アールデコ調のクラシカルなデザイン
メルセデス・ベンツは、新型のコンセプトカー『ビジョン・アイコニック(Vision Iconic)』を発表した。アールデコ調の大胆なデザインを採用した高級クーペで、次期Sクラスにおいて2ドア・クーペとカブリオレの復活を示唆している。
【画像】欧州貴族の伝統を感じさせるクラシカルな高級2ドア・クーペ【メルセデス・ベンツ・ビジョン・アイコニック・コンセプトを詳しく見る】 全23枚
ハンズオフ/アイズオフの高度な自動運転機能やステアバイワイヤ・システムなど、将来導入する最先端技術の数々も披露している。2028年に発売予定の次期Sクラスのデザインを予告するものでもある。
ビジョン・アイコニックには、新型GLCで初披露されたイルミネーション付き『アイコニックグリル』の5スラットバージョンが採用されている。現行Sクラスよりも大型で直立したこのパネルは、1900年のメルセデス35hp(35ps)に遡るクラシックなグリルデザインを再解釈したものである。
第8世代となる次期Sクラスは、MB.EAプラットフォームベースのEVとして販売される。その後、MRAベースの現行Sクラスのビッグマイナーチェンジ(大幅改良)版が投入される予定だ。内燃機関車とEVを並行して販売する方針である。
現行モデルとは対照的に、パワートレインに関わらず同一のデザインを採用する。また車名も『Sクラス』に共通化し、EV専用のモデル名『EQS』は廃止となる。
ビジョン・アイコニックのフロントエンドにはイルミネーション付きスリーポインテッドスターが装着されており、次期Sクラスにも採用される可能性がある。
メルセデス・ベンツのデザイン責任者ゴーデン・ワグナー氏はAUTOCARの取材に対し、このコンセプトカーは「1930年代の自動車デザインの黄金時代」からインスピレーションを得ており、メルセデスを代表する名車のクラシックな要素を融合させたと語った。さらに、革新的なインテリアは「ラウンジを第一に、ドライバーを第二に」設計されているという。
ビジョン・アイコニックはまた、Sクラス・クーペとSクラス・カブリオレのラインナップ復帰が検討されていることを示すシグナルでもある。Sクラスの2ドアモデルは60年以上にわたりメルセデス・ベンツの最上位層に君臨していたが、2021年にラインナップの合理化の一環として生産終了となった。
しかし、関係者の話によれば、少量生産・高利益率モデル拡充の一環として復活する可能性があるとのことで、2020年代後半には再導入されるかもしれない。
ビジョン・アイコニックには、開発中の新技術が多数搭載されている。その1つが、ステアリング操作も監視も不要(ハンズオフ/アイズオフ)なレベル4自動運転技術だ。メルセデス・ベンツは現行Sクラスにレベル3(監視が必要)のドライブ・パイロット・システムを搭載している。
このレベル4システムでは、人間の脳の神経ネットワークを模倣する新開発の「ニューロモーフィック」コンピューターを採用している。これにより、ドライブ・パイロットと比較して計算速度が最大10倍高速化され、エネルギー効率は90%向上するという。
新開発のステアバイワイヤ・システムも目玉となっており、すでに次期Sクラスへの採用が確定している。後輪操舵システムと組み合わせることで、アジリティと低速時の操縦性が向上するとされている。
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