2008年、2代目MINIにジョンクーパーワークス(JCW)が正式グレードとして追加された。初代ではチューニングキットとして用意されていたJCWが、2代目ではコンプリートモデルへと進化。スペイン・マヨルカ島で国際試乗会が行われた。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)
4気筒のガソリン直噴ターボは1598ccの排気量から211psを発揮
「この車はコンペティションカーではなく、一般の人たちの車である」。このフレーズはミニの考案者アレック・イシゴニスが60年代の初め、ミニのチューニングを企画したジョンクーパーに語ったものだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)
しかし結果的には、イシゴニスの定義はポジティブに覆され、クーパーの手によりチューンされたミニは、その後モータースポーツの世界で大きく成功した。とくに1964年と65年、67年にラリーモンテカルロでは優勝している。以来「クーパー」はミニのスポーツブランドとして定着したのだ。
この伝統はMINIにも受け継がれている。初代MINIではクーパー/クーパーSに、またF1やWTCCなどのサポートレースとしてポピュラーになった「MINI ジョンクーパーワークス チャレンジ」参戦用に、最高210psまでパワーアップするジョンクーパーワークス(JCW)チューニングキットがオプションとして用意された。そして2代目MINIでは、JCWをハイエンドグレードとして設定した。
ニューJCWの核となるエンジンは4気筒のガソリン直噴仕様で、ツインスクロールターボを組み付け、1598ccの排気量から211psを絞り出す。リッター当たりの出力は132psとターボならではのパワーで、スポーツカーのレベルと言えよう。また260Nmの最大トルクは1850rpmという低回転域から湧き上がり、さらにクーパーSでお馴染みのオーバーブーストで280Nmを発揮することも可能である。カタログデータでは0→100km/hまでの加速が6.5秒、最高速度は238km/hとなっている。
サーキットも似合う、MINIの走りの象徴
テストドライブが行われたのはスペインのマヨルカ島で、空港へ到着するとすぐにキーを手渡された。
プッシュ式のキーでエンジンをスタートさせ、設定されたナビの行き先を見ると、この島のマヨルカサーキットへ向かっている。この指示を見ただけでBMWがこのJCWに託した使命が明らかである。
まずは高速道路に入る。スペインの高速道路の制限速度は130km/hである。スロットルを踏み込むと、わずかな助走距離で130km/hをマークした。驚くのはこのような高速域でもステリアングは適度に重く、しかも直進安定性に優れている。室内は静寂とは縁遠いが、速度に応じて侵入してくる音は整理されており、ノイズで疲労することもない。
高速道路を降りて、しばらく走るとワインディングに変わる。ここでは、シャープでしかも路面状況を正確に読ませてくれるステアリングによる、MINI特有のカート感覚を存分に楽しませてもらった。しかもこのJCWの進入と脱出速度は、スタンダードのMINIとは比較にならないほど高いのだ。
やがて島の南にある、全長およそ3.2kmのマヨルカサーキットに到着する。シフトノブの奥にあるボタンを押して「スポーツモード」を選択してコースイン。このモードはスロットルとステアリングの反応を鋭くしてくれる。続いてDTC(ダイナミック トラクション コントロール)オフで慎重に挙動を確認する。
どのコーナーでも非常にコントローラブルだが、オーバースピードで飛び込んだ時にはアンダーが出る。そこではやはり確実なステアリング操作が要求される。またEDLC(エレクトロニック ディファレンシャル ロッキング コントロール)はタイトなコーナーで有効に働く。
このサーキットには200km/hに届くストレートと、それに続くほぼ直角の右コーナーがあるが、ここではコントローラブルで確実な制動力を発揮するJCW専用ブレーキの性能も確認することができた。このブレーキはMINIチャレンジ用に開発されたコンペティション仕様で、制動力の立ち上がりがとてもに力強く、しかも車体は非常に安定したまま速度エネルギーだけが減少していく。
ピットへ戻りあらためてこのJCWを観察する。実は内外装に、スタンダードのクーパーSとの違いが少ないことが気になっていたのだ。明らかな違いは、205/45R17サイズのタイヤ、「クロススポークチャレンジ」という名のアルミホイールからのぞいた真っ赤なブレーキキャリパー、JCWエンブレムくらいである。
MINIのブランドマネージメントを担当する副社長ヴォルフガング・アルムブレヒトは「MINIのオーナーは個性を尊重するのでベース車両は意図的に控え目に仕上げています」と、その戦略を語っている。
ところでこのJCWのドイツでの価格は2万7700ユーロ(約470万円)である。クラブマン仕様では2万9500ユーロ(約500万円)となる。
欧州では2代目MINIは大成功で、2008年上半期で12万7000台が販売された。これは昨年同期より18%も増加している。このままいけば今年の目標である24万台は確実にクリアするだろう。そしてこのJCWは、MINIのイメージ向上に大きな役割を果たすに違いない。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年9月号より)
MINI ジョンクーパーワークス 主要諸元
●全長×全幅×全高:3730×1683×1407mm
●ホイールベース:2467mm
●車両重量:1130kg(EU)
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:211ps/6000rpm
●最大トルク:260Nm/1850-5600rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
●最高速:238km/h
●0→100km/h加速:6.5秒
※欧州仕様
[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新車102万円! トヨタ新「軽トラック」発表に反響あり!「もはやハイラックス・ミニ!」「あぜ道の王様だね」の声も!“2人乗り×超タフ”が自慢な「新ピクシストラック」とは!
激混み国道1号に代わる“快適バイパス”いよいよ全通近し! 車の流れ変わる? 滋賀「山手幹線」が3月延伸
トヨタ「新型クラウンエステート」まもなく登場へ 18年ぶり復活で「大型SUV化」×奥行き2mの「めちゃ広ラゲッジ」採用! シリーズ“第4”のモデルはなぜ延期が続いたのか
6MT搭載! ホンダが名車「Z」を復活!? 超レトロな「旧車デザイン」ד丸目ライト”採用した「3ドアクーペ」に注目! めちゃ懐かしい“水中メガネ”搭載した「Re:Z」コンセプトとは
日産「新型エクストレイル」まもなく登場!? 大人気SUVが「三菱のOEM」に? 明らかになった「PHEV」モデルの正体とは
トランプ大統領が「日本の消費税廃止」を要求? JEEP以外のアメ車が日本で売れない理由は「そこじゃない」
「高性能ターボ×MT」がウリなのに… 日産「“最強”2人乗りスポーツカー」なぜATのみ? 「フェアレディZ NISMO」がMTじゃない理由とは?
日産「崖っぷち」からの大逆転なるか? 800億円赤字、工場閉鎖…「技術の日産」再興でスバル化戦略? e-Powerの未来どうなる
外国人が「簡単に取れる日本の免許証制度」とは? 問題が指摘される「外免切替」 国家公安委員長「制度改正の検討」を示唆! 事故実態は「把握せず」
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?