スーパースポーツカーやスーパーラグジュアリーカーなど、ハイエンドブランドの世界にも各々の個性がある。しかしその違いは、それなりの経験を重ねた後に、ようやくわかるようになるものだとも言える。ここではあえて、異なる土俵で強い存在感を放つ2台を取り上げ、ハイエンドな2ドアモデルの歓びを探ってみたい。(Motor Magazine 2023年4月号より)
究極の価値観が宿る触感。高いレベルでの違いを表現
1919年に英国のロンドンで誕生したベントレーは、その100年を超える歴史の中で紆余曲折はあったものの超高級車メーカーとしてのブランドを見事に確立している。どの車種もスポーティであることは一度そのハンドルを握って走ってみれば納得できるし、その哲学は創業当初からレースに挑みルマン24時間レースで優勝を重ねたことでも証明されている。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
取材車のベントレー コンチネンタルGTCは、スペシャルペイントの「アークティカ」という白いボディカラーに「クラレット」の赤いソフトトップがアクセントとなり、ただでさえカッコ良いオープンカーの洗練度がさらに高められている。
30km/h以下なら走りながらでも開閉可能なソフトトップをオープンにすれば「リネン(クリーム色)」と「ホットスパー(赤色)」の上質なレザーで美しく設えられたインテリアに見惚れてしまう。ダッシュボードは上面も下面もセンターコンソールも含めて、すべてホットスパー色のレザーで包まれている。この赤の色は、派手過ぎずに上品さを保った、実に良い色合いだ。
シートと同じように2トーン仕上げになっているステアリングリムは、外側が赤、内側をクリームに分けられている。そのクリームのところに赤い糸でステッチが施されているので、ここでもお洒落な感覚と高級感を存分に味わえる。
シートのサイドサポート部分とドアの内張りのクリームの部分には、キルティングのような手のこんだ立体的な模様が仕立てられて、ここにも格別な高級感が漂う。
インテリアの隅々まで目を移しても入念な仕上げは変わりなく、クラフトマンシップによる手作りに近い工程で仕上げられていることが実感できる。見ても触れても美しく、その素晴らしい仕上げに感嘆しない人はいないだろう。
この上質さは、単に良い素材を集めて仕上げているだけでなく、さらに上の工芸品の領域にまで踏み込んだものだ。手触りに優れ、あらゆる角や縁も柔らかな丸みを帯びているので、人に優しい感じを受ける。超高級車というのは、こういう仕上げを備えたクルマのことを言うのだと、お手本を示して教えてくれている気がする。
幸いなことに、僕はこのような超高級車にも触れる機会があり、実際に見て触って溜め息をつくことができる。一般的には、このような別世界感を味わえる人の数は多くないだろう。しかし日々の生活から、このレベルが標準だと考える富裕層もいる。そして、そのような世界の人たちは、よほどのことがない限り、この高いレベルからは降りられないはずだ。
ソフトトップを閉じてもカッコ良いが、個人的には真夏の炎天下、あるいは雨が降っていない限りはぜひオープンで走りたい。その走る姿は、閉じているよりも絶対にさらにカッコ良いと思うからだ。
ボンネットとキャビン、トランクリッドがフラットになっていて、ソフトトップはカバーの下にきれいに収納される。そのラインが、豪華クルーザーに乗っているかのように思わせてくれる。
あらゆる面に余裕があり細部の最後まで実にていねい
走り始めると、2380kgの車両重量があるとは思えないほど軽快なフィールに、スポーティなベントレーだと納得させられる。4L V8ツインターボエンジンは低回転域から十分なトルクを発揮し、アクセルペダルを深く踏み込まなくても楽々と走らせられる。かといってゲインが高いわけではないので、加速力やスピードのコントロールは滑らかにできる。
そして右足を踏み込めば、これまでの淑(しと)やかさから一転して、迫力あるエンジン音が耳に入ってくる。そのまま高回転まで引き上げても、そのサウンドが過度にうるさくなることはなく、スポーツドライビングを楽しめる。
100km/h巡航時のエンジン回転数は1200rpmほどだ。静々と回っていても、走行で必要な力感には十分な余裕があり、アクセルペダルの小さな動きで速度コントロールも楽にできる。
それと同じぐらい、ハンドル操作にも余裕が感じられる。基本的には操舵力が軽く、V8ツインターボエンジンを搭載したノーズを指先で動かせるぐらいの感覚でスイスイと操作できる。ノーズの動きはハンドル操作に対して遅れることなく反応するから、軽快な動きと感じられる。
かといって路面からのフィードバックが得られないのかというとそんなこともなく、舵が軽いのにダイレクトなフィールを感じながら走れる。このあたりは、ボディ剛性の高さが大きな影響を与えているはずだ。
こうした場面でのクルマの動きは緻密に計算されていて、リアルスポーツカーかと勘違いするぐらいに良くできている。クルマを仕上げていく最後の最後まで手を抜かずに、実にていねいに仕上げていることがとてもよくわかる。
超高級車にとってブレーキの重要性は大きく、最高級のものが投入されている。ベントレーの銘が入る巨大なフロントキャリパーは、この2380kgの車重を止めるのにも余裕がありそうだ。ブレーキペダルを踏み込んだ時のフワフワ感はなく、剛性が高く踏み込み圧力に比例した制動力を発揮。踏力と制動感がピタリと合ってコントロール性が高く、スムーズなドライビングができて気分が良い。
スポーツ度により重きを置くM社ならではのラグジュアリー
そして、クラフトマンシップ満載のコンチネンタルGTCとはまた別の高級感とスポーツ度が高い2ドアモデルも用意した。BMW M8コンペティションクーペだ。
BMWのラインナップの中で7シリーズ、8シリーズ、X7の3モデルは、他とは別格の上級プレミアムカーという存在になる。その中でも「M8」はサーキットを存分に楽しめる上に、一般道を快適に走れるというハイパフォーマンスラグジュアリーカーだ。
S63B44B型と呼ばれるエンジンは、最初にSが付くのでBBMW M社の手により開発されたもの。コンペティション仕様の4.4L V8ツインターボは460kW(625ps)/6000rpm、750Nm(76.5kgm)/1800-5860rpmを発生し、1910kgの車重にもかかわらず0→100km/hをわずか3.2秒で加速する実力を持つ。
2基のターボチャージャーはVバンクの間に収められ、Mモデル専用のクロスバンクエキゾーストマニホールドにより、極めて低いエンジン回転数からアクセルペダル操作に対して鋭いレスポンスを示すように仕上げられている。
またm xDriveと呼ぶ4WDは、その頭にMが付くことでわかるように、スペシャルな仕様になっている。通常の4WDと4WDスポーツ、さらに後輪駆動の2WDも選べるのだ。
BMW社ではできない領域まで入り込んで、より本格的なサーキットマシンを造りあげるBMW M社の存在は大きい。100%子会社ではあるが、BMW社の規模から比べたら小さな会社だ。しかし、その小回りが効く体制だからこそ作れるものがあるのだ。
高級感がありスポーツ度も強いという意味ではコンチネンタルGTCと同じ土俵にいるように見えるが、スポーツ度という意味ではM8の方が完全に上の存在だ。その価値観の実現を、BMW M社が担っているのである。
そして高級感という意味ではM8もプレミアムな存在であるが、こちらは走りをより重視している点が大きく異なる。コンチネンタルGTCよりも若々しくて、躍動感を覚えるのだ。それは走行時の振動や回転数、右足のペダル開度で異なるエンジンサウンドでも感じられた。
今回、ハイエンドなプレミアム2ドアスポーツカーという視点で2車を乗り較べたが、それぞれ魅力を備え、また別の分野でこだわりを持って作られていることがわかった。そして、どちらも魅力的であることに間違いはなかった。(文:こもだきよし/写真:井上雅行)
BMW M8コンペティション クーペ主要諸元
●全長×全幅×全高:4870×1905×1360mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1910kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:4394cc
●最高出力:460kW(625ps)/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5860rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・68L
●WLTCモード燃費:8.8-8.9km/L
●タイヤサイズ:前275/35R20、後285/35R20
●車両価格(税込):2477万円
ベントレー コンチネンタルGTC主要諸元
●全長×全幅×全高:4880×1965×1400mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:404kW(550ps)/5750-6000rpm
●最大トルク:770Nm/2000-4500rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●WLTCモード燃費:8.8-8.9km/L
●タイヤサイズ:前265/40R21、後305/35R221
●車両価格(税込):3263万円
[ アルバム : ベントレー コンチネンタルGTC × BMW M8コンペティション クーペ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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