2023年3月16日(イタリア現地時間)、フェラーリは「ローマ スパイダー(Roma Spider)」をモロッコ マラケシュのエル・バディ宮殿で行われたクライアント限定のイベントの中で発表した。
革新的なソフトトップを装備する2+2スパイダー
ローマ スパイダーは、その名が示すように「ラ・ノーヴァ・ドルチェヴィータ(新しい、甘い生活)」をコンセプトにしたクーペ版のローマ(以下、ローマ)を、ソフトトップによるオープンボディにしたモデルだ。フロントエンジンのフェラーリでソフトトップのオープンモデルは、1969年に発表された365GTS4以来、実に54年ぶりのこととなる。
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クーペのなだらかなファストバックのルーフラインを再現するため、リアスクリーンはソフトトップの一部とし、ルーフを開くときにトノカバーの下に折りたたまれるようにした。ローマ スパイダー固有のスタイリングテーマとなっているのが、ルーフの基部を走るボディ同色のバンドで、そこでルーフおよびリアスクリーンがカーボンファイバー製のアクティブスポイラーと分かれている。これによって、シームレスに組み込まれたトノカバーが生まれた。ソフトトップを格納すると、アクティブスポイラーはリアベンチやヘッドレストとつながって見える。
インテリアは、ローマで採用したものと同じ手法で、デュアルコクピットのコンセプトを進化させ、ドライバー側とパッセンジャー側に別々の空間を作り出している。これは、1970年代以降のフェラーリ歴代モデルに深く根ざした理念で、ダッシュボードからキャビン全体に拡大させたことで、革新的なルックスが生まれた。これがドライバーとパッセンジャーを2個のモジュールで包み込んだ印象となり、それを2つのリアシートにも拡大して、一体感を作り出している。
デジタルメーター ディスプレイもローマから採用されたテクノロジーで、パッセンジャー側にオプションのディスプレイを備えれば、ドライビングの情報を共有することもできる。左右のコクピットの間には、8.4インチのセンターディスプレイがあり、ダッシュボードとセンタートンネルの間に部分的に浮かぶ形で設置されており、他のインフォテインメントや空調機能の操作が可能だ。
620psを発生するV8ツインターボもローマ譲り
パワートレーンは、3855ccのV8ツインターボで、最高出力の620psを7500rpmで発生する。これは1Lあたり161psに達する。しかも1900rpmから最大トルクの80%を発生し、低回転域でもフレキシブルな加速を実現する。
選択したギアに合わせてトルク制御するソフトウエア「バリアブル ブースト マネジメント」を採用し、回転数の上昇に合わせていっそう力強い加速を実現すると同時に、燃費も最適化する。ギアボックスはオイルバス式デュアルクラッチ(DCT)機構をベースとし、SF90 ストラダーレで導入された8速ギアボックスの派生形だ。主な変更点は、ギアレシオを高めに設定されたこと、そしてコンポーネントのレイアウト変更などによって、ギアボックスのサイズと車両への搭載が最適化されている。
現代的で新鮮なデザインが施されたソフトトップは、専用ファブリックやアクセントのステッチを含めてオプションが豊富に用意されている。ソフトトップの開閉はもちろん電動で、車速が60km/hまでなら走行中でも13.5秒で開閉が可能だ。リアシートのバックレストに特許取得の新ウインドディフレクターが組み込まれ、センタートンネルのボタンひとつで作動し、車内のスペースを犠牲にすることなく快適性を保っている。
今回の発表においては日本仕様に関してのアナウンスはないが、フェラーリにとって重要なマーケットのひとつである日本への導入は、それほど先の話ではないと思われる。いずれにしても、日本の公道をオープンエアでクルージングするローマ スパイダーの美しい姿を早く見たいものだ。
フェラーリ ローマ スパイダー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4656×1974×1306mm
●ホイールベース:2670mm
●乾燥重量:1556kg(軽量オプション装備車)
●エンジン:90度V8 DOHC ツインターボ
●総排気量:3855cc
●最高出力:456kW(620ps)/5750-7500rpm
●最大トルク:760Nm(77.5kgm)/3000-5750rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●最高速度:320km/h以上
●0→100km/h加速:3.4秒
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後285/35ZR20
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