eトロンGT 公道でこそ光る
12月初頭の試乗記事で、アウディeトロンGTクワトロについて触れている。
【画像】公道で光る個性【eトロンGTクワトロとタイカンを比較】 全64枚
富士でおこなわれたアウディの試乗会でRS系の速いモデルと一緒にステアリングを握ることができたのである。
加速はカタパルト発進する戦闘機のごとし。ハンドリングも床下バッテリーのおかげで重心が低いBEVならではの盤石ぶり。
だがコーナリングでペースを上げると、頑固なアンダーステアが顔を出し、走行ラインを選べなくなってしまった。
重心が低いからこそロールも少なく、その結果として荷重がキレイにタイヤに掛かり、わりと早めに一杯いっぱいになってしまったのだろう。
だがサーキットにおける限界ハンドリング特性1つを切り取って、世界的に売れまくっているというこのクルマを評価することなどできるわけがない。
R8ならわかるが、eトロンGTのオーナーがサーキットに通い詰める可能性は極端に低いはずだ。
あらためて街中で再会したeトロンGTは、これまでで最もスタイリッシュなアウディだと確信するくらいカッコ良かった。
フェンダー周りのプレスラインが力強く浮き出た筋肉質な感じはRS6やRS7スポーツバックに通じる。
すっきりとした放物線を描くルーフラインもクーペ感の演出に効いている。
室内は物理的なスイッチがずらりと並んでおり、外装ほどの未来感はない。
馴染みやすさを優先したのだろうか。
とはいえRS系のアウディのようなダイナミズムはちゃんと込められている。走り出してみよう。
「あれはアウディ、こっちはポルシェ」
今回は「偶然」編集担当が乗ってきたポルシェ・タイカンがあったので、骨格を共有する2台を比べることができた。
タイカンは最上級のターボSなので、エアサスや後輪操舵など装備満載。最高出力も761ps対530psと大きく違うし、eトロンGTはコイルサスなのだが、返って素性がよくわかるかもしれない。
少々混みあった都心でeトロンGTを走らせた。
首都高の合流で本気の加速を味わった直後、渋滞にハマる。誰もが普通に体験するであろう環境といえる。
走行中の車内は静止しているように静か。
「これエアサスだよ」といわれたら信じてしまうほど路面とのタッチが柔らかく、身のこなしが洗練されている。
だがそんなことはBEVなら当たり前、想定内の感触だろう。eトロンGTの個性は何なのか?
それがタイカン・ターボSに乗り換えたとたんハッキリした。
あぁ、あれはアウディで、こっちはポルシェなのだ、と。
タイカンのエアサスはまるで生き物のように硬軟が変化し、握りが細く断面が丸いステアリングの感触も軽い。
直角ターンが連続する街中や車庫入れなどで器用にテールをくねらせる後輪操舵と相まって、ライトウェイトスポーツカーのような身のこなしを見せる。
一方、太いステアリングの円周が随所で角ばったeトロンGTは、パワステが重いこともあるが、太めのタイヤがガシッと路面を捉えている感じに往年のクワトロらしさが漂っている。
両者は面白いくらいに違うのだ。
作り込まれた個性は2022年的?
先の「あれはアウディ、こっちはポルシェ」を補足しておくと、eトロンGTの見た目や感触は既存のアウディの延長線上。
つまり「2022年のアウディ」くらいの感覚だ。
対するタイカン・ターボSは2030年製のポルシェ(?)くらいの未来感を帯びている。
ブランドのみならず時代感覚も含めて、両ブランドのBEVのテイストは違っているのである。
例えばプラットフォームを共有するQ5とマカン、そしてA7スポーツバックとパナメーラよりも差が大きく、それぞれのブランドの性格に忠実なのである。
RSではなくもちろんタイカンではない今回のeトロンGTを買うメリットは日常性なのだと思う。
個性が気に入ってアウディを乗り継いできたオーナーが次の愛車として選んでも、生活にすんなり溶け込むはず。
充電の関係で長距離ドライブが少し計画的なものになることはあるかもしれないが。
筆者が考える最も完成度が高いBEVは、これまではダントツでタイカンだったのだが、今回そこに僅差でeトロンGTも名を連ねることになった。
バッテリーの配置とモーターの特性により個性を発揮しにくいBEVだからこそ、メーカーは個性の再現に注力するということは以前からいわれてきていた。
eトロンGTはまさにその好例といえる。
車重や操作系が少し重めに感じる点も、最高のアウディ感の演出に効いている。
日本における納車がずいぶんと先になるという状況も頷ける。
アウディeトロンGTクワトロのスペック
価格:1399万円
全長:4990mm
全幅:1965mm
全高:1415mm
最高速度:-
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:534km
電費:200Wh/km
車両重量:2280kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:93.4kWh
最高出力:530ps(390kW)
最大トルク:65.3kg-m
ギアボックス:1速(前)/2速(後)
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
素のeトロンと比べるのは妥当でないのでは。