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【4ドアクーペGT頂上対決】メルセデスAMG GT 63 S アルピナB8 グランクーペ 後編

掲載 更新 5
【4ドアクーペGT頂上対決】メルセデスAMG GT 63 S アルピナB8 グランクーペ 後編

過去10年間で最高のクルマの1台

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】AMG GT 63 4ドアクーペとアルピナB8 グランクーペ 4ドアクーペのグランドツアラー 全59枚

撮影:Max Edleston(マックス・エドレストン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


メルセデスAMG GT 4ドアを普通に運転している限り、複雑なシステムの動作はほとんど感取できない。AMG GT 4ドアは、純粋でシンプルに、フラットな姿勢を保ってコーナーを曲がる。

ボディサイズは大きく、車重は2tを超えるが、ステアリングフィールも素晴らしい。2台を乗り比べると、動力性能という点ではAMGの方が有利。だが、アルピナの強みは別の部分にある。

AMG GT 4ドアは本当に素晴らしい。運転スタイルを問わずハイペースを保てる。確実なトラクションが推進力を生み出し、コーナーからの鋭い脱出加速時でも落ち着きを乱さない。

より積極的なAMGドライビング・ダイナミクス・プログラムを呼び起こせば、90度くらいまでのカウンターステアの範囲で、テールスライドを楽しめる。サスペンションを緩めれば、高次元でのバランスと落ち着きで、リラックスした移動も許してくれる。

このAMG GT 4ドアの幅広い特性には、常にドライバーの自信が伴う。グランドツアラーを名乗る多くの競合以上に。それでいて、機敏な操縦性も常時保たれている。

AMG GT 4ドアは、好き嫌いが分かれるタイプかもしれない。だが筆者は過去10年間で、最高のクルマの1台だと評価している。過小評価されているのではないだろうか。

性格は少し過剰かもしれない。3000rpm以下からでも暴力的な、全長5mを超えるサルーンだ。

ひけらかさない個性がアルピナの魅力

AMG GT 4ドアには、濃密なグランドツアラーとしてのドライビング環境が備わる。オプションのバケットシートなしでも、ドライバーは低い位置にしっかり座れる。

リアタイヤが、ドライバーの背もたれのすぐ後ろにあるような接地感すらある。GT クーペのように。AMGの魔法だ。

では、AMG GT 4ドアが限りある15万ポンド(2280万円)の予算を投じるべき筆頭といえるだろうか。ほぼ間違いなく、他では得られない充足感に浸れると思うが、即答は難しい。

伍するアルピナのサスペンションは柔軟で、操縦性はニュートラル。快適な走りを享受できるB8 グランクーペの方が、素晴らしい長距離マシンとして機能するはず。

AMG GT 4ドア級の動的性能を備えるパフォーマンス・サルーンはなくもない。だが、アルピナのような質感を備えるモデルはない。

ただし、後輪駆動状態を楽しめるという事実が、AMG GT 4ドアに別次元の喜びをプラスしている。生々しいキャラクターという点でも、濃厚さではAMGが凌駕している。

AMGのV8エンジンは、従来ほどの音響的な興奮を得られないものの、イベント性は凄まじい。アルピナのエンジンもクリミーミーで、回転数が高まるほどに面白味も増す。同時に、多くの場面で少し控えめにも感じられてしまう。

この、ひけらかさないような個性がアルピナの魅力でもある。余剰に感じるような部分は殆どない。シフトアップは穏やかで、パワートレインはAMG GT 4ドアより、あらゆる場面で滑らか。郊外の道でも、市街地でも。

パーソナリティはまったく異なる2台

ステアリングはAMGより情報量が少ないが、反応は感心するほどリニア。いつもの道を走らせるだけで、充足感がある。

チューニングが加えられ、ジオメトリが変更されたサスペンションも効果的。AMG GT 4ドアのエアサスペンションのように、完璧な垂直方向の制御までは得られていないが、恐らくアルピナのもので不満を感じるドライバーはいないと思う。

アルピナには、クルマとしての比類ない豊かさがある。ロードノイズは少なく、乗り心地は甘美で、車内は落ち着いていて優雅。リアシートの居心地は、AMGよりも間違いなく快適だ。

動力性能は、2台ともに同乗者が不快に感じるほど高い。加速度センサーなどで評価すれば、圧倒的なトルクと類まれなシャシー性能で、AMGの方が勝るだろう。

感覚として速く感じられるのは、B8 グランクーペの方。AMG GT 4ドアは、まるで純EVのポルシェ・タイカンのように、平然と速度を高めていくためだ。

アルピナB8 グランクーペと、メルセデスAMG GT 63S 4クーペという2台は、フォルムは似ている。しかし、パーソナリティはまったく異なる。

理性的にはアルピナ、感情的にはAMG

AMG GT 4ドアのフロントタイヤは、少し反応が良すぎるかもしれない。とはいえ、本質的には流暢にハイスピードでの移動を叶えてくれる。二重人格的な側面が、クルマの魅力を一層高めている。

アルピナB8は、ブーフローの高い技術力を現実的な環境で体感できる。ドライバーへの要求が高すぎない運転体験が、独自の質感を生んている。普段は同じクルマとすれ違わないだろう、という希少性にも惹かれる。

もしシャシーがもう少しタイトで、よりリアタイヤ主導のバランスなら、B8 グランクーペは一層輝くはず。B8「S」グランクーペがあっても良い。

理性的には、アルピナが良いと考える。だが感情的には、メルセデスAMGが良いと感じる。筆者には甲乙つけがたい。僅差でAMG GT 4ドアだろうか。SUVではなく、2台のどちらかを選びたい、ということは間違いない。

4ドアクーペのグランドツアラー 2台のスペック

メルセデス・ベンツAMG GT 63 S 4ドアクーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:14万6785ポンド(2231万円)
全長:5054mm
全幅:1871mm
全高:1442mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:298g/km
車両重量:2045kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:639ps/5500-6500rpm
最大トルク:91.6kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:9速オートマティック

アルピナB8 グランクーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:13万4950ポンド(2051万円)
全長:5092mm
全幅:1932mm
全高:1428mm
最高速度:323km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:270g/km
車両重量:2100kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:621ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.4kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

5件
  • どちらかくれるなら、AMGの方かな。
    BMWのこのデザインは綺麗だけど、すぐに飽きてくる感じがする。
    性能は似たようなものだけど、AMGのこのスタイルは一般のメルセデスのラインナップにはないし。
  • 直線番長のamgと、コーナリング最強のアルピナ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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