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BMW新型R1300GS試乗「巨体に騙されるな!オンではネイキッドのように振り回せ、オフでは600cc並の自在感」

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BMW新型R1300GS試乗「巨体に騙されるな!オンではネイキッドのように振り回せ、オフでは600cc並の自在感」

BMW新型R1300GSは先進電子テクノロジー全部盛り

BMWの最新モデル「R1300GS」の国際メディア試乗会がスペインで開催された。従来型R1250GSから5年ぶりのフルモデルチェンジはどんな進化をもたらしたのか? モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川がオンロードはもちろん、ハードなオフロードでの走破性もテスト。新型GSの実力をレポートする。

【画像22点】BMW新型R1300GSの機能、足つき、車体色ラインアップを写真で解説

ホテル内に設けられたプレゼンテーション会場には、ブルーの新型マシンが1台。R1300GSの発表会は派手なファンファーレの演出もなく地味に始まった。エンジンや車体、デザインを担当したそれぞれの開発者が新型に投入された「すごいテクノロジー」について淡々と解説していく。いかにもドイツ的というか、真面目で合理的な職人気質が伝わってくる。コンセプトは「ネクストレベルGS」。
「まあ、まずは乗ってみてください!」そのひと言に自信がみなぎっていた。

ここ数年、日本でもアドベンチャーバイクのムーブメントが盛り上がりを見せているが、中でも圧倒的な人気と実力を誇るのがBMWのGSシリーズである。GSはアドベンチャーバイクのカテゴリーを作った始祖的な存在であり、誕生から40年以上の歴史の中で進化・熟成されてきた。いわばアドベンチャー界の絶対王者が最新モデルへと進化したというのだから期待感はハンパではない。

今回の新型R1300GSは2018年に1254ccエンジンのR1250GSが投入されて以来、5年ぶりのフルモデルチェンジとなる。BMW伝統の水平対向エンジンは排気量を1300ccに拡大。最高出力9馬力アップの145馬力/7750回転、最大トルクも15.1kgf・m/6500回転へと大幅に向上した。
車体も鋼板+アルミ鋳造材を組み合わせた新設計フレームとなり、前後サスペンションも進化。車重もトータルで12kg軽くなった。ライディングモードやコーナリング対応のABS&トラクションコントロール、クイックシフターに加え、前走車を自動的に追尾するACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)や前車衝突警告など四輪由来の安全・快適デバイスも新たに追加。さらに停止時に車高を下げる新機能まで投入するなど、今ある二輪の先進テクノロジーが全て盛り込まれている。

■BMW R1300GS スタンダード
今回、舗装路メインで試乗したのがスタンダードモデル。写真のヨーロッパ仕様のライトホワイトカラーで日本未導入色。シート高は標準で850mmの仕様。

■R1300GS GSトロフィー(日本仕様におけるGSスポーツに該当)
オフロードメインで試乗した「GSトロフィー」日本発売モデルの「GSスポーツ」に相当し、エンデューロパッケージProの装備のほか、+20mmのスポーツサスペンション、黒色クロススポークホイール、コンフォートシート(シート高870mm)、オフロード系タイヤ(メッツラー・カルー)、別体式フロントウインカー等を装備した仕様。

GSらしさはそのままに、扱いやすさに磨きをかけた

デザイン的にまず目に飛び込んでくるのが、X型のヘッドライト。今までの左右非対称の「ロボット顔」から印象が大きく変わった。全体的なシルエットも無骨さが和らぎ、滑らかでスマートな印象である。
最初に試乗したのはキャストホイール(日本未導入)のスタンダード仕様。ライディングポジションはR1250GSと比べて全体的にややコンパクトになり、シートの座面が前後に長くなって自由度が増えたのはうれしい部分。シート高は標準で850mmと、足着きもR1250GSと同等レベルと感じた。
乗ってすぐに感じるのは軽さだ。従来型はエンジン周りに大きなマス(重量)があり、車体をロールさせるとその重さに引っ張られる感じがあったが、新型ではそれが不思議なほどなくなっている。ギヤボックスをエンジン下に配置して軽量コンパクト化が進められた恩恵はやはり大きい。
エンジンの扱いやすさはそのままに、2000~6000回転辺りの常用域のトルクが2割増しになった感じ。右手とエンジンの直結感が気持ち良く、改良されたシフトカム効果とも相まって加速もより俊敏だ。排気音もスポーツ心を刺激するドライで弾けるサウンドになった。

コーナリング性能にもさらに磨きがかかった。抜群の安定感はそのままに、身のこなしが明らかに軽快に。テレレバー独特の路面にタイヤが張り付くような接地感も健在。R1300GSでは「EVOテレレバー」に進化したことで、ステアリングの反応もよりダイレクトになり、まるで前後17インチのスポーツモデルのような感覚で走れてしまう。
また、新型では前後ブレーキが互いに連動したフルインテグラルタイプとなり、レバー操作だけでも安定したブレーキングが可能。加えて4種類のライドモード(エコ、レイン、ロード、エンデューロ)と連動して出力とサスペンション特性、ABSとトラコンの介入度を最適化してくれるという至れり尽くせりぶり。とにかく快適で安心なので自然と距離も稼げる。「あぁ、これがGS神話なんだ」と納得したのだった。

1300ccとは思えない!? オフロードでの自在感は600ccクラス並み

続いてブロックパターンタイヤと20mm長いスポーツサスペンションを装備した「GSトロフィー」に乗り換えてオフロードでも試乗してみた。動的な軽さはオンロードで感じた以上で、大きな石が転がるガレ場でも600ccクラスのアドベンチャーバイクのような感覚で臆せず飛び込んでいける。アクセル開度とトルクの出方に直結感があって挙動が分かりやすく、先読みができるので自然とアクセルを開けていけるのだ。

瞬発力のあるエンジンは250kg近い巨体を軽々と宙に舞わせ、EVOテレレバーは路面のあらゆる衝撃をハンドルに直接伝えることなく吸収してくれる。リヤサスペンションもスイングアーム長を伸ばしたEVOパラレバーのおかげで路面を捉えるトラクション性能が向上し、アクセルを開けすぎたときの後輪スライドも穏やかになり扱いやすくなった。
その気になればジャンプやヒルクライムも軽々とこなすが、車重とサイズ感はビッグネイキッドと同等レベルである。そう考えると、オフロードでここまで意のままにコントロールできる「自在感」はすごいと思う。これは、中速トルクが厚く瞬発力のあるエンジンと、低重心化による安定感、そして改良された前後サスペンションによる走破性の高さという要素の相乗効果と思われる。

新たにオプション装備された最新デバイスも試してみたが、ACCはとてもスムーズかつ正確に前車を追従しつつ、コーナーではバンク角に応じて速度調整もしてくれる優れもので、SWW(車線変更警告)は死角にいる車両を確実に捉えてバックミラー内の警告灯点滅で知らせてくれた。

そして極めつけは車高調整機能。車速が15km/h以下になると自動的にサスペンションが沈んで車高を30mm下げてくれるのだが、それが乗り手が気付かないほどスムーズ。アドベンチャーの難点だった足着きの不安もだいぶ解消されるはずだ。R1300GSはコンセプトどおり次のレベルへと確実に進化していた。大きな荷物を積んで一日に数百kmを移動しながらも、疲れ知らずのまま林道に分け入り、山奥のキャンプ場を目指す。それがリアルにできるマシンである。試乗してみて肌でそれを実感できたのだった。

BMW R1300GSのエンジン&シャシー

■「2階建て構造」で軽量コンパクト化した新設計ボクサーツイン
BMW伝統の水平対向2気筒エンジンは完全新設計で、吸気バルブのタイミングとストロークを可変する改良型のシフトカムを採用。ギアボックスをエンジン下に配置し前後長を詰めてコンパクト化した。エンジン単体で3.9kg軽量化されている。

■フレームは鋼+アルミのハイブリッド
従来のトラス構造スチール製パイプフレームを見直し、プレス鋼板のメインフレームとアルミダイキャスト製リヤフレームを組み合わせたハイブリッドタイプに一新。エンジンを剛体として利用しつつもフレーム主体で支える構造へと進化。ディメンションも最適化されている。

■前後サスペンションはEVOタイプに進化
EVOタイプとなったテレレバーはフォークを大径化し、上部をブラケットに締結することで剛性を大幅強化。リア側もスイングーム長を伸ばしたEVOパラレバーに刷新され、トラクション性能と路面追従性を向上。サスペンションの電子制御機構も各走行モードに細かく対応したものに進化。

BMW R1300GSの機能&デザイン

X型デイタイムランニングライトが特徴のヘッドライトは中心部にロー&ハイビームを集約し、どの方向からも明るく目立つ設計とされている。走行速度とバンク角に応じ、コーナーの先を照らす「ヘッドライトPRO」はヨーロッパではオプション設定だが、日本仕様は標準装備。

別体式フロントウインカー装備の「GSトロフィー」(日本では「GSスポーツ」)を除き、全車に標準装備されるハンドプロテクター内蔵のLEDウインカー。

リヤウインカーはテール&ストップランプ内蔵タイプ。テール中央の箱状の部分には、後方の交通状況を監視するレーダーセンサーを内蔵。

6.5インチのフルカラーTFTディスプレイを標準装備。手元のスイッチとマルチコントローラーにより車両情報やコネクティビティに簡単にアクセスできる。トラクションコントロール介入度やバンク角をリアルタイム表示するスポーツモード画面にも設定を変更できる。

R1250GSよりもスリムで前後移動の自由度が高いライダーシートは標準が850mmの高さで、ロー(830mm)とハイ(870mm)のオプション設定がある。

充実の電子デバイス

スクリーンは標準設定では手動タイプだが、試乗車にはオプションの電動スクリーンが装着されていた。その下にはACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)用の前方レーダーを配置。

前後互いに連動して最適な制動力を発揮するフルインテグラルABS Proを新採用。フロントブレーキは310mm径ディスク&ラジアルマウント4ポットキャリパーをダブルで装備。なおフロントのサスペンショントラベルは190mm。

リヤブレーキは285mm径シングルローター+片押し2ピストンキャリパーの組み合せ。ヨーロッパ仕様ではキャストホイール仕様があるが、日本導入車は全車クロススポーク仕様となる。リヤのサスペンショントラベルは200mm。

レポート●佐川健太郎 写真●BMW

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みんなのコメント

3件
  • MogMog
    まさに記事に騙されるな!オフロードと農道は違う様に思います。こんな重いバイクで傾斜のあるガレ場を走れるのだろうか?
  • fzu********
    個人的にはコレがキングオブバイクだと思っている。デザインは完成されているのであまり変わってないようですが中身は正常進化してるようで何より。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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