の出動を遅らせることが賢明であったと審査委員会は判断した。

 なお、FIAはSCの真後ろにいるマシンを管理できるが、それ以外のマシンについては十分なコントロールができないことも認識された。

【ドライバーの義務について】
 ドライバーは黄旗や赤旗、SCの状況下で適宜速度を制限する義務がある。ガスリーはSCに追いつくために、サインツの事故現場まで、そしてそこを通過した後、時速200kmを超える速度で走行していたことがデータから判明している。そのためガスリーはペナルティを受けた。

【タイヤ、コース上の広告、排水について】
 極限状況におけるタイヤの性能についても議論されており、現在FIAの技術部門とピレリの間で分析が行われている。またコースの広告ボードについては、固定方法や構造、位置、材質についてサーキット委員会が再調査を行っている。排水に関しては、FIAとサーキットオーガナイザーとの間で、鈴鹿サーキットの排水改善について協議している。

■アメリカGP以降に実施される対策について
 日本GPのレビューでは、ドライバーの行動や、サーキットマーシャルと回収車のオペレーターのパフォーマンスも評価され、今後に向けて多くの対策が採用された。

 まずFIAのレースディレクターは、アメリカGPのドライバーズブリーフィングにおいて、鈴鹿でのインシデントに関するレビューを行い、再発を避けるためにFIAが導入予定の解決策を説明するとともに、セーフティーカーと赤旗に関する規則をドライバーに再認識させるという。

 レースディレクターの体制についても変更点がある。今シーズンのレースディレクターはニールス・ヴィティヒとエドゥアルド・フレイタスの2名が交代で担当してきたが、アメリカGPから最終戦アブダビGPまでの4戦はすべてヴィティヒが担当するということだ。

 FIAからチームへの情報提供は公式メッセージシステムを通じて行われ、FIAインカムシステムを使用してコミュニケーションを取ることになる。FIAはこれを利用して回収車がコース上にいることをチーム側に知らせ、チームはそれをドライバーに知らせる義務がある。またレースコントロールとROCが使用する、コース上、SC後方の全車の状況を表示するバーチャルセーフティカー(VSC)/SCライブモニタリングウインドウを新たに開発することになった。SCまたはVSCの手順の下で、レースコントロールチーム全体の仕事の割り当てをより明確にするために手順の更新も行われる予定だ。

 そして『ダイナミックVSC』という新しい機能も明らかにされた。これはインシデントが起きたセクターとその手前で、ドライバーが従うべきデルタスピードを変更するものだ。ドライバーがインシデントの発生場所を把握しやすくするためのものだという。

 FIAはチームと協力して、イエロー、ダブルイエロー、VSC、SCに関する規則を守らないドライバーに対するペナルティの判例を見直していくことになる。なおコースサイドの広告ボードについては、引き剥がされてコース上に入る可能性を避けるため、構造、位置、使用されている材料について評価する。

 そして最後に、レースの制限時間とポイント配分に関する点だ。日本GPでは制限時間とポイント配分に関するF1スポーティングレギュレーションの第6.5条が正しく適用されたものの、次にスポーティングレギュレーションを見直す際には、より内容を明確にするために、文言が見直される予定だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

4件
  • マーシャルはSC入ってるし、少しでもレース再開させたかったんでしょう。
    もしドライコンディションの時だったら素晴らしいスピードで回収した!って褒められるだろう。
  • サインツの負傷とかあれば
    オフィシャルの動きが遅いと
    書かれそう

    赤旗やSCカーなので
    安心して作業出来ると思うが
    SCカーや赤旗提示中に
    事故りそうな速度で走る方が問題に思える
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村